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篠原家と珍休日

どうもーぽんずでーす。

筆が思うように進み、更新速度が前のようになってきましたー。

自分で自分を褒めたいくらいですわ。

と、まぁなんとなく思いついた休日の一コマです。

楽しんでいただければ幸いです。

 

 そこからの日々は早かった。

 いつも通り学校に行き、いつも通り授業を受け、いつも通りあいつらと駄弁っていると、あっと言う間に時間は過ぎていた。


 迎えた日曜日。

 休日のバイトが無い日は、昼近い時間まで布団に入ってゴロゴロしているのだが、今日は珍しく早い時間に目が覚めた。

 小雪と出かける予定だが、それにしても早すぎる気が。

 時計を確認すると、六時三十一分。

 案の定早かった。

 あれだな、春香が平日起こしにくるからこの時間になれたんだな……。

 眠い目を擦りながら、リビングへと階段を下りた。

「あら、あんた日曜なのに早いわね」

「なんか目が覚めてな」

「これもハルちゃんのおかげね」

「だろうな……」

 母さんはソファでコーヒー片手にテレビを見ていた。

 平日は朝から忙しなく動いているのに、休日はゆっくりとしている。主婦としてのオンオフがちゃんとしている。

 感心しつつ、俺はトースターに食パンをセットした。

 日曜は各々起きる時間がバラバラなため、朝飯が準備されておらず自分で作るしかない。

「あんた今日バイト?」

 テレビを見ていた母さんが唐突に聞いてきた。

「いや、今日は優馬に代わってもらったから休み」

「珍しいわね、どこか行くの?」

「あぁ、小雪と隣町にできたショッピングモールに行って来る」

「ユキちゃんと二人で? これまた珍しいわね」

「まぁな。で、なんか用でもあったのかよ」

 こうやって予定を聞いてくるときは何かある時だ。

「あたし、今日の夜会社の子とご飯食べに行って来るから。各自で作るなり出前取るなりしてちょうだい」

 すでにテレビの方に目をやり、どうでもよさそうに告げた。

「ふーん、会社の子……。はっ! まさか不倫⁉ とうとう父さんに愛想尽かして若い男に鞍替えってか!」

 昼ドラのようなことを冗談で言った。

「バカじゃないの、女の子に決まってるでしょ。 それともなに、心配してんの? 美人な母が若い男に取られるのか。ふふふ、可愛いとこあるじゃないのよ。やっぱり息子っていうものはいつまで経ってもお母さん大好きなのね」

 うわぁ……ウゼぇ……。なにが可愛いとこあるじゃないの、だ。可愛いとこしかないだろ。気色悪い声出しやがって。

「だれも母さんの心配なんてしてねぇよ。むしろ父さんの方が心配だわ。ほとんど家事してるところなんて見たことないし、もし離婚なんてしたらちゃんとした生活を送れるのか不安なレベルだわ」

 これは常々思っていたことだ。

 今や社会全体が男女平等を掲げ、仕事と同様に家事や育児も夫婦二人でこなすのが必要不可欠になった時代だ。

 そんな中、家に帰れば呑気にダラダラ寝ている父さんが、万が一母さんと離婚して一人で暮らしているのを想像したら、荒れ果てた家になってるのが目に見えている。

「大丈夫よ、あの人なら何とかやっていけるわよ、多分」

 心配している素振りも見せずに、なぜそう言い切れるのだろう。

「その根拠は?」

 訝しみつつも母さんの答えを待った。

「ただの女の勘よ」

 なんだそれ。あんましあてになんねぇじゃんか。

 チーン。バタン!

 トースターから甲高い音と同時に、父さんが勢いよく扉を開ける音が響いた。

「あら、あなたも早いのね。まだ七時にもなってないのに」

「そ、そ、そ、そんなことより、り、離婚ってなんだ⁉ 離婚するのか⁉ お、お、俺は嫌だぞ! 離婚なんてせんぞ!」

 父さんはパジャマ姿に寝癖が跳ねてぼさぼさの髪の毛で母さんのもとに駆けよった。

「はぁ? しないわよ離婚なんて。今のところは」

「い、い、い、今のところは⁉ じゃあ、そのうち離婚したい時が来るのか!」

「冗談よ、冗談。ほら、あんたが変なこと言うから」

「俺のせいかよ……」

 たしかに、離婚のことを言いだしたのは俺だけど、それよりも必死すぎだろ、父さん。

「ほ、ほんとにに離婚しないよな!」

「だから、しないって言ってるでしょ!」

「そっ、そっか……よかった……。由美がいないとおれ……生きていけないからな……」

「あなた……」

 あのー、お二人さん。そういうのは息子がいないときにしてもらえますか。見てるこっちが気まずいんですが。

 あと、ジャムはイチゴに限る、うまい。

「だって由美がいないと毎朝だれにおはようと行って来ますを言えばいいんだ。美味いご飯は誰が作ってくれるんだ。寝る時だってだれに抱き着いて寝ればいいんだよ。それに――」

「も、もういいから」

 母さんの耳と頬が朱色に染まって照れてやがる。なんだかんだ初めて見たかもしれん、あんな母さん。

 だが、できれば俺のいないところでやってくれ。空気みたいになってんじゃん、俺。

「あたしも、あなたがいないと生きていけないから……」

 デレたよ、デレデレですよ。聞きました? 母が女になった瞬間ですよ。

「あ、あたし洗濯もの干してこなきゃ……」

 勢いよくソファから立ち上がるとそそくさとリビングを後にした。

 残った男二人には数秒の沈黙という気まずさが場を占めた。

 父さんは平然としているが、空気に徹していた俺からすれば何を朝から見せられてんだって話なんだけど。

 だが、いつまでもこんな空間にいるのはまっぴらごめんだ。

「……なんであんなこと言ったんだよ」

「ん? まぁ、あれだ。夫婦の愛を確かめたくなった、的な?」

「なんだよ、それ……」

「あと小遣いをあげてもらうため」

「そっちが本命だろ」

「ふっ、かもな」

 父さんは大きな欠伸と共に寝室に戻った。


 俺はいったい朝から何を見せつけられたんだろうか……。


感想待ってまーす。

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