昼の選択肢
昼休みの時間。ジャムぱんとイチゴ牛乳を持った津井さんが僕と太子の間を割って歩こうとして、そこから何か変だったことは覚えている。
「あのさ太子……津井さんって姉妹いるのかな?!」
「それがどうした雄一?津井は姉妹がいるぞ!ほらそこで今話してる」
「えっ?!さっきの太子は、津井は姉妹がいないとおもうぞって言ったよ!」
「おい……さっきって、初めて津井のことを話したぞ雄一」
「えっ?」
太子の言うことが、変っていた。
山背高等学園に入学して数ヶ月たって、クラスメイトのことは分かっていたけど気になる津井さんの昼休みの光景は、いつも一人でお弁当を食べていたのを見かけていた。僕は何かがおかしいと感じた。気づくと僕は同じ質問を太子にしている。太子の発言が変っている。津井さんは一人でお弁当じゃなく、姉妹でジャムぱんとイチゴ牛乳をそれぞれ持ちながら二人で話している。
「津井~!おまえら姉妹いつも仲がいいよな」
「太子君はこれから購買に、ぱんを買いに行くの?」
「おう!」
「ジャムぱんは売り切れてるから、綾お姉ちゃんが買い占めてるよ~」
「藍子あんたもジャムぱん好きでしょ」
太子と姉妹が楽しそうに話している、津井さん達を見てると僕は不思議な気分になる。さっきの出来事は何なのか……。
「ああ、雄一、紹介する津井綾子 と 津井藍子」
「はじめまして川田雄一 ゆういちです」
「はじめまして~」
「それから俺は大和太子」
「太子君、ねるほど~~って、知ってるよ」
「だよね~太子くんは中学から知ってるもんね~」
購買の前で初めて津井さんと話をした。何かが変って姉妹と話している太子と自分がいる。
「じゃ~藍子~今日はグラウンド前のベンチで食べよう」
「わかった、じゃ太子くんと雄一くんまた~」
僕と太子の方に間の真ん中を割って、津井さん姉妹が通り過ぎようと歩いてくる。
「ちょっと待って!」
僕は二人の姉妹が向かって歩いてくるのを制止した……!