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体力の消耗が激しい件

バトルでは今のところ一番の自信作です。

今でのバトル物とは違い、今回は完全に自分の描きたいように書いています。

「昴、お父さんはね、これから世界を救いに行くのよ」

「でも!テレビでもやってた!いっぱいひとがしんでるって、お父さんがしんじゃったら……ぼく……」

 懐かしい、それでいて、思い出したくない記憶だ。

 だがそれは無慈悲で、止まってはくれない。

「はっはっは、安心しろ。お父さんはそんなやわじゃない。あれくらいひねりつぶして来るぞ。何なら土産に首でも狩ってくるか?」

「何考えてるんですか、もう」

「冗談だよ、じゃ、行ってくるな」

「気を付けてくださいね」

「ちゃんと夕飯までに帰ってきて」

「おう!任せとけ!」

 そう言った父さんは、帰ってこなかった。

 これは夢だとわかっているが、見るたびに自分の周りからまた一人、離れて言った感覚になる。

 過去のことなのに今の事のような感覚がする。

 そしてこの夢を見た日はというと……

「あ、やべ……遅刻する……」

 起きようにも起きれなくてたいてい遅刻寸前の時間になっている。


 ※ ※ ※


「白坏、遅刻まであと10秒だったな。さ、さっさと席に着け」

「ふぅ、よかったよかった」

「白坏は遅刻はしないが遅いときは決まって十秒前だな」

「それはその…諸事情で」

 ただの寝坊だが。

「まあさっさとしろ」

「はい」

 夢のせいだと考え、自分は悪くないと思い込むようにしているのでこの夢が原因で遅刻しそうになったときは特に何とも思わない。

「おそいよー、今日は迎えに行かなかったからよかったけど」

「ん?あ、日葵か。おはよう」

 こいつは後ろの席で幼馴染の駿河日葵。

 日葵の父親と俺の父親が同期で仲が良く、母親同士の方でも仲が良かったから家族ぐるみの旅行とかいろいろあって小さいころから仲がいい。そして、父親の形見の『あるもの』を持っているどうしでもある。

 二人は似たもの同士だ。

「えー、今日はいい知らせと悪い知らせがある」

 これは大体あのことに関係している。

「後味が悪くなるのもあれだし、先に悪いほうから行くぞ」

 悪いほうということは誰かが死んだのだろう。

 そして、その予想はあっていた。

「お前らももう二年生、知っている奴は多いだろう。田中慎太郎が死んだ。死因は察しがついていると思うがエビル討伐の時にやられたんだ」

 エビルとは、別の世界、いわゆる異世界から進行してくる存在で、この俺たちが住んでいる世界の住人は機関を立ち上げて討伐など、対策をしている。

 高校生でその機関に所属しているのはよくあることだ。

「で、いい話は田中は死んでしまったが田中が敵の大将に致命的なダメージを与えたおかげでそいつは討伐され、この街が救われた」

 そう、そうだったな。

 このクラスにはその田中慎太郎と付き合っている女子がいる。

 その女子が泣いている。

 今日まともに授業を受けるのが難しいと思えるくらいに泣いている。

 そしてその田中慎太郎は高校に入って一番仲良くなった男子だった。

 実のところ、俺も泣きたい。

 田中と話しているときに日葵がよく来ていて、それで日葵も田中と話すことが多くなって結構仲良くなっていた。

 だから日葵も泣いている。

(田中、よくやった。お前の意思は俺たちが継ぐ。俺だって……戦えるんだ。お前の分もやってやるよ)

 心の中でそう思った。そして、涙が出てきた。

「絶対殲滅する」

 そう小さく呟いて、ポケットの中の転装機(デバイス)を握りしめた。


 ※ ※ ※


 放課後、俺の趣味の時間は始まる。

「日葵、行くぞ」

「うん。今日も頑張るよ」

 私服に着替え、世界樹のような木がある丘の上に行き、転装機を握る。

「「転送」」

 俺たちの使っている転装機は親の形見。だが、自分の思う武器を創り出せるので全く問題はない。

 使い手によって武器は固定されるシステムなので親と同じというわけではない。

 機関に所属していて特殊な訓練を受け、転装機使用適正がある人しか使えないのが普通だが、俺たちはなぜか使えている。

 これに関しては思いの力とか思っている。

「さあ、今日も一仕事しますか」

「この武器を持った時は、何でもできる気がするよ」

「俺もだ、さ、行こうか」

 今日一番強い邪気を感じるのはこの丘。

 人気も少なく転装を見られず済むのでちょうどいい場所だ。

「Out come small fish with! Bibi was what」

 エビルはなぜか英語が共通語らしい。

 今の言葉の意味は「出てこい雑魚共、ビビってんのか」になる。

「さっそく挑発に乗ってくれたみたいだよ」

「行きますか」

 今日はなぜだろう、武者震いする。

「日葵、右から回り込め!」

「わかった」

 タイミングを合わせ、同時に左右から斬りつける。

 まずは腕を落として怯ませる。

「次、後ろから行け」

「りょうかいっ」

 今度は後ろからの斬撃と、正面からのフェイント。

 敵は俗に言う「竜」の形をしている。だから案外戦いやすかったりする。

「さてと、止めと行くか」

「我が魂よ、今ここに真の姿を示せ――天叢雲剣」

 持っていた剣の形状が変わり、刀のようなものになる。

 転装機真の形態は個人で好きなものだったり何かその人の心が現れるようなものになる。それが昴の場合は神話などが好きでああなった。

「秘剣・八岐大蛇」

 手がなく、抵抗するすべがほぼないエビルはそのままコアを貫かれ、灰となって消えていった。

「ふぅ、疲れた」

 いつもに比べれば動いた時間は少ないものの、転装機で真の姿を使うには相当な体力がいる。それに、身体能力が多少強化されるが、それも体力がないと使いこなせない。さらに言うと秘剣なんてもってのほかで、一年前だと一回使っただけで二日三日は普通に寝込んでいたくらいだ。

 人並みの体力ではまだ使いこなすことは出来なかった。

「お疲れ。でもまだいるみたいだよ」

 ぱっと見残り四体。

 今の体力から考えるとこれは無理だろう。

 逃げたいところだが、これで街に被害が出るというのも嫌だ。逃げようにも逃げられない状況だ。

 俺たちは正式な隊員とかではなく、勝手に活動しているだけだ。ばれたら大変なことになる。ただ、今回はしょうがない。

「日葵、ちょっと体借りるぞ」

「え?ちょ、まって、あ、あぁぁぁぁぁぁ」

 日葵を担いでいったん丘のてっぺんまで登る。

 転装をといて、ポケットから携帯を取り出し、あの機関に連絡する。

「――というわけなので、やばいです」

『大丈夫よ、そちらに戦闘員を送ったわ。時期に来ると思うから、そのうちに逃げなさい』

「はい」

 転装も解いているので万が一見られても大丈夫。

 あとは帰るだけだ。が、そう簡単にも行かなかった。

「増えてる……」

 四体くらいしかいなかったはずが、今度は俺たちの行く手を阻むように大量のエビルが出現している。

「日葵、死んだらその時はどうにかしてくれ。お前だけは……絶対に守る」

 もう戦闘員を待っている暇はない。

 覚悟を決めて転装し、天叢雲剣を出す。

(動きは最小限に、出来る限り派手な動きは避けないとこれは即死だ。移動ルートはあのエビルの間。ヘイトを集めてこっちを向いたら……)

 立ち回りは完璧に考えた。

 それを実行できるかは俺の気合次第。

 普段と同じ速さで走って、エビルたちの間を抜けていく。

 エビルはうまくこっちを向いてくれて、ちょうどいい感じに集まった。

「すぅーーーー、はぁーーーー」

 深呼吸をして落ち着き、その技を発動する。

「秘剣・阿修羅」

 残りの力を振り絞って、全力で剣を振る。

 それは一本の剣、二本の腕だが、高速で何本か増えたように見える。そしてその切っている姿は阿修羅が連続で斬撃をくらわしているような。

 HPゲージなるものがあったらもう残りはミリ単位だ。もう下手したら死ぬ。

 だが、まだ終われない。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ」

 斬撃は百、百十と、どんどん回数は増えていき、次第に二百を超えた。

「これで、終わりだァァ!!!」

 最後の一撃は全力で薙ぎ払った。

 敵を全滅させたわけではないが、逃げ道は出来た。

「日葵、走れ!」

「う、うん」

 何とか開いた道を日葵が全力で走ってきて、横に来たと同時に俺も走る。

(間に合ってくれ……)

 まだ戦闘員は来ていない。

 開いた道を何とか走って、やっとのことで丘を下りきった。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

「ふっ、うっ、は、はぁ」

「何とか……まにあった……」

 段々と意識が遠のいていき、俺はそこで気を失った。

他の小説が中途半端なのに……って思う方もいるでしょうが生暖かく見守っていただけらばw

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