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一ヶ月の平穏

この調子で猫耳とかいろいろ書いていきます

 帰り道、世界樹の丘の下で俺たちはエビルに遭遇した。

 水を操るという珍しい種類でそのせいで動きに相当な制限がかけられる。

「日葵、いいから逃げろ。こいつ相手だと下着が透けるぞ」

「大丈夫。ブレザーあるから」

「周りからの視線を気にし…ろッ!」

 かばいつつ戦うのは少しきついが、まあこれはこれで貴重な経験かもしれない。

 タイミングを見計らって飛んでくる水を防いだり振りかざされる腕を薙ぎ払って斬ったり。

 だがそうしていると体力の消耗は激しい。だから久々にあれを見ることになる。

「疲れた。支援任せる『戦場の歌姫』さん」

「まだ効果範囲の制御なんて出来ないけどいいの」

「OKだから早く頼む」

「わかった――我が魂よ、今ここに真の力を示したまへ。セイレーン」

 日葵は武器ではなく衣装が変わる。歌姫というよりはアイドルのような感じでもあるが。

(この衣装、久々に見るな……3年ぶりか?)

 マイクはないが、声は綺麗に通っている。そしてその歌が始まると音符が広がっていき、結界が出来る。だが制御ができていないため、効果は街にまで広がっている。

「倒れたら運んでくれよ。秘剣・樹煉獄」

 水属性相手なら貴族性は効くはず。ポ○モンとかそうだった。

 形的には弧を書くように斬るだけ。だが、なぜか属性付与効果がついている。

 飛んでくる水を斬ったり避けたりしながら近づき、コアを狙って斬りつける。

ガヴゥゥゥゥ

「ちっ、外れたか」

 惜しくもコアに当てることは出来なかったが、コアからは近かったしそれなりのダメージは与えられた。

 今の出コアもきれいにむき出しになったし、もう軽く斬れば倒せる。

「昴、早くしないと回復する!」

 水属性だからか、傷が修復されていき、コアも見えなくなっていく。

「日葵、まだ持つか?」

「大丈夫だけど、まさかまたやるの?」

「ああ、行かせてもらうぞ」

 時間がかかりそうだし確認をとってからにした。

 破壊力は抜群だが相応の体力消費がある。たぶんすぐに俺の体力は尽きる。

「秘剣・破岩崩剣」

 コアめがけて一直線に斬りかかる。

ガァァァァァ

 矛先が当たったところから衝撃波が起こり、その中心からエビルの胴体が崩れていく。

「さぁ、これで終わりだ」

 今度こそむき出しになったコアを破壊する。

「日葵、サポートありがとう」

 水属性のエビルは灰となり、世界樹の丘周辺の一部が崩れていた。

 住民は日葵の強化により体制のないものは倒れて、戦闘員をやっている人は転装機が強制発動した。

 まあ何がともあれ終わり良ければ総て良し。エビルも倒せたし特にけがもなく終わったからとりあえず俺たちの素性さえばれなければ何ら問題はない。

 日葵も特にエロいことにもなっていないし俺も体力はそこを尽きなかった。

「さ、遊びに行くか」

「うん、そうだね」

 と、このタイミングで雨が降ってきた。

「クッソ、このタイミングで雨とか倒した意味がなくなるだろ」

 傘を持っていないせいで俺も日葵もびちゃびちゃになって俺はなんら問題はないが、日葵のほうが…

「雨宿り、してくか」

「そうだね」

 家より世界樹のほうが近いし、そこならしのげるということでそこまで走っていった。



「雨、なかなかやまないね」

「タイミング悪いなー」

 樹にもたれかかってのんびりと二人で話す。

 この時間は懐かしい気がする。

「ほんと、正直レスティアはあてにならないね」

 レスティアは田中、父さんが所属していた機関。エビルが出現した時にはわかるらしいが来るまでが遅い。

「どうせ来てもこの辺なら俺たちが倒してるしあいつらが行ったところで被害は出てるわけだからね。最近の奴等は無能ばっかだし」

「あれがもっと早く来てくれればもっと楽しめるのにね」

「これも、俺たちの運命ってことでいいんじゃないか?父さんの後継ぎというかかたき討ちだし」

「次は戦闘員の戦うところを見てみたいね」

「せめて街への被害は抑えるように足止めはするぞ」

「足止めかぁ、私も霊魂武装が武器だったらよかったんだけどねー」

 あのアイドルのような衣装はたぶん子供のころアイドルになりたいとか言っていたからで、それを今でも少しは思っているからだろう。もしくは歌が好きか。

 あれを初めて見た時は正直驚いたというか少し興奮した。衣装的にも間近でアイドルを見ている気分になった。それに歌声にも魅了されて完全に虜になっていたとか、個人的にもあれはお気に入りだが、確かに武器がないのはきつそうだ。

「ま、アイドルも悪くないと思うぞ?」

「みんなはアイドルじゃなくて『戦場の歌姫』って言ってるんだけどね」

「歌姫ねぇ…」

 俺は昔効いた『帝国の歌姫』を思い出した。


 ※ ※ ※


 雨がやんだころにはもう暗くなっていたし、家に帰った。

 今日はもうエビルは出てはこなかった。

 普段なら一日に何体も出るような奴が、一体も出てこないどころかその気配すらなかった。

『速報です。午後五時ごろ、集団失神、転装機(デバイス)の暴走についての情報が入りました。近くの丘で青龍学園高等部の制服を着ていた男女がエビルと戦っていたとのことです。集団失神は女子生徒の『歌』によるものだと思われます』

 これは完璧に俺たちのことだ。

 女子生徒は日葵、歌はセイレーンの力だろう。確かに体制がない人たちは倒れていた。

 ニュースを見ていたらいきなり速報が出てしかも俺たちのことだった。

 ニュースで出ているということはたぶんだがネットで今騒がれているだろう。

 エビル討伐で検索をかけてみたら、やはり出てきた。

・青龍学園高等部二年の奴らしいぞ

・あー、あいつら知ってるぞ

 この前見た

 というのが2ch

 Twitterの方でもいろいろ見つけた。

・なんかアイドルいるんだけど?

・アイドルの近くに剣士さんもいますが?www

 

・そいつらレスティアの奴等じゃないよな?

・レスティアの奴等だったら戦闘服なるものを着るらしい


 これは探られたらすぐに見つかりそうな勢いだ。ネット恐ろしい。

 学校名、学年、レスティアに所属していないということもばれている。

 これは相当めんどくさそうだ。

 裏でいろいろ手が回っていて金がもらえたりすることもあるが今回はそれを我慢して――

「おい日葵、一ヶ月間戦闘禁止な」

 というような軽い感じで一ヶ月間裏方の仕事は中止。

『あー、ニュースになってたしねー。なんかネットでも有名になってるっぽいね』

「もうそれ見たのか。それで、俺に二つ名がないのってどういうことだ?」

『それっぽいのならあったよ?≪漆黒の魔剣使い≫とかさ』

「あれ魔剣じゃないけどな。天叢雲剣は魔剣じゃないしそもそも太刀だし」

『じゃあ≪幻想の剣術士≫ってのは?』

 これはいまいちだがまあ悪くもない。

「ま、二つ名はみんなの呼びたいように呼ばせることにする。二つ名なんかそんなもんだろ」

『それじゃあ一ヶ月、普通の学園生活を楽しもうね』

 そしてこれからの一か月間、俺たちの普通の学園生活が始まった。はずだった。

牢獄!!!!!!!!

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