どうやら間違えてしまったようです
「ソフィア、ソフィア〜‼︎」「ソフィア、嫌よ!死んでしまうなんてダメですよ!ソフィア!」「お願いだソフィア…行かないで…!」
…うっ!い、痛い!痛いわ!胸を殴られているんだけど!
うっすら目を開けると、ソフィアの額を抑え片手でリズム良く胸部を圧迫していた男性の手が止まる。
「意識が戻ったようです!」
「ソフィア!」「ソフィアぁ〜!良かった!ソフィア〜!」
…あら?どなた?
自分の名前を泣きながら叫ぶ若い夫婦と幼い子ども。
呼ばれた気がして来てみれば、全く知らない家族に囲まれている。
「あぁ、奇跡だわ!神様ありがとうございます!」
「本当に奇跡のようだ。先生、ありがとうございました。先生でなかったら助からなかったかもしれない」
「いやいや、正直私も状態からして助かる確率はかなり低いと考えていました。この蘇生は奇跡的ですよ。ご家族が諦めずに呼び留めた結果です」
…あらまぁ…どうやらわたくし、間違えてしまったようね。ソフィア違いだったんだわ。
そう。人生を全うし、天国へ向かっていたはずのソフィア・ワッツの魂は、この身体の元々の持ち主であるソフィア・ティア・ラルヴァードの魂が天に召された瞬間に、入れ替わるようにして宿ってしまったのである。
ソフィアはしばらく混乱していたが、周囲の状況から考えて今の自分の身体が別の『ソフィア』であることを理解した。
…何があったのかは分からないけれど、この身体の『ソフィア』は、きっと助からなかったのね…。