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小雪がナンパでピンチ!

数週間ぶりの投稿になり、本当に申し訳ありません! 

その分、内容もいいものが書けたと我ながら思ってしましました(笑)

良ければ感想や誤字脱字の修正等々お待ちしております!

四限の授業も終わり、お昼を食べようと思いバックからお弁当を取り出そうとした。

ちゃんと盛りつけもバランスよく並べられましたし、ダイくんの好みのおかずも由美さんからリサーチ済み。抜かりはありません。

バックからお弁当二つを取り出したところで、あることに気が付いた。

あれっ? 水筒がない……。あっ、そういえば今朝リビングのテーブルに置いたままのような気が……。ツイてませんね……。完璧に準備したつもりでしたのに。……仕方ありません、今から購買でお茶を買いに行って来ましょう。

バックから白色の小銭入れをポケットに入れ、購買に向かおうとしたときハルちゃんに呼び止められた。

「ユキちゃーん、どっか行くのー?」

「水筒を忘れてしまったので、購買でお茶を買いに行こうかと思いまして。ハルちゃんの分も何か買ってきましょうか?」

「んーん、大丈夫だよ~。家から水筒にアールグレイ淹れて来たからー」

「アールグレイとは……オシャレですね」

「えへへ、ま~ね」

褒められて嬉しかったのか、ハルちゃんは満面の笑みで頷いた。

二言三言会話し、私は教室を出て購買に向かった。

購買に着くと、人だかりは無く自販機も数人並んでおらず、すぐに順番が回ってきた。

私はお茶で、ダイくんのは……何にしましょう。

三台設置されている自販機をひと通り見回すと、奥の自販機にあるメロンソーダが目についた。

あっ、メロンソーダ。よくダイくんが飲んでいた気がします。

そうです。昔からダイくんはファミレスなどのドリンクバーで決まってメロンソーダをよく飲んでいました。これにしましょう。

三百円入れてお茶とメロンソーダのボタンを押すと、ガコっとペットボトルが受け取り口に落ちる音がしたのを確認して、しゃがんで二本のペットボトルを取り出した。

よし、目的のものも買えましたし教室に戻りましょう。

そう思い、立ち上がろうとしたとき背後から声を掛けられた。

「おーい、そこの自販機にいる可愛いおねーさーん」

私は立ち上がり自販機周囲を確認すると、先ほどまでいた数人の人たちはすでにおらず、私と目の前にいる二人組の男子生徒しか近くにいなかった。

男子生徒は二人。ネクタイの色は赤、ということは一年生。

この学校は学年ごとにネクタイの色を変え、区別している。二年生は青、三年生は緑。

右側にいる男子生徒は茶色に染めているであろう髪をセットし、左側にいるもう一人は肩ほどある黒髪を後ろで結んでいる。二人ともが制服を着崩し、ブレザーのボタンを全て外し下に着ているTシャツとパーカーを見せびらかすような恰好をしている。

それに加え明らかに女性慣れした言葉遣いと態度に私は瞬時にナンパだと察した。

「……私、ですか?」

おそるおそる尋ねると、もう一人の男子生徒が食い気味に答えた。

「そうそう、おねーさんだよー。今からお昼でしょ? もしよかったら俺たちと一緒しない?」

「いえ、人を待たせているので……失礼します」

やんわりと断り、この場から立ち去ろうと彼らの横を通り過ぎようととすると茶髪の生徒に腕を掴まれ逃げれなかった。

「じゃあさ、ライン教えてよ。今度連絡するからさ。あっ、名前言ってなかったね。オレは馬淵慎太郎(まぶちしんたろう)。そっちが鹿野雅紀(かのまさき)ね」

「いえ、だから――」

「じゃあ待たせてる友達も誘って一緒しようよ」

困りました……。彼らには全く話が通じません。

私が断ろうとするも、彼らはこちらの話を聞こうとせず自分の言いたいことばかり言って、私が折れるのを待っているかのようだった。

「ねぇいいじゃんさ、ライン教えてよ。それか電話番号でもいいよ」

「い、いえだからそういうのは大丈夫ですので……」

私は何度も逃げようと試みるも二人はしつこいほどに通そうとせず、掴まれている腕を振りほどこうにもやはり男性の力には敵わず、内心このまま抵抗し続けていたら逆上して暴力を振るわれるのではないかと恐怖に囚われ、どうすることもできなかった。

そんな彼らは私の胸中など知る由もなく、それでもしつこく聞いてくる。

「そんなこと言わないでさ。ラインくらい教えてよ」

「あっじゃあ、今週の土曜日空いてる? 友達何人かで遊びに行くんだけどおねーさんも行かない? お金のことは気にしなくていいからさ」

「だ、だからそういうのは――」

断ることしか出来ない私は本当に困ってしまった。

購買でお弁当を買っている人たちに目を配ると迷惑そうにこちらを見る人、バツが悪そうに目線をそらす人。誰も私を助けてはくれそうにはありませんでした。

確かに周囲の人々の反応はなんらおかしくはありません。私だって自分が傍観者の立場なら救いの手を差し伸べることはできなかったでしょう。

それはそうです……。自分たちより高い身長、校則に反した髪色や恰好、相手にペースを掴ませない粘着質な誘い。これらにどう対処すればよいのか答えを持ち合わせてはいないのだから。

仮に正義感で行動しても、彼らのような野蛮な人たちは結局力で解決してこようとして、怪我をすることが目に見えている。

だから誰も助けてはくれそうにない状況に、私は半分諦めてしまい顔を伏せてしまった。

そんなとき――……。



「おい、その手を離せよ」



「痛てててっ!」

私の腕を掴んでいた馬淵という生徒が突然叫びだし、掴んでいた私の腕を離した。

パッと顔を上げると、馬淵君の腕を背中に回し関節をキメていたユウくんがいた。

その瞬間、私は後ろに引っ張られると背中から誰かに抱き留められるような体勢になり、上を見上げ確認すると、そこには――。

「ダイ、くん……」

私の後ろから発せられたダイくんの声は、いつも聞き慣れている声よりも低く、初めて聞く怒気を孕んだような声だったため、ダイくんだと気づかなかった。

「戻ってくるのが遅いから心配したぞ。大丈夫か? 何もされてないか?」

先ほどとは打って変わって優しく心配してくれるダイくんの声に恐怖は完全に消え去り、同時に安心感が心を埋め尽くし足の力が抜けて床にヘタってしまった。

「小雪⁉ 大丈夫か⁉」

「ユキちゃん⁉」

ダイくんの後ろにいたハルちゃんがすぐさま私の元に駆け寄り、私の背中を察すって落ち着かせようとしてくれた。

「グスッ、怖かった、です……。ダイくん、ハルちゃん……」

ダムが決壊したかのように涙が一つ、また一つと溢れ出してしまった。

「おいおい泣くなよ。泣き虫なのは相変わらず昔のまんまだな」

「うっ、うるしゃい、です……グスッ」

泣いているのを小ばかにして、面白がっているダイくん。

「よしよし、よく頑張ったね~。えらいえらい」

泣いている私の隣に腰を下ろし、ギュッと抱きしめ頭を撫でているハルちゃん。

甘い匂いが鼻腔をくすぐられるのと久方ぶりに頭を撫でられこそばゆい気持ちと相まって徐々に落ちつきを取り戻せた。

「痛ぇて! 誰なんだよおまえ!」

腕をキメられている馬淵君は顔を歪ませながら必死に抵抗していた。

「誰って、そうだなぁ……。姫を守る騎士的な?」

「なにふざけたこと言ってんだ!」

「ふざけてんのはお前の方なんだけどなー。もういっちょいっとくか?」

「痛たたたた‼」

キメられている腕がかなり痛いのか、このフロアに響くほどの叫び声をあげていた。

「てめぇ、人の連れに何してくれてんだよ!」

すると横にいた鹿野君がユウくんに向かって叫びながら殴りかかろうしていた。

「その言葉そっくりそのまま返してやるよ。それとこいつも返してやるよ」

馬淵君の腕をキメつつも、さっとパンチを躱し鹿野君の方に向き直し思いっきり馬淵君を押した。

「うわぁ⁉」

「うおぉ⁉」

二人はぶつかり馬淵君が鹿野君を押し倒したような体勢になった。

それを見たユウくんが頬を引き攣らせながら一言吐き捨てた。

「うぇ、俺そっちの趣味だけは理解し難いから、そういうのはよそでやってくれる?」

ユウくんは彼らをバカにするように煽っていた。

その言葉に呆れ混じりにダイくんが反応した。

「お前、今言うことかよ……」

「俺も初めてだぞ。喧嘩の最中にこんなこと言ったの」

「いや、それどころか殴り合いの喧嘩も初めてだろうが」

「俺殴ってはないけどな」

「……そうだったな」

「「ハハハ」」

この状況でもふざけている二人を見て、自然と口角が上がり気が楽になった。

「もう二人とも何言ってんのさ……」

そんなやり取りを聞いて、ハルちゃんは頭を抱えていた。

するとこの場にいた誰かが先生たちを呼んできてくれたのか、先生たちはこの場を収束させようとし始めた。

「チッ! 先公が来やがったか!」

「クソがっ! ぜぇって許さねぇからな! 覚えとけよ!」

そう吐き捨て彼らは去ろうとした。

許さねぇからな、この言葉に私はドキッとした。彼らが今度は仲間を連れて報復に襲ってくるのではないかと……。チラッと横にいるハルちゃんに目を向けた。

もしかしたら、私だけでなくハルちゃんまで被害に遭ったらどうしよう……。

こんなことの後だからなのか、不安になるようなことばかりが頭に浮かび、血の気がさっと引くよ感覚に陥った。

顔が青ざめていた私に気づいたのか、ダイくんが頭をわしゃわしゃとしてふっと笑ってみせた。

――大丈夫だから、心配すんな――

言葉にせずとも、そう言っているのだと感じ、その顔に私は安心感を覚えてしまった。

――ダイくんならきっと助けてくれる――

そして彼のふっと笑った顔に私は心底惚れているのだと改めて実感した。


「おい、大丈夫か! 怪我とかしてないか!」

あの二人が完全に去って、先生たちが心配そうにこちらに駆けつけてきた。

私はハルちゃんの肩を借り立ち上がり、スカートについた埃を払った。

「はい。ご心配お掛けして申し訳ありません」

そう言い、軽く頭を下げた。

「そうか、無事なら良かった……」

先生がホッと胸を撫で下ろした。

するとユウくんが何かを思いついたのか肩を抑えながら先生に訴えかけていた。

「せんせー……。さっき一年生に軽く殴られたので保健室で休んでてもいいですか……?」

「だ、大丈夫か! どう痛いんだ⁉」

「えーっと……ズキンズキンして、折れているような気がしないこともないような……」

「ほ、ホントか⁉ すぐに保健室に行くぞ!」

ユウくんは先生の肩を借りて保健室に向かった。

「……あいつ五限さぼるために仮病使いやがったな」

私はまだお礼を言ってなかったため、慌ててユウくんを呼び止めお礼を言った。

「さっきは本当に助かりました! ありがとうございます!」

私は深々と頭を下げると、ユウくんは立ちどまり



「別に助けてないよ。君が一人で勝手に助かっただけさ、小雪くん」



そう言い残し、保健室へと歩みを進めた。

「あいつ、セリフ丸パクリしやがった……」

私には分からなかったけれど、ダイくんには伝わったみたいです。

先ほどと同様にダイくんとハルちゃんにも頭を下げお礼を言った。

すると二人は顔を見合わせ、ニコッとしてハルちゃんは私に抱き着いてきて、ユウくんは私の頭をまたも乱暴に撫でてきて、それがたまらなく嬉しかった。

と、突然ぐぅ~とお腹が鳴った。その音の鳴った方を見ると

「しょ、しょうがないじゃん! 食べてる最中に来たんだから!」

ハルちゃんが恥ずかしかったのか顔を真っ赤にしていた。

スマホをポケットから出し、ダイくんが時間を確認してくれた。

「昼休みの終わりまでニ十分はあるな」

「じゃあ、急いで戻ろっか」

「そうですね」

「俺も腹減ったしよ。早く小雪の弁当食いたいしな」

そういえばそうでした……。あまりの出来事に忘れていました。

「期待しててください」

「あぁ。期待しとくよ」

自信満々な笑みで私は返し、私達はやや急ぎ足で教室に戻った。



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