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異世界転生×ユニークスキル 超学校で無双する!?  作者: 月神世一


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3/23

ep 3

歓迎の宴と、初めての「超学校」

ターナ村の夜は、静かで、そして温かかった。

ユウジのために開かれた歓迎の宴は、村の小さな広場で行われていた。焚き火がパチパチと音を立て、その周りには村人たちが車座になって座っている。村で採れたであろう木の実や干し肉、香りの良いハーブで風味をつけた焼き魚、そして少し酸味のある果実酒などが振る舞われた。決して豪華ではないが、心のこもった手作りの料理は、ユウジの心をじんわりと温めた。

「ユウジ殿、こっちの酒も飲んでみてくれ!」

「あんたのその変な服、どこで売ってるんだい?」

村人たちは最初こそ遠巻きにしていたものの、酒が入るにつれて気さくに話しかけてくるようになった。ユウジはその度に照れ笑いを浮かべながら、拙い言葉で(言語理解スキルのおかげで会話は成り立っているが)応じる。

そんな中、宴の中心でひときわ明るい笑顔を振りまいていたアヤナが、ユウジの隣にそっと腰を下ろした。彼女の頬もほんのりと赤く染まっている。

「ユウジ、楽しんでる?」

「あ、うん。すごく…温かいね、この村は」

「ふふ、良かった。ねぇ、ユウジ。また、あの素敵な音楽、聴かせてもらえないかしら?みんなもきっと喜ぶわ」

アヤナの言葉に、周りの村人たちも「おお、いいねえ!」「ぜひ頼む!」と期待の声を上げる。

ユウジは少し照れながらも、ハーモニカを取り出した。昼間とは違う、夜の静けさと焚き火の揺らめきの中で、どんな曲が良いだろうか。ふと、昔音楽の授業で聴いた、あるオペラの一節が頭に浮かんだ。

「うん、いいよ。じゃあ、少し難しい曲だけど…」

ユウジは息を吸い込み、ハーモニカを奏で始めた。それはモーツァルトのオペラ『魔笛』より「夜の女王のアリア」。複雑で技巧的なメロディが、小さなハーモニカから驚くほど豊かに、そして力強く紡ぎ出される。コロラトゥーラの超絶技巧を思わせる高音域のきらめき、激情を秘めた旋律が、焚き火の光と踊るように夜空へと吸い込まれていった。

村人たちは、最初はその技巧的な響きに息を呑み、やがてその人間離れしたかのような美しいメロディに完全に心を奪われていた。酒を飲む手も止まり、広場は水を打ったように静まり返り、ただユウジの奏でるハーモニカの音色だけが支配していた。それは、彼らが今まで聴いたことのない、荘厳で、どこか神聖さすら感じさせる音楽だった。

演奏が終わると、一瞬の静寂の後、わっと大きな拍手と歓声が巻き起こった。

「すげえ!なんだ今の!鳥肌が立ったぞ!」

「まるで星の歌のようだ…!」

その時、ユウジの頭の中にだけ、あのどこか軽い女神の声とは違う、無機質な女性の声のようなものが響いた。

《女神システムより通達。松村優治様の演奏は、ターナ村の村人の芸術・教養レベルの向上に貢献しました。初回ボーナスにより、スキルポイントを50ポイント加算します》

「え…マジかよ!?」

思わず声に出して驚くユウジに、アヤナが不思議そうに顔を覗き込んできた。

「ユウジ?どうかしたの?」

「あ、いや、なんでもない!ちょっと待ってて、アヤナ!ええと、スキルポイントが50…これで、もしかしたら…!」

興奮を抑えきれないユウジは、立ち上がって両手を前に突き出した。今度こそ、という祈りを込めて。

「スキル発動!【超学校】!!」

すると、今度は確かに何かが起きた。ユウジの目の前に、ふわりと半透明の青白い光が集まり、長方形の板のようなものが現れたのだ。それはまるでSF映画に出てくる電子ボードのようで、表面にはいくつかの文字やアイコンらしきものが浮かび上がっている。

『超学校システム ver.1.0』

『現在のスキルポイント:50 SP』

『選択可能カテゴリ:【小学校】』

「うおっ、出た!これが…!」

ユウジは恐る恐る、光のボードに浮かぶ【小学校】という文字に指で触れてみた。すると、画面が切り替わり、新たな選択肢が表示される。

『【小学校】カテゴリ:

・学用品セット(10 SP)

・給食(1食分/5人前)(30 SP)

・体育用具(ボール各種)(20 SP)

・図画工作セット(15 SP)

・掃除用具セット(5 SP) …他』

「給食…!これだ!消費ポイントは30…いける!」

優治は迷わず【給食(1食分/5人前)】を選択した。

すると、目の前の空間が再び淡く光り、次の瞬間、ほかほかと湯気を立てる金属製の食缶と、食器が重ねられたカゴ、そして銀色の大きな先割れスプーンが人数分、まるで手品のように目の前の地面に現れたのだ!

食缶の蓋を開けると、そこには香ばしい匂いのカレーライスと、色とりどりのフルーツポンチがたっぷり入っていた。そして、人数分の牛乳瓶まで添えられている。

「スゲェ…!本当に給食だ!食器までちゃんと付いてる!」

ユウジ自身が一番驚いていた。村人たちは、突然目の前に現れた見たこともない料理と金属の器に、あんぐりと口を開けて固まっている。

「おおおぉぉ…!?」「な、なんだこれは…魔法か!?」

アヤナも目を丸くして、恐る恐るカレーの食缶に近づいた。

「ユウジ…これは…食べ物、なのよね?」

「うん!俺の世界の『学校』で出てくる『給食』っていう料理なんだ。みんなで食べようぜ!」

ユウジが手際よくカレーライスを食器によそい、村人たちに配っていく。最初は戸惑っていた村人たちも、アヤナが勇気を出して一口食べ、その顔をぱっと輝かせたのを見て、次々と手を伸ばし始めた。

「おいしいっ!!何これ、すごくスパイシーで、でも野菜の甘みもあって…こんな複雑で豊かな味、初めて!」アヤナは目を輝かせながら、夢中でスプーンを動かす。

「こ、こんな旨い物は生まれて始めてだ!なんだこの白い飲み物は!?コクがあって、ほんのり甘い!」村の長老らしき老人が、牛乳瓶を掲げて感動している。

子供たちは、口の周りを黄色くしながらも、無言でカレーライスをかき込み、時折「おいしーい!」と歓声を上げる。フルーツポンチの甘酸っぱさには、特に目を輝かせていた。

ユウジも久しぶりの給食のカレーを一口食べ、懐かしさと美味しさに思わず顔がほころんだ。

「ははっ、やっぱり美味しいな、給食は」

異世界の、しかもこんな状況で給食のカレーライスを食べる日が来るとは、夢にも思わなかった。

アヤナは、村人たちが喜び勇んで未知の料理に舌鼓を打つ様子と、それを見て嬉しそうに笑うユウジの顔を交互に見つめ、心からの笑顔で言った。

「凄いわ、ユウジ!あなたのスキルは、本当に素敵ね!こんなに美味しい食事を、みんなに届けてくれるなんて!」

「はは…参ったな、こんなに喜んでもらえるとは」ユウジは照れくさそうに頭を掻いた。

ハーモニカの美しい音色と、予期せぬ美味しいご馳走。ターナ村の歓迎会は、かつてないほどの大盛り上がりとなった。村人たちは、ユウジへの感謝の言葉を何度も口にし、彼を真の仲間として受け入れた。

焚き火の光が揺れる中、ユウジは、この異世界で初めて確かな手応えと、ささやかな希望を感じていた。スキル「超学校」は、まだ謎だらけだが、きっとこの村の人たちの役に立てるはずだ。そして、いつかはこのスキルで、もっと大きなことができるようになるかもしれない。

そんな期待を胸に、ターナ村での新しい一日が、温かく幕を閉じたのだった。

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