女性に助けられる、ですよ。
「あれ?ここどこだったっけ」
朝起きると、目の前には岩があるだけ。いつもみている家の壁も見当たらない。そこで俺は思い出した。
「そうだ、俺、異世界に来たんだったな。」
昨日で急に終わりを告げた日常、昨日から急に始まった非日常。その事実を俺は、今日強く理解した。
「とりあえずステータスの確認をしよう、【確認】」
そう言うと俺のステータスが現れた。
名前・【神無月翔】
種族・【人間】
性別・【♂】
職業・【なし】
Lv・【1】
攻撃・【720】
防御・【564】
速度・【900】
知力・【550】
魔力・【300】
魔法防御・【240】
【保有スキル】
【種火】【浄化】【水】
「これが俺のステータスか」
魔力と魔法防御だけ極端に低いのは気のせいだな。きっと。
「ピギィィィィ」
そう甲高い声を上げて現れたのは‥‥‥え~と、そう【マンティス・ジャック】だ。本に書いてあったことによると確か、
危険度★★★★
並の冒険者では歯が立たないので出会い次第逃げることをおすすめする。
「に、にげろぉぉぉぉぉぉぉ」
何で?何でこんな人生ハードモードなんだよー、異世界に来て初めてのモンスターが強いのはテンプレだ。だがこれは理不尽すぎじゃあないですか。
「は、速ぇぇぇぇぇ」
【マンティス・ジャック】があの巨体に似合わず速いんですけど!ええいこうなりゃやけだ。あいつは虫だ、火には弱いはず。
「【種火】」
【マンティス・ジャック】に小さな火の粉が飛んで行く。勝った、いや、頼むよ、まじで。
カキーン
「知ってたけどもそれは無慈悲すぎるってぇ」
俺の種火は【マンティス・ジャック】の体に弾き返されてしまった。
俺の命もここまでか、そう思ったその瞬間。
キイィィィィン
【マンティス・ジャック】の体の下に大きな赤い魔方陣ができたかと思えば。
「【地獄の業火】」
そう綺麗な声が聞こえた。
【マンティス・ジャック】は炎に呑まれその命を土に還した。
「あなたも【マンティス・ジャック】と出会うなんて不運ねぇ。」
俺の前からそんな声をかけてくる女性。腰まで伸びた銀色の髪の毛。その目は両目とも赤色で、服は紫と黄色の二色の服を着ていた。
なんというか、言葉にする事ができないほど、その女性は綺麗だった。
「私の名前は【エイン・フィリアス】よ、貴方の名前は?」
彼女は手を差しのべながら、そんなことを言ってきた。