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アルファのオメガ。   作者: 河杜 和空
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日常だけど思い出す


 お昼のチョコバー、スネッカーズ早食い大会も終わり、結局言い出しの太子タイシがスネッカーズの代金10本分全額おごることになった。チャイムが鳴り、チョコバーを5本食べた僕の口の中の甘ったるい感触もそのままに。午後の授業がはじまる。そこはいつもと何も変らないままの、授業風景。ただ時間が過ぎていき、気がつくと下校時間になっていった。


 授業が終わりチャイムが校内になり響く。部活に向かう生徒、帰宅部で下校する生徒。太子は部活動で軽音楽部のドラムを叩いているみたいだ、僕は部活動より家に帰って本を読みたかったので帰宅部にしている。

 太子はかばんを背負い、ドラムのスティックを持ち話した。


雄一ユウイチ俺、部活あるからまた明日な」


「うん、太子また明日よろしく」


 いつも太子は授業が終わると同時にドラムのスティックを持ち、リズムを刻みながら廊下を歩き、部室に向かうのが日常の光景になっている。


 僕は自宅に帰って、昨日読んだ本の続きを楽しみにしながら自宅に帰るのが日常だ。特に過去の中学時代と変らない僕の行動だけど、進学して話せる友人も出来、環境が変れば同じ行動をしていても辛くない普通の日常になることに、過去と比べて幸せを感じることもある。


 一瞬いつもの日常をなぞっていて、あの出来事を忘れて僕は日常だと思い込んでいた。教室の窓の外を見ると、津井ツイ姉妹が下校する様子を見た。その時、あの謎の言葉を思い出す。


「こういうセカイも……」

「悪くないでしょ?」


 その言葉がよぎりながらも、僕はひとり自宅に下校することにした。通学している山背高等学園の下校風景はいつもと変らない。学園内の部活でいろいろな部の、声や音が聞こえるのを背にしながら自宅まで歩く。


 自宅に帰り、部屋で本を読もうとする中。僕はお昼の変化を思い出し小声で呟いた。


「今日はいつもと違う……のか?」

「いままで同じ日常だったはずなのに、気になる津井さんと話が出来た」

「そのあと太子だけじゃなく、なぜか僕もクラスで早食いで注目された」


 今まで、同じ繰り返しで何も思っていなかった僕だけど。頭と心のどこかで、進学して望んでいた。そのことの一部が、なぜか今日、目の前で一瞬で実現した。そう今日の昼からの出来事を、自宅で思い返していた。


「♪~着信音」


なぜか知らないアドレスから、僕のスマホにメールが届く。スマホのアドレスはあまり人に教えていないはずなのに……。



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