2/5
1.begining.
「新入りが来るってよ」
虫一匹もいない人工芝の上に寝転がっていたジンの上に、声が降る。
「そりゃまた、唐突な」
よっこらせ、と上半身を起こす目線の先で、黒髪の男が唇をゆがめた。
「唐突に捕まるもんだろ? 逸脱者は」
違いねぇ、と。
笑いながらジンは胡坐をかく。
「副長のお前が知らせに来るくらいだ。第一級逸脱か?」
代わりに出迎えよろしく、と続くはずだったジンの言葉を遮ったのは、副長と呼ばれた黒髪の男が放つ言葉だった。
「いや」
「まさか・・・」
いぶかしむように細められた視線をあっさりと受け流した黒い双眸が、真剣な色を帯びた。
「お前以来の特級だとさ」
「そうか……」
一瞬閉じた紅い目が何を思ったのか、おしはかることは副長にもできなかった。
腰を上げたジンの背中で、紅く長い髪が揺れる。
島の西を統べる紅の、リーダー自らの出迎えに行く。
情報を伝える前から分かっていた事実に、副長は今更ながら一人ごちた。
「一波乱、ありそうだ」