私、ブラックホールタウンへ行きます。
【大変短くすぐに読み終わるので】最後まで読んでぜひ感想等いただけましたら大変うれしく思います。返信等は100%いたします。
もし雰囲気が気に入っていただけたら、他の小説も読みやすくなっているのでよろしくお願いいたします。駄文失礼いたしました。
あなたは休みの日はどう過ごしてる?
学校や仕事で疲れているのだから、家でゆっくり過ごしたり、あなたの大好きなあれを買いに出かけるっていうのも楽しそう。
気の許せる友達がいたら私は原宿あたりで買い物をしていたかも。あれ?あなたは違うんだ?
でもあの日、8月1日の午後2時すぎに私が春木町駅のショッピングモールにいたのは運が悪かったのかもしれない。
私はショッピングモール内の雑貨屋さんにいて、突然のことで非常口やどこに避難すればいいのかわからず他の一般客よりも逃げ送れてしまって・・・。
近くの人に付いていけばよかったのだけれど、防災シャッターが閉まって閉じ込められたの。
私は爆弾が爆発したとか、テロ?とか火事?とかそれはもうパニックだった。天井についてる大掛かりな照明器具や看板が落ちてこないかとかね。
防災シャッターに閉じ込められた私の目の前で、ぼんやりしてたのに気づいたの。黒い空間がじわりじわりと広がりバチバチと電気のような音もしていた。広がり近くにあった観葉植物を鉢ごと飲み込んで、やがてその空間は5メートルほどの円形に広がったわ。私はシャッターに背を向け逃げられない恐怖で死ぬのかと震えていた。人間の体ってどうしようもなくなると勝手に動いちゃうんだなって思った。
私はその空間から黒い手のようなものがにゅるりと出てきたのを見えた。そのもやもやした黒い手は窓や壁を乗り越えるように空間の枠をつかんでいた。
気がついたら家にいた。最初は夢かなとも思ったけど、テレビではなにもやっていない。母親にいたっては相手にもしてくれなかった。
だから私は今日あのショッピングモールにいくの。怖いし、だから建物の外側だけみて帰る。
あなたはなにいってるんだろ?って顔してるけど、あの春木町のショッピングモールがどうなっているか確かめたらOKだから。こんな話に付き合ってくれてありがとう。
自分の奇怪な体験とは対照的に、乗りなれた黄色い電車でガタンゴトンと春木町にむかっていることが違和感でいっぱいだった。
ショッピングモールは電車からは見えない。歩いて約5分。あの曲がり角を曲がったら明るいオレンジ色の大きなショッピングモールがみえてくるはずだ。
あ・・・
同じタイミングで曲がってきた人にぶつかりそうになり私は声をだした。
すみません。
相手の顔をみた。ポニーテールをした私の顔だった。間違いなかった。空似とかじゃない紛れもない私。
でも、これは初めて体験することじゃない・・・今私と一緒にいる彼女もまた私と同じ顔なのだ。
同じ顔をした3人の人間はそれぞれの顔を見つめ合った。
ポニーテールの私は叫んだ。
ねえ!あんたたちもでしょ!あんたたちはどこから来たの!もうすぐブラックホールが現れるはず。それを見に来たんでしょ!
呆然としていた私たちとは違い、声には気の強さと少しきつめな印象を受けた。
キツめの私の言っていることを理解していない私は呆然としていた。まるであの閉じ込められたときと全く同じだ。
ったく、あんたたちで何度目よ、説明するのは。この町、というかこの場所はあの黒い空間が発生する場所なの。あのショッピングモールの発生を逃してもまた何度も発生するわ。私はブラックホールって勝手に呼んでる。黒いからね。でそのブラックホールに入ると数日前に戻るの。これは経験上2年前から1日前。何度もよ。体はその時刻のときの自分の年齢になってるっぽい。場所は自宅だったり山だったりランダムみたい。ほんといいことなしよ。でも今のあんたたちみたいにその世界の自分がいる。つまり複数の自分がいるのよ。
彼女のイライラしているのが伝わる説明だった。
であなたたちの中にオリジナルはいるの?この世界の自宅の主よ。
自宅の主というのはなんとも変な言葉だが、私はすぐにわかった。今一緒にきてもらっている彼女こそがこの世界でのオリジナルの私なのだ。私は前の世界から来た私だ。
ブラックホールに入っていけばいつか元の世界にもどれるかもしれない、だから私はここにきた。あんたたちは?
私は・・・あなたと違って飛ばされたのは初めて。だから何もわからなくて見に来ただけ。
私はつきそうできただけで・・・
なるほどね・・・
もし私がこのポニーテールの私だったらどうだろう。何度も同じ世界を繰り返すことに耐えられるだろうか。しかも以前と同じ世界なのに本来自分の場所である家にはその世界のオリジナルの私がいる。
なるほどね・・・のあとに続く心の先を私はついネガティブに勘繰ってしまっていた。
私が私を消してしまえば私はこの世界の私でいることができる。
よし、オリジナルの私は帰りなさい。あんた、そうあんた。私と一緒に元の世界に戻ろう!でだめなら一緒に考えない?数少ない同士じゃない?
きつめの私が言い放った言葉に私はハッとしてしまった。なんて私は性格の歪んだことを・・・下をみた。アスファルトのコンクリートの間に白い雑草の花が咲いていた。私は顔を上げた!
行くよ!行く!
青空に響き渡る声。
私たちはオリジナルの私に別れを告げた。不気味にたたずんでいたショッピングモールからの爆発音に向かって私たちは非難する人々の波を掻き分けて走った。
きつめの私が元の世界に戻ったのはその10日後、私が戻れたのは約10年後だった。
それでも私は絶望しなかった。何度もあのブラックホールタウンに向かった。何度も私に合った。出会った私はみんな希望に立ち向かっていた。楽しいこともたくさんあって、つらかったときも助け合えた。
私は私に助けられたんだ。今日この青い空で一人買い物を楽しんでいる私の中には、一人という寂しさはない。私は一人じゃない、強いあの私が私の心の中にいるんだ。
最後まで読んでいただき大変感謝いたします。一人の弱さや強さ、そして自分を信じる心の大切さを感じていただけたらうれしく思います。
ブラックホールとホワイトホールみたいなイメージで最後は元につながるハッピーエンドにいたしました。ブラックホールをただの現象じゃなく生き物みたいに表現したのであのような手を表現いたしました。
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