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続・浪人詩集  作者: 屯田 水鏡
1/7

今思うこと。

 浪人詩集は終了したのだけれど、この頃脳みそが次第に老化している様に思えて仕方がない。明日明後日という訳ではないが、そのうちこの世ともグッドバイするのかなあと考えながら年金生活を送っているのだが、時々胸の奥を冷たい風が吹き抜けて、夜中に目が覚めることがある。時にはひどく心が寒くて、暗い奈落にどこまでも落ちていく恐怖に襲われる。というよりも、果てしない暗黒の淋しさに落ちていくような気分だ。だが、若いころのようにとがった感覚は次第に麻痺して、喜びや苦しみや哀しみ、それに死に対する恐怖はひどく薄れたように思う。そうして苦痛や恐れは老化と共に薄れるのだろう。いや、麻痺していくという表現の方が正確かも。あるいはそれが老化そのものか?

 一昨年死んだ友人が死の間際に「一体、俺の人生って何だったんだろう」と呟いたことを思い出す。多かれ少なかれ、人の一生はそんなものかも知れない。いや、「最高の人生だった」と笑って逝くのもありかな。この頃、どこかの坊主が言っていた言葉を目覚めた時に口ずさむことにしている。「朝起きて、仏の恵みの命かな。今日のともしび、如何に使わん」なんてね。もうしばらくすると、この世よりもあっちの世界の友人が多くなる。お前もそろそろ来いよと、夜、洗面所で鏡を見ていると背中から悪友が誘いに来ていると感じることがあるが、そんな時は小声で言う、「この世で生きることは大変なんだぜ。だがな、だからこそ面白い。やりたいことがまだまだいっぱいあるんだ。すまねえな、お前と会うのは、随分、先のことだぜ」と。

 まだまだ、言いたいことは尽きないが、きりがなくなる。では、一句


 正倉院を思って

夢のなか、螺鈿の琵琶を掻き鳴らし、吾は月下の絹の道行く。


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