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アラサーアイドルヲタクの姫(ババア)

作者: みるく

 オタサーの姫、という言葉がある。

 よくわからないが、二次元の世界に足を突っ込み、オタクの男にちやほやされる痛い女であろうか。

 香織は、自分はちょっと違うと思っている。

 自分も痛い服装はするが、言動は控えめ(のつもり)で大人で、「はきゅ~ん」なんて言わない。いや、オタサーの姫もそんなこと言わないかもしれないが。

 しかし香織もオタクの男どもに囲まれて幸せな女である。


「駄目だよー、そんなとこで着替えてちゃ」

 汗臭いおっさんが壁を作ってくれる。今日は推しメンの卒業公演、先頭に陣取った香織は、誰も見ていないだろうとしゃがんでそのメンバーのTシャツに着替えていた。

 下世話だが明るい会話が行われた後、香織は着替え終わってその輪に加わった。


 香織は20代だが、老けて見えたり若く見えたりする。

 おっさんどもに老けて見られても構わない。仲間として、近い存在として扱ってくれればいい。

 女子高生に気軽に声をかけるおっさんもいるが、迷惑がられることもあるので親切心も要注意である。

 その点香織は、ひたすらに繰り返されるヲタの妄言も勉強として聞き上手で、その代わりに、相手の損失にならない程度に恩恵にあずかっていたりした。握手券、整理番号の譲り合いなど序の口である。

 とにかく香織は話しかけやすい。

「今から握手券握りしめてたらなくすよ、ポケットに入れときな」

 なんて知らないおっさんに親切に言われる。

 基本的に、皆さんがアイドルヲタクにどんなイメージを持っているかしらないが、対立や好き嫌いもあるだろうが、香織のようにライトな、派閥にも属さずアイドルを独占したいわけでもないヲタクにとって、皆ー前出のおっさんに限らず若者も女性もー親切だし、自分もできる限り親切にしている。


 さて、某大手プロダクションアイドルなんかだと大阪から毎回来る人もいて顔なじみになったりするが、最近朝ドラのおかげで説明しやすくなったのがご当地アイドルである。

 酒が飲める年の香織は、結婚しているのだが、1対1でなければ飲み会に参加していいことに夫との取り決めでなっている。

 アイドルヲタクにも小汚いおっさんからおしゃれなおっさんからあか抜けない青年から可愛い女の子まで色々いて、別に女だからと特別扱いされずに雑談するのが一番楽しい。

「え!20代だったの!?」

と無神経にも言われても、香織は傷つかず笑うだけである。

 ハーレムだなんてはしゃがなくても、毎日楽しい香織であった。

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