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プロローグ
そこはまさしく魔の森と呼ぶに相応しい場所
通常の森とは明らかに異なる色感、本来ならば見る者全ての心に落ち着きと安らぎを与える美しい緑色であった筈の木々はアザレア色に染まり
兎や鹿などの草食動物で溢れかえっていたその場所も今では獰猛な肉食の魔物しかいない
それもその筈――――ところかしこに散らばる魔石灯、辺りに蔓延している魔素、こんな所で生きていけるのは上位の魔物のみ、かよわい動物がこんな過酷な地で熾烈に行われる生存競争で勝ち残れる道理などあるはずもない
魔界と人間界の狭間 アザレアの森
その最深部
そこにいるモノを人々はこう呼ぶ
災いの権化 佇む死 人族の敵
―――魔王 と
「どうして――――こんな事に――」
「誰か――誰でもいい――――」
「もう俺を――――――」
――――――終わらせてくれ