ウサギを罠に追い込むオオカミさん
前に書いたものを視点をかえて オオカミさんからの視点にしてみました。
練習中にて 暖かく見守っていただけると幸いです。
書き換え 書き加えをしていく可能性が高いです。
気がすむと下げてしまうかもしれません・・・・。
最近、狐の化物に囚われていた小ウサギを、やっとテリトリーに入れることができた。
今まで、できればいい形で手中にいれたほうがいいだろうと、俺のもとに来てから、庭に出ているときに何度か接触を、もってきた。
が、侯爵が社交にださなかった、いや、出せなかったというべきか?、その影響でいつも小ウサギは何もかも逃げ腰だった。
世界が狭すぎて父親と使用人以外の男と接触がまったく無かったといって過言ではなかったせいだろう。
社交スキルがまるでなく、常に逃げ腰で怯えている。
が、そのときは珍しく先にこちらの姿を見つけてかけてきた。
「っいた!」
「今日はやたらと歓迎ムードですね。私を待っていらしたようですが」
いつもの横着武人な態度を隠し丁寧に扱ってきた。
小ウサギがなつき、逃げきれない程に近づくように。
「待ってた!ここから出して!手付かずの側室のひとりやふたり、消えたって誰も気づきやしないわ。私がここにいることが公にでたことなどないし、私の存在自体が公になっているのか怪しいものなの!どうしてもでないといけないの!どうしてもっ!」
がしっと力を込めて腕をつかんできた。
全く、俺を誰だと思ってそのお願いとやらをぶつけているのやら。
だいたいここには俺しか入ることができない。
正妻となることを俺が認めているからこそ自分も、今、この庭にたちいることができているというのに、それすら理解していないというわけだな。
それに、このようなところで、他の男がウロウロできるわけがなかろう。
正妻を他の男と共有する国がどこにある。
だいたい良家の子女が消えて気づかないとか本気で思ってるのか?!
どこまで貴族としての常識が欠如しているんだ。
これは嫌がらせか?
「消されるというのは、少々大袈裟な気がしますが…この状況からお救いすればよろしいんですね?」
「そうよ!」
全く考えてることがダダモレ…。そして浅はかだ!
どうして義姉に消されると思い込むんだか。
だいたい、エレーナはここにいることを不本意と思ってるだろうよ。
侯爵家でいったいどんな扱いをうけてきたやら。
それに、エレーナに、ここに残りたいと思わせるようなことがあれば黙っちゃいないやつが数人いる。
エレーナをここに入れていった本人が、そのうちのひとりだ。
少々所用ででてもらっているが、その間にエレーナを掠め取られたらどうしてくれると騒ぎ立て、ここに放り込んでいった。
ここはお前の金庫ではない と、一応いってやったんだがな。
よって、エレーナはオカンムリだ。
エレーナがお前を外にだしたいとおもっているのであれば、間違いなくお前が引っ掛かってる罠から助けようとしてやってるんだろうに。
「では、代わりに私のお願いを聞き届けてくださいね」
ちょうどいい。所用は処理したと報告があった。
ヤツも2.3日で帰国する。
帰国したら助けを求めるだろうから、そろそろ罠を閉じて捕獲することにするか。
自ら罠のなかに入ろうとしていることだしな。
「是非、私の妻に。」
おお、ひいてるひいてる。
見事に動揺して、小さな頭のなかでいろいろな計算をぐるぐるしてる。
仕上げに適当なことをいって、丸め込んで追い込む。
「どうなさいますか?あまり時間がないのでそろそろ時間なので行きますが?」
そして、せかして罠の口を狭める。
「わかった!わかったから!なんとかして!」
これで、チェックメイト。
これはこのままでは、社交に出せない。スキルがないのも手伝って他の狼に簡単にいいくるめられてしまう。
人並みレベルまで成長していただかねばならない。
「その言葉、忘れないでくださいよ。我、妻よ。」
だきよせ、軽く唇に軽く口付けを落とす。
おわ!いきなり?
と、当然動揺。わちゃわちゃしだす。
まあ、動揺してくれなかったら社交にだしてもいないのにそれなりのスキルを持っていると判断し、一番近い異性のヤツを逆さに吊らなければならなくなるが。
「では、この状況下からお救いしましょう。日が落ちるまで、この部屋にいてください。夜になったら移動します。」
クリスティンが今まで使っていた、正妃の部屋の隣、続き部屋の俺の部屋になる部屋に連れ込む。
全く。キョロキョロと落ち着きがない。
「この時間からは誰もここにはこないことが確認とれてますから、安心してください。出歩いちゃだめですよ。このお茶でも飲んでゆっくりしててください。
では、私は行きますが。約束を忘れてはだめですよ。」
そっと、睡眠薬をいれたお茶をいれて目の前に差し出す。
罠の口を閉じる。
ヤツが帰国するならば、金庫にエレーナをいれておくこともない。
一掃するためにいれてやつらも用済みだ。
一挙に退出願おう。
掃除中ここに居続けたら、さすがに騒がしさが伝わり何かオカシイコトに気づいてしまうからな、城内の別邸にしばらく居を移して、罠にかかった獲物を楽しむとしよう。
さあ、仕上げだ。
部屋を出る前にちょっと味見をして、一人にする。
何も疑わず飲みきって寝てしまうだろう。
罠にはまったことに気づいたとき、小ウサギはさぞかしうろたえるんだろうな。
あとは、あっという間だ。逃がさない。
「…。…鬼。…詐欺師。」
かすれた声でベッドから起き上がれないくせに憎まれ口を叩く我が妻。
帰国したヤツをサロンでみつけ、ここから連れて帰ってくれと頼み込んでいた小ウサギを捕獲したのは数時間前。
逃げ出せないように足腰たたないようにしてやったのだが、甚くご立腹のようだ。
「鬼だの詐欺師だの夫にいうことか?」
「言うわ!…おにいさまはご存知だった!
それに、詐欺師となにか取引まで!」
「今頃そのおにいさまは自分の獲物を捕獲してるとおもうがな…
オマエは、はまったと考えている罠は間違ってる。
そして、エレーナの真意も、立場もな。
まあ、近々、知ることになる。
ただ、今一つだけ教えておいてやろう。
これからは エレーナを頼れ。そのうち解る。エレーナは別の罠にかかっていることも、これがエレーナのためになっていたことがな。」
「?」
ともあれ この小ウサギは 狐の教えを得て オオカミの衣を借りていただかねばならない。
ぴょんぴょんはねて 落ち着きのないこの小ウサギをどう育てるか…
手こずることになるんだろうな。