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俺と姉貴がオンラインゲームで付き合ってる話 しーくえる  作者: 黒斬行弘
第三章 過去との決別

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黒乃水言さんの正体

 火雷利久(からいりく)の妹の利香(りか)、つまりお兄ちゃんLOVEが、ブラックアウトの黒乃水言(くろのみこと)さんにラインを送った日の週末、俺と利香は黒乃さんに会うために、隣町行きの電車に乗っていた。

 最近は隣町へ行くことが多い。

 団長宅にも行ったし、姉貴のパソコンの下見にも行ったしね。


「それにしても、いきなりオフ会しようって言われるとは思いもしませんでした」


「だよなあ」


 だって、ダークマスターとエリナが実は姉弟でしたってのを、なんで黒乃さんが知ってるの?ってライン送ったら、「オフ会しよう」って返信が来るとは、普通思わねーよ。


「そういや、利香は黒乃さんとは面識あるの?もちろん現実でな」


「ないですよ」


「あれ?じゃあどうやってコンタクト取るんだ?」


「来ればわかるとか言ってましたけど」

 来ればわかるってなんだよ。

 駅前で、すげえ奇抜なファッションしてるとか、ダークマスター様はこちらとか書いた看板持ってるとか・・・。

 ないな、うんない。


 ファッションと言えば・・・。

 俺は隣に座る、後輩女子の姿をチラ見した。


 白のブラウスに赤系のリボン。リボンに色を合わせた、ひざ上のひらひらスカートに黒タイツ、そしてベレー帽という組み合わせだ。

 最初見た時は、どこのお嬢様かと思ったよ。


 んで、俺は待ち合わせ時間ちょっと前に駅に着いたんだけど、15分前には来ていたという利香は、俺が来るまでの間ナンパされまくってたらしい。

 まあでも、ナンパした奴らの気持ちはわからんでもないけどな。

 でももっと早く来いと怒られたのは解せない。


「そういえば、あのグラマンって人の事、何か進展有りましたか?」

 そうだった!

 こいつから教えてもらったおかげで、団長がグラマンこと実明(みはる)さんに話をしてみるって流れになったんだった。


「あの時は教えてくれてありがとうな。おかげで、グラマンと付き合いの長いうちの団長が、グラマンに話を聞いてみるって流れになったよ」


「そうですか。なら良かったです。自分から言った手前、ちょっと気になってたので」

 こいつは、本当に利久の妹か?ってくらい、気が付く奴だよな。

 

 ややブラコン気味だが。


「別にブラコンじゃないもん!」


「あれ?なんで俺の思ってる事がわかったんだ?」


「思い切り口に出してました!」


「ありゃ、失敬失敬」


 まあ、今のはわざと口に出したんだけどね!


 さて、そんな楽しい【?】会話をしていると、いつの間にか隣町に着いていた。


「えっと、確か「来ればわかる」って言ってたんだよな」


「はい。えっとですね、駅前の「unique」ってカフェで待ってるそうです」

 カフェ「ユニーク」か。

 やっぱユニークな格好で俺らを待ってるって言う意味なんだろうか?

 まさかなw


 カフェ「ユニーク」は、本当に駅の真ん前にあった。

 ドアを開けると「カランコロン」と音が鳴り、目の前には「ユニークへようこそ」と書いてあった。

 そして「ユニーク」の由来、唯一無二(ゆいいつむに)の自分だけの空間を楽しんでほしいとの店長のメッセージが添えてある。


 あー、ユニークってそっちのユニークだったのか!

 てっきり面白い方の意味かと思ってたわ。


 そう思いながら店内を見回すと、完全な個室ではないんだけど、固定された煉瓦で作られた仕切りが、本当に自分だけの場所を作ってるような雰囲気の店だった。


「良い感じのお店ですね」

 利香も俺と同じ感想を持っていたらしく、興味深そうに店内を見回している。


 そして俺は、店の奥から手招きする一人の女の人を見つけた。


「あれ?」


「先輩知り合いですか?」


 利香もその女性に気付いたらしいが、自分は顔見知りでは無かったので、俺の知り合いかと思ったらしい。


「久しぶりですね。お姉さんにはいつもお世話になってます」

 ニコッと笑いながら、そう話しかけて来たのは、パソコンショップTSUKUNEの店員さんである「一条」さんだった。

 以前、里奈がパソコンを買い替えるときに随分とお世話になったんだ。


「あ、初めまして火雷利香です」

 そういってペコリと頭を下げる。


「あ、初めまして一条美琴(いちじょうみこと)です!って、初めましてってのも微妙にちがうんだけどね・・・」

 そう言って、微妙に苦笑いをする一条さん。

 

 この時点で、俺はとある結論に辿り着いた。

 いや、辿り着いたって言うか、もうそれしかないんじゃね?って思った。

 あれだ、今までの経験から言って、もうそれほど驚いたりはしねーぞ。

 そもそもエリナ師匠が姉貴だったってのを経験したし、実はグラマンが女でした!ってのも経験済みだ。しかもお兄ちゃんLOVEは利久の妹だったしな。


 もう驚かないぞ!


「初めまして、ブラックアースで「黒乃水言」をやってます一条美琴です」





「えええええええええええええええええええっ!」


 すまん、思い切り驚いた。


*******************


 俺と一条さんと利香が座ったテーブルには、俺が頼んだコーヒーと、利香の頼んだケーキセット、そして一条さんのミルクティーが置かれている。


「ごめんね?里奈ちゃんと買い物に来た時に伝えてたら、こんな面倒にならずに済んだのに」


「いえいえ、おかげでなんで黒乃さんが俺たちの事知ってたのか、全部理解できましたから」

 そりゃ、一条さんが黒乃さんで、里奈の奴が自分から俺と姉貴のゲーム内キャラを晒したんだから、二人の事を知ってて当然なわけで。


「と言うかびっくりされたでしょ?ゲーム内で付き合ってたダークとエリナが姉弟だったって知って」


「もうそりゃびっくりした!里奈ちゃんからゲーム内キャラの名前聞いた時は、どっかで聞いた名前だな~って思って、すぐに自由同盟の!ってわかったんだけど、あれ?あの二人付き合ってるって・・・って、もう大混乱w」


「ホント申し訳ない」


「ホントですよ。私だって、エリナさんとダークさんが付き合ってるって聞いた時は「え?え?」ってなりましたもん」


「あはは、利香ちゃんもやっぱそうだったんだ?」


「はい!」

 俺達は、ゲーム内での他愛の無いはなしで盛り上がっていた。今の話のネタは、俺と姉貴の事だった。


「本当は里奈ちゃんも一緒にお茶したかったんだけど、里奈ちゃんは姉弟ってのは内緒がいいんだよね?」


「そうみたいです」


「でも利香ちゃんから、ダークさんが「なんで黒乃さんは、俺たちが姉弟だって知ってるんだろう?」って不思議に思ってますよ、ってラインが来たときは、びっくりしたよ。だってまさかリアルの知り合いだとは思ってなかったもん」


 黒乃さんには、俺と利香が小中学生の頃からの知り合いだって事は、利香の方から話したらしい。

 黒乃さん、最初は俺と利香が恋人同士だって思ってみたいだ。。

 それを聞いた利香が全力で否定したけどな。


 それにしても、やはりゲーム内と現実では随分と印象が違うな。

 どっちかって言うと現実の黒乃さんは、客商売をしているせいか、随分と物腰が柔らかい印象だ。

 ゲーム内でも物腰柔らかい人だけど、あの話し方だからな。

 やっぱロールプレイしてるってことんなんだろう。


「あ、そういえば利香ちゃん、あの話真司君にはしたの?」


 ん?あの話ってなんだ?


「あ、はい。この前先輩の家にお邪魔した時に、少しだけですが」


「えっと?」


「グラマンさんの事ですよ」

 ああ!その話か。


「あれ?一条さんもその話関係してるの?」


「実はね、私と利香ちゃんがゲーム内でお話してる時に、偶然グラマンさんが通りがかって・・・」


 一条さんによれば、最初は世間話に花を咲かせていたらしいが、段々と、女性アバターで気を付けてる事や、今までに怖い目に合った事はないのか?などと言う話題になって行ったらしい。

 それで、以前もそういう話を二人にグラマンがしていたんで、利香の方から俺に相談したみたいだ。


「あのグラマンって人、彼女さんか何かがストーカーされてるんじゃないの?」

 利香や一条さんは、グラマンが実は「桜菜実明(さくらなみはる)」という、俺と同じ高校2年生の女の子だって事を知らない。


 俺も実は、グラマンがストーカーに悩まされてるんじゃ?と思ったことはあったんだけど、男性アバターだしそれは無いと思ってたんだ。

 けど、一条さんっつーか、黒乃さんにまで聞いているとなるとなあ。

 もしかして実生活でストーキングされてるの?

 けど、女性アバターでどうのこうのって言ってるみたいだし・・・。


 うーん、やっぱ団長からの報告を待つしかないよな。

 考えても全然わからんし。


*****************


 黒乃さんとのオフ会も終わって、ご機嫌で家に帰ると、姉貴がリビングで仁王立ちしていた。

 そりゃもう、どこに出しても恥ずかしくないくらいの立派な仁王立ちだったよ。

 あれ?この感じなんか前にも・・・。


「ただいま・・・?」


「そこ座って」


 こえええええええええええ!

 目が完全に()わってるってのは、こういうのを言うんだろう。

 やばい!なんか目に涙がたまってきた!


「あんた今日、髪を両サイドで()ったカワイイ女の子と歩いてたらしいわね」


「は?」

 髪を両サイドで結ったカワイイ女の子って・・・。


「は?じゃないわよ!なんかお嬢様みたいなファッションの女の子と歩いてたって、隣のおばさまが言ってたわよ!」

 隣のおばさまって、あのスピーカーおばちゃんか・・・。

 まさか見られてるとは思わなかった。


「えっと、姉貴、それは誤解だ」


「何がよ!」


「お前の知り合いに、一人だけ、髪を両サイドで結った女の子がいるだろう?」


「いないわ!」


「即答かよ!いるだろうが!最近俺と揉めてた女子が!家でお前も泣かせたろうが!」


「泣かせた?私が?女の子を?ありえないわね!」

 だあああああああ!なんでこいつは都合の悪いことはさっぱり忘れてるんだ!


「いやいや、お前、利香の事ストーカーとか言って泣かせただろうが!」


「ああ・・そういえば忘れてた。・・・なんで利香が出てくるのよ?」


「だーかーらー!今日歩いてたのは利香なの!」


「あ・・・」

 あーもー!ホント察しが悪いぜ!


「で、なんで利香と駅前を歩いてたのよ?」


「え?」

 あ、やばい!そこまでは考えてなかった!

 今日がオフ会だったことは言えねーし、なんかいい案は・・・。


「あーえっとだな、実は隣町のTSUKUNEショップに言ったんだ」


「TSUKUNE?美琴さんの所?」


「そうそう。お前がTSUKUNEで一条さんからパソコン見立ててもらった話をしたら、私にも紹介して下さいって言われたんだよ」


「あーまー、美琴さんの見立ては完璧だからね!」

 自分の事じゃ無いのに、何故か鼻息荒く自慢してきた。


「まあ、そういうわけだ」


「まあ、なら仕方ないわね。でも今度から私にも声かけなさいよ」


「あー、悪い悪い」

 何が仕方ねーんだよ!って、突っ込みたかったのはやまやまだが、なんか怖かったので、そのまま部屋に引き下がっちまった・・・。


 もちろん、利香と一条さんには「話を合わせて><」ってラインしといた。

 二人とも快くOKしてくれたよ。


 Orz

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