小雪とデート・想
お久しぶりです、ぽんずです(^▽^)/
約一年ぶりの更新で待ってくださっていた読者の方には申し訳ない気持ちです(;´д`)
こんなかんじで不定期にぽつぽつ更新していくと思いますが、ぜひ読んでください!
「お待たせいたしました。ほうれん草のクリームソースオムライスとたっぷりチーズのオムライスになります」
俺たちと同世代ぐらいの女の店員さんがオムライスを両手に乗せ運んできた。
「あざーす。あっ、あと取り皿一枚お願いしてもいいっすか?」
「かしこまりました。少々お待ちください」
定員さんが去ると、小雪は二つ並んだオムライスを被写体にスマホを向けた。
「意外だな。小雪も今どきのJKみたいに『映えー』な写真撮るんだな。あれかインスタにでも上げんのか?」
「いえ、インスタは元々やってませんが、記念に一枚撮っただけです」
「ふーん。なんの記念だ?」
ニコッとしながら小雪は答えた。
「初めてのデート、の記念です」
「そ、そ、そうか……」
ぐはぁ! またやられた! くそっ! 適当な会話からも俺を照れさせてきやがる! 童〇男子の心臓には悪すぎる!
俺はそっけない対応でその場を乗り切るしかできなかった。
するとタイミングよく店員さんが取り皿を持って来てくれた。
「取り皿お持ちいたしました」
グッドタイミングだ! 店員のお姉さん! 仕事もできて、空気も読めるあなたは最強の店員だな!
心の中で褒め称えながら、取り皿を受け取った。
「じゃあ半分にすっか」
「はい。おねがいします」
二つのオムライスをナイフで切り分け、半分こ、の状態にした
一枚の皿に半分に切った二種類のオムライスが。二枚の皿には半分にしたそれぞれ別のオムライスを載せるように盛り付けた。
前者を小雪に渡した。
「っと。こんなもんか」
「ふふっ。お見事です」
「よし、んじゃ食うか」
「そうですね。いただきます」
スプーンを手に取り、オムライスを食べ始めた。
「食った食った」
「甲乙つけ難いほどに、両方美味しかったですね」
「だな。こんだけ美味かったら違う味も気になるし、また今度あの二人も連れて食べに来ようぜ」
「そうですね。そしたら四種類の味が楽しめますね」
「ははっ、切り分けるの大変だろうな」
なんて次の予定を立てているあたり、ここのお店は当たりだったみたいだ。
「飯も食ったし、そろそろ行くか」
「その前にお手洗いに行って来ますね」
「ん。了解」
お手洗いを済ませ、席に戻るとテーブルには三枚の皿とその上にスプーンとナイフが重ねられ、コップもまとめて置いてあった。
こういうところもまたダイくんの魅力なのでしょう。店員さんを気遣い、片付けやすいようにまとめて置いておく。些細なことでも誰かのことを思い行動をすることは容易ではない。
それを彼は当たり前のようにやっている。
私が彼に惹かれたのはこういうところなのかもしれない。
「お待たせしました」
私の想いなどつゆ知らず、彼は呑気にスマホをいじっていた。
「よし、そんじゃ行くか」
立ち上がるとダイくんは伝票を持って会計に向かって足早に歩いて行った。
このこと自体はいつもと何も変わりません。会計を効率よくスムーズにするためにいつの日からかそうしていました。私たちは誰か一人が先に払って、あとからお金を渡すというのが、ルールのようになっています。
お店を出ると、ダイくんは大きく伸びをし体をほぐした。
「私の分おいくらでした?」
バックから財布を取り出し、食べた分の代金を渡そうとすると
「いや、ここは俺が奢るよ」
「いえ、そういうわけには――」
「いいだろ、今日ぐらい。俺に華を持たせてくれよ。なんたって『デート』なんだから」
デートの部分を強調して言うあたり、駅での仕返しということなのでしょう。私の照れる反応を期待して、少しばかりのドヤ顔と窺う表情が混ざり合い、可愛く思えた。
ただその手に乗るわけにはいきません。
「では、ここは素直に甘えさせてもらいますね。ありがとうございます」
私は純粋な気持ちでお礼を伝えた。
「お、おう」
私の反応はダイくんの期待した反応とは違ったのだろう、戸惑いが隠せていなかった。
ならばと、こちらもすぐさま反撃の態勢をとる。
「デートの続きとしましょうか。エスコートお願いしますね」
「くっ、任せろ……」
悔しがるダイくんもまた愛しく、温かい気持ちになっていく。
私達はモール内をぶらぶらしながら、目ぼしい店を見つけてはショッピングを楽しんだ。
「この服とこっちの服どちらににしましょう?」
右手にコバルトブルーのロングパンツ、左手にグレーのチェック柄のスカートを持ち、ダイくんの意見を聞いた。
「そーだな……。水色の方は夏の暑い日に海に行ったときに、浜辺で海水を掛けながらイチャイチャしたい気分になるな。で、グレーの方は今日みたいなショッピングで隣を一緒に歩きながらイチャイチャしたい気分になる」
どちらもイチャイチャするための恰好になってしまい、的を射ていた回答は返ってこなかった。
「結論は?」
グッドポーズを決め、自信満々に
「どっちも似合う!」
真っ直ぐに本音を伝えているのがわかった。
「ふふっ、ありがとうございます。
では聞き方を変えますね。どちらの服がダイくんの好みですか?」
すると、今度は顎に手を当て先ほどより真剣に考える仕草をとる。
「両方好きだけど、強いて言うならこっちかな」
そう言い、指さしたのはすぐ近くにあったデイスプレイ用のマネキンが履いていたパールブルーのロングスカートだった。
「なんて云うんだろうな……。手に持ってる青色のより淡い水色の方が優しさがあって、凪みたいな包み込むような静かさが小雪っぽいなーって感じがする。あと俺はロングスカートが好きだな」
「あれが私っぽい……」
「そそ、いつも俺たちがふざけたり馬鹿なことしてて、みんなに笑われても小雪だけはそれを落ち着いた笑顔で見守って、終わった後に、やりすぎです、って宥めてくれる感じが優しい海みたいな感じがするんだよなー」
マネキンのスカートを見ながら、穏やかに微笑む彼の横顔に私は目が離せなかった。
その瞬間、拍動の音が急激に跳ね、音を大きくしているのが分かった。
あぁ、やっぱりたまらなくダイくんのことが好きだ。
自分の気持ちを自覚していても、いや自覚しているからこそ、不意にドキッとさせられと頬の熱が全身に伝播していく。
けどそれよりも速く、好きだなって気持ちが先に体中を巡っていく。
「あ、ありがとう、ございます……」
気付いたら、そう口にしていた。
「待って、いま俺めちゃくちゃキモいこと言ってんじゃん、ハズっ」
我に返ってそっぽを向く彼の耳は私と同じように熱を帯びていた。
「でも……嬉しいです、そう想っててくれて……」
体の熱は惜しくも徐々に引いていくも、素直な気持ちを伝えることができた。
もっと知りたい。
どんなものを好むのか。
どんなことで喜んでくれるのか。
どんなことを思っているのか。
私をどう想っているのか。
知ってるようなことも、知らないことも。
全部知りたい、あなたの全てを私に教えてほしい。




