表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

母が妹

作者: かに高専

5分程度で読めるとても短いお話です。どうぞ気軽に読んでください!


物心ついたときから、私は兄と共に二人暮らしだった。経済的に困難な状況で、生計を立てる唯一の方法は盗みを働くことだった。私たちの住む家は、桁橋の下にある小さなダンボールだ。快適とは言えないが私たちにとっては唯一無二の家だった。私は小さいころの記憶がほとんどない。親の存在に関する唯一の手がかりは、私が大切にしていたペンダントだ。その背面には「ASAHI」と彫られていた。おそらく私の名前なのだろう。


ある日、いつも通りに盗みを働いていたところ店員に見つかってしまった。兄は店員に捕まってしまったのだが、私は全力で逃げ出した。どこまでも逃げた。必死に逃げた。逃げることしか考えていなかった。気がついたら、知らない街に迷い込んでいた。お腹がすいてきて、もう歩く力すら残っていなかった。夜が訪れ、街には灯りが灯り始めた。体温が徐々に下がってきた。私はペンダントをぎゅっと握りしめた。そうすると、ペンダントは割れ、中から小さな紙切れが現れた。それを見て、私は全てを思い出した。


昔、私は研究所で実験を行っていたのだ。その実験は人を若返らせるもので、私は同じ研究所の男性と結婚し、子供を身ごもったた。その子供の名前は「朝日」だった。実験も進み、ついには人体実験の段階まできた。その被験者は私自身だった。息子の名前が刻まれたペンダントを握りしめ、実験に挑んだ。しかし、その実験は失敗に終わり、研究所は爆発した。私は記憶を失い、体は2歳のものと同じになってしまった。それ以降の記憶は全くない。しかし、これだけは確かだ。私が兄だと思っていたものは実は私の息子だったのだ。


少し休息を取り、気力を取り戻した後、私はさまよいながら元の街に戻った。そして、橋の下に戻ると、兄がそこで待っていた。店員は事情を聞いて兄を逃がしたそうだ。私は兄に真実を打ち明けた。兄はそれ素直に受け入れてた。今の生活が一変するわけではないが、二人は新しい世界へと駆け出せるような気がした。

読んでくれてありがとうございます!高評価のほうよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ