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小雪にトラブル

はい! 最近更新できていなかったぽんずです! 第九話やっと書き終わりました……。いざ文字に書き起こすと、意外に時間が掛かってしまいました。すみません(´゜д゜`)

ここからより面白い展開にするつもりなので、ぜひ期待してください!

 昼休み

 今日も今日とて午前の授業をそれなりの集中力と微々たるやる気をひねり出しなんとかやり過ごした。

 そして問題はこれからだ。授業中もなるべく考えずにはいたが……ついに時は訪れた!

 小雪のことだからまずい弁当を人にあげるわけない。だから絶対美味い弁当をくれる。はずなのになんだろうか、このモヤモヤとしたどっちつかずのこの気持ちは……。

 多分原因はあれであろう。昨日の『あーん』の一件、それと今朝からのハイなテンションが起因して俺を不安に駆り立ているのだろう。

 しかし、よくよく考えれば万に一つの可能性も小雪がそんなことをするはずがない。むしろなぜそんなことをする必要があるのか、それこそ謎なんだ。

 そうだ、俺の考え過ぎなんだ! 小雪に限って俺の苦しむ姿を見て喜ぶはずはない! むしろこれはご褒美だ! 小雪からの手作り弁当を食べれる人間なんてそう多くはないんだ! 多少失敗していて中身が歪でも、炭のように真っ黒こげでもそれも含めて一つのお弁当だ!   

 ぜぇぇぇぇぇぇぇったいに残さず食べよう! そう決意を固めた。

「お前弁当食わないのか?」

 優馬の男にしてはやや高い声で正気に戻され、気付くと隣の席をくっつけ早々に座っていた。

「あるのはあるらしんだが……」

「は? どういうことだよ?」

 俺の答えが眉間にしわが寄るほど理解不能だったようで、なにいってんだ、こいつ? みたいな頭おかしい奴を見る目で俺を見ていた。そんな目で見んな、ぶっ〇すぞ。

 しかし俺も優馬の立場だったら、同じことをしていたかもしれん。

 そう思い、俺は事のあらましを優馬に教えようとした。

「それがよ――」

「あれー、二人ともまだ食べないの?」

 優馬に説明しようとしたとき春香が遮るように、いつもの席に腰掛けお弁当を広げつつ聞いてきた。俺が母さんから渡されると思っていた弁当をな‼ ……まあ、それはおいて置いて。本題に戻ろう。

「いや、それがよー。小雪が弁当作ってくれてるらしいんだよ」

「まじか、よかったじゃねぇか。そんで、その弁当のシェフはどこにいるんだ?」

 優馬が手をおでこに当て、教室内を見回す動作をしたが教室にはどこにも姿はなかった。

 すると、すでに食べ始めていた春香が箸を止め、小雪のいない理由を教えてくれた。

「それなら多分購買に行ったんじゃない? さっき飲み物持ってくるの忘れたって言ってたし」

 昼休みが始まってまだそんな時間も経っていないから、ついさっき買いにいったのであろう。

 飲み物忘れるって案外抜けてるところあるからな、小雪は。小雪も完璧な人間じゃないからミスぐらいするのだが、しっかり者のちょっと抜けたところがまた可愛さを引き立たせるんだよなぁ。たまんねぇよなぁ!

「しゃーねぇ、昼飯を作ってもらってるんだ。飲み物くらい買わないと漢が廃るってもんだ」

 俺はスクバから財布を取り出し、急いで席を立った。

 その瞬間、優馬の顔がニヤリとするのが見えた。

「おっ! かっこいいね! まさに漢の中の漢だな!」

 すかさず優馬が俺を囃し立てたかりに来た。こいつ俺にジュース奢ってもらう気満々で煽ててきやがったな。まさにクズ野郎の所業だな。だが……。

「そんな煽てても奢ってやんねぇぞ」

 俺が奢る気が無いことをストレートに伝えると、優馬の顔が若干のムカつきを含んだ顔になった。そして今度は手の平を返すように貶してきやがった。

「うわぁ! 財布に札数枚入れてるくせにたった百円程度も奢ってくれないなんて、なんと器の小さいケチ野郎なんだろう! 男が聞いて呆れるぜ!」

「そーだそーだ、男じゃないぞー」

 春香まで優馬にのっかて俺を貶してきやがった。こいつもたかる気満々だったのか。ろくでもないやつらだな、こいつら。

 そっちがその気なら……。

「あぁ、残念だ……。せっかく給料がいつもより少し多かったから日頃の感謝の意味も込めて奢ってやろうと考え直し――」

「なにしてんだ、早くいくぞ! ジュースが売り切れちまう!」

「なにしてんの! ダイちゃん! 早くいかないと売り切れちゃうよ!」

 こいつら……。まだ言い終えてないうちから席を立って扉の方に動き出し始めやがって。なんてやつらだ……。

「はぁ……、現金なやつらめ……」

 軽いため息と愚痴を吐きつつ、やつらの後に続いた。


 今日の購買はいつもに比べると人だかりも少なく、まばらだった。

「なんか久しぶりにここ来たかもー」

 周りをキョロキョロしながら、春香がそっと呟いた。

「そりゃ人をパシリのように使えば、自分では来なくなるよな」

「そ、そんなパシリにしてないじゃん!」

「どうだか……」

「もう!」

 さっきの意趣返しのつもりで揶揄った。春香はバカだから揶揄いがいがあって面白れぇぜ。

 でも、そんなことはさて置き。目的の小雪さんはどこかなー。

 まばらと言っても、ちたほら増えてきた気もしないこともない。証拠にさっきより賑やかになってきている。

優馬が小雪を見つけたのか、肩を叩き小雪がいる方に指をさした。

「おい大貴、あそこで囲まれているの小雪じゃないか?」

「ん? どこだ?」

「ほら、あそこの自販機のところ」

 優馬は自販機を指さし、そこには小雪が困った顔をしながら二人の男子生徒に絡まれていた。

「おい、早く行って助けねぇとやばくないか」

「そうだな」

 俺たちは人の間と間をすり抜け小雪の元へと急いだ。


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