表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生×ユニークスキル 超学校で無双する!?  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/23

ep 19

消えた小さな影、そして動き出す仲間たち

グレンスでの数日は、エスゼナ・グレスレイン邸の温かいもてなしと、新しい発見に満ちたものだった。冒険者ギルドや商人ギルドへの登録も済ませ、ユウジはこの大都市で自分に何ができるのか、少しずつ考え始めていた矢先のことだった。

その日の夕暮れ時、ユウジたちが街の散策から屋敷に戻ると、いつもとは明らかに違う空気が漂っていることに気づいた。玄関ではメイドたちが小走りに動き回り、執事の顔には焦りの色が浮かんでいる。そして、客間で待っていたエスゼナは、血の気の引いた顔で窓の外を繰り返し見つめていた。その手は微かに震えている。

「エスゼナさん、どうされたんですか?何かあったんですか?」

ユウジが声をかけると、エスゼナははっとしたように振り返り、その瞳には深い不安と恐怖の色が浮かんでいた。

「ユウジ様…アヤナ様、サーベル様…!大変なのです…!息子が…イアンが、まだ帰ってこないのです…!」

その声はか細く、今にも泣き崩れてしまいそうだった。

「何!?イアン君が?そんな…」ユウジは絶句した。あの無邪気な笑顔が脳裏をよぎる。

「カガン護衛隊長たちには既に連絡し、街中を探させているのですが…もう日が暮れかかっているというのに、何の連絡も…」エスゼナは言葉を詰まらせ、ぎゅっと拳を握りしめた。気丈に振る舞おうとしているが、母親としての不安は隠しきれない。

「落ち着いてください、エスゼナ様!すぐに私たちも捜索に加わります!」アヤナが力強く言い、エスゼナの肩にそっと手を置いた。

「おう、当たり前だ!あのちっこいのがいねぇと、屋敷も静かすぎて落ち着かねぇからな!」サーベルもいつもの軽口とは裏腹に、その虎の瞳には鋭い光を宿している。

「しかし…一体どこを探せば…?グレンスは広いぞ」

「エスゼナさん、イアン君が今日出かけていた場所に、何か心当たりはありますか?いつも通る道とか、寄り道しそうな場所とか…」ユウジは必死に頭を回転させ、情報を引き出そうとした。

「イアンは…今日は街の西地区にある、貴族の子弟が通う『クレリック』という学び場に行っておりました。いつもなら、もうとっくに帰宅している時間なのですが…あいにく、今日は私が少し手が離せず、いつものお迎えの者を向かわせるのが少し遅れてしまって…その間に何か…」

エスゼナは自分を責めるように唇を噛んだ。

「分かりました。その貴族塾『クレリック』から、この屋敷までのルートを徹底的に探しましょう。もしかしたら、途中で何か手がかりが見つかるかもしれません」ユウジは即座に提案した。

「お願いします…!ユウジ様、皆様…どうか、どうかイアンを…!」エスゼナは深々と頭を下げた。

エスゼナからクレリック塾の場所と、イアンが普段使う道筋を詳しく聞き出すと、三人はすぐさま屋敷を飛び出した。日は既に西の空を赤く染め、街には家路を急ぐ人々の喧騒と、夜の帳が下り始めようとしていた。

「急ぐぞ!夜になれば、捜索はさらに困難になる!」サーベルが先陣を切り、その逞しい足取りで人混みをかき分けて進む。アヤナは持ち前の広い視野で周囲を見渡し、些細な異変も見逃すまいと神経を集中させている。

ユウジもまた、必死に周囲に注意を払いながら、頭の中ではスキル「超学校」の可能性を探っていた。

(何か使えるものはないか…?暗い場所を照らすなら【理科室】の『強力な懐中電灯』?いや、もっと直接的な手がかりを…【図書室】の本に、誘拐犯の追跡方法とか載ってないか?いや、そんな都合の良いものが…でも、諦めるな!)

今はまだ、具体的な活用法は思いつかない。だが、必ず何かできることがあるはずだ。イアンのあの無邪気な笑顔を、もう一度見るために。

クレリック塾に到着するも、塾の教師によれば、イアンは確かにいつも通り授業を終えて塾を出たという。手がかりはない。

三人は、塾からエスゼナ邸へと続く道を、文字通りローラー作戦で調べ始めた。道行く人々にイアンの写真(エスゼナが護身用に持たせていた小さな肖像画)を見せて聞き込みをし、路地裏や公園、空き家など、子供が迷い込みそうな場所、あるいは連れ去られそうな場所をしらみつぶしに探していく。

しかし、時間は無情にも過ぎていく。街には街灯が灯り始め、人通りもまばらになってきた。焦りと不安が、じわじわと三人の心を蝕んでいく。

「くそっ、どこに行っちまったんだ、イアンの奴…!」サーベルが苛立たしげに唸る。

「諦めないで、サーベル!きっとどこかにいるはずよ!」アヤナは自分に言い聞かせるように言った。

ユウジは、きつく唇を噛み締めた。無力感が全身を包む。だが、ここで諦めるわけにはいかない。

(必ず見つけ出す…!俺のスキルで、この状況を打開できる何かを…!)

彼の瞳には、まだ諦めない強い光が宿っていた。イアンを探すための、時間との戦いが始まったばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ