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異世界転生×ユニークスキル 超学校で無双する!?  作者: 月神世一


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ep 8

祝宴の影、そして旅立ちの決意

オークを撃退したターナ村は、久しぶりの勝利の喜びに沸いていた。広場には再び焚き火が焚かれ、村人たちは持ち寄った酒や保存食でささやかな祝宴を開いていた。その中心には、やはりユウジがいた。村人たちに促されるままハーモニカを手に取り、リズミカルな地球のフォークソングや、どこか懐かしい童謡などを奏でると、大人も子供も手を取り合って踊り、広場は笑顔と歓声で満ち溢れた。ユウジ自身も、この村に来て初めて心からの安堵と喜びを感じていた。

しかし、その賑わいの片隅で、村長のナージと娘のアヤナが深刻な顔つきで何事か話し込んでいるのを、ユウジは目敏く捉えていた。アヤナの表情は険しく、時折ナージに何かを訴えかけているようだが、ナージは難しい顔で首を横に振るばかりだ。

宴もたけなわの頃、サーベルが大きなジョッキを片手にユウジの隣にどっかりと腰を下ろした。

「よう、ユウジ。今日の殊勲賞はお前さんだな!あの鉄の棒がなけりゃ、アヤナちゃんが危なかったかもしれねぇ」

「いや、俺なんて…サーベルさんやアヤナがいたから…」

「謙遜するな。お前さんの機転が村を救ったんだ」

サーベルはそう言うと、ぐいっと酒を呷った。その時、アヤナがナージとの話を終えたのか、目に涙をためてユウジの方へ駆け寄ってきた。

「でも!ユウジは私の為に、村の為に戦ってくれたのよ!それなのに…!」アヤナの声は震えている。

「アヤナ、気持ちは分かる。だが、村を守るためには仕方がないのだ…」ナージもまた、辛そうな表情で娘を諭している。

「そんなの…おかしいわ!」

「アヤナちゃんの気持ちも、村長の気持ちも、俺には痛いほど分かるぜ…」サーベルが重々しく口を開いた。

「どうしたんだ?みんな…何かあったのか?」ユウジが心配そうに尋ねる。

「ユウジ!」

アヤナはユウジの言葉に、堰を切ったように彼の胸に飛び込んできた。その肩は小刻みに震えている。

「え!?ア、アヤナ、どうしたんだよ…」ユウジは戸惑いながらも、そっとその背中を撫でる。

ナージ村長が、苦渋に満ちた表情でユウジに向き直った。

「ユウジ殿…お主には、本当に感謝している。じゃが…このターナ村を出て行ってもらえんかのぅ」

「え!?」ユウジの頭が真っ白になった。なぜ?どうして?

「お主があの時、オークの前に出現させた鉄の棒…あれは、我々が見たこともないような、非常に硬質で純粋な鉄じゃった。この辺りではまず手に入らない、高価な素材じゃ。あのようなものを、こんな貧しい村が、しかもどこからともなく手に入れたとなれば…いずれ視察に来る領主様の役人たちに必ずや怪しまれる。そうなれば、お主のその不思議な力も、村も、無事では済まなくなるやもしれん…」

「そんな…俺、そんなつもりじゃ…」

「分かっておる。お主が村を思ってのことだというのは。じゃが、今の我々には、お主とその力を庇いきれるだけの力がない。村が新たな争いに巻き込まれるのは、避けねばならんのだ。…分かって、くれるか?」

ナージは深々と頭を下げた。その姿に、村長としての苦悩が滲み出ていた。

ユウジは言葉を失った。村を救ったはずの力が、逆に村を危険に晒すかもしれないという現実。そして、そのために自分はこの温かい場所を去らねばならないという事実。

「…お主は、こんな小さな村で燻っているような男ではないはずじゃ。お主には、もっと大きな世界が待っておる。…そう、旅立ちの時が来たんじゃよ、ユウジ殿」

ナージの言葉は、追放というよりは、むしろ息子の背中を押す父親のそれに近かった。

「…旅立ち…分かりました。ナージさんの言う通りにします」ユウジは静かに頷いた。悔しさがないわけではない。だが、村長や村人たちのことを思えば、それが最善の道なのかもしれないと、無理やり自分を納得させた。

「まぁ、今日明日出て行けって話でもねぇ。旅の準備もあるだろう。それまでは、俺がみっちりしごいてやる。少しでもお前さんの旅が安全になるようにな」サーベルが力強くユウジの肩を叩いた。

「ありがとう…サーベルさん」

「ごめんなさい…ごめんなさい、ユウジ…私のせいで…」アヤナはユウジの胸で声を殺して泣きじゃくっている。

「泣くなよ、アヤナ。俺が好きでやったことだ。それに、アヤナが無事で、村も守れたんだから、それでいいんだ」ユウジはぎこちなくアヤナの頭を撫でた。

それから数日間、ユウジは旅立ちの準備を進めながら、サーベルから集中的な訓練を受けた。村の鍛冶屋が、例の鉄棒を叩き直し、ユウジの体格に合わせた頑丈な穂先を持つ槍を作り上げてくれた。サーベルはそれに合わせ、片手で扱える木の盾(これもスキルで出した鉄板で補強されている)と、槍と盾を組み合わせた基本的な槍術、そしてクロスボウのより精密な射撃術を叩き込んだ。ユウジは必死に食らいつき、その動きは少しずつだが確実に様になっていった。

そして、旅立ちの日が来た。

村人たちが見送りに集まり、それぞれが感謝の言葉や餞別をユウジに手渡す。子供たちは涙ぐみ、ナージ村長は「達者でな」とだけ短く告げ、深く頭を下げた。

ユウジは、新調された旅装に身を包み、背には愛用のハーモニカと、サーベルから譲り受けた革鎧、そして手には鉄の槍と木の盾を携えていた。

「みんな、本当に世話になった。ありがとう」

深々と一礼し、ユウジはターナ村の門をくぐった。

一人、また一人と村人たちの姿が見えなくなり、ついにターナ村が丘の向こうに隠れようとしたその時。

「ユウジーーーっ!」

聞き慣れた、しかし切羽詰まったアヤナの声が響いた。振り返ると、息を切らせてアヤナが走ってくる。その隣には、大きな荷物を背負ったサーベルの姿もあった。

「アヤナ!?サーベルさん!?どうして…」

「私も行くわ!ユウジが村を出なきゃいけなくなったのは、私のせいでもあるんだから!それに…それに、あなたの音楽、もっともっと聴きたいもの!」アヤナは頬を赤らめながらも、強い意志を込めた瞳でユウジを見つめる。

「ま、アヤナちゃんがそう言うんなら、護衛も必要だろうしな。それに、ユウジはまだまだひ弱で見てらんねぇ。俺様がついて行って、もっと鍛えてやらねぇと、世界の笑いもんだぜ、ガハハハ!」サーベルはいつものように豪快に笑うが、その目には確かな友情の色が浮かんでいた。

ユウジの目から、熱いものが込み上げてきた。

「アヤナ…サーベルさん…ありがとう!本当に、ありがとう!」

一人だと思っていた旅路に、最高の仲間が加わった。

ユウジは涙をぐいと拭い、二人に向かって満面の笑みを浮かべた。

「よし、行こう!俺たちの冒険は、ここからだ!」

三人の影が、朝日を浴びて、ルールシア大陸のまだ見ぬ地平線へと、力強く伸びていく。松村優治と、スキル「超学校」の、本当の物語が今、始まろうとしていた。

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