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【派手に】

「なんのようかしら? 私今から 大切な睡眠時間を過ごすんだから......」


ふぁっ とあくびをしながら言った女。 目の前の校長、クラウドは ニコっと笑い言った。


「貴方もご存知でしょう? 妖姫と鬼神が一緒にいるって」


あくびをしていた女が、先程とはまた違う雰囲気を放ち口を開く


「......もちろんよ。 私が作った【私】を壊されたんだから......。 あれで研究をより良く行おうと思っていたのに...... 全く迷惑な子たち......」


女が言う言葉。 そう。 この間起こった ドラゴンと人の殺人。 組織内から出たはずが、全く聞いたこともない地域へ飛ばされていたと言う事件だ。


あの時 いた女研究者、あれはこの女が作った自分のクローン。


「それがどうかしたの?」


「そうか、貴方が妖姫達に会うのはアレが初めてなんだ。 驚きですよ。 あの子達......1年で驚く程の魔力向上を果たしました。 しかも妖姫はコピーの使い手。 厄介ったらありゃしない」


チッと小さめに舌打ちをしたはずが、大きく部屋に響いた。

そんなクラウドにも 動じない女は言う。


「妖姫さんって......裏のお方なんでしょう?」


外した眼鏡を また掛け直し言った。


「そうですよ。 しかももう立派な【太陽の花】なんですって。 面白いでしょう?」

少年のように 少し興奮していい振るクラウド。


「......私は妖姫さんより......」


そのあとに続く女の言葉......。クラウドは 予知したように 間を開けず、女に続く。


「鬼神の方も気になるでしょう?」


「あら? 意見が同じだなんて珍しいわ。 今日はなんなんでしょうね」


クスッと笑う女。 カチャと眼鏡のズレを直す。


「まだハッキリとはしませんがね。 今、いろいろと調査中です」


「そう」


ガタンガタン......。

沈黙になった部屋は、奇妙な音をより 目立たせる。


「......どうであれ 妖姫達が私達に気付くのは時間の問題。 いっそ気付かれるなら、派手にやらかして気付かれるのがよろしいかと......?」


都合のいい提案をしたと思うクラウドは、ペロっと舌を 少年のように突き出す。


「作戦......と言うのも子供ですが ありますので......実行いたします」


「......そうね、いいわ。 まずは貴方の好きにして頂戴。 いい感じに楽しくなりそうだったら......実行いたしますわ」


それと同時に 女は自分の耳に触れ『タブー』と呟いた。

そのあとは、部屋中に舞っていた血が 吸い寄せられているかのように女にまとわり付く。


全身が薄青に照らせれ、血が混ざって行くと同時に「では クラウド。 また今度 会いましょう」とだけ言って、消えてしまった。


女が消え去った時にはもう消えていた奇妙な機械の音。 クラウドは知っていた。


女が人を世から消した晩には、必ずいた場所を変える。 そしてまた殺人を行うと 今の繰り返し。


「ご機嫌なお人だ」


そう言ったクラウドは、タッタと靴の音をよく鳴らし 部屋を出て行く。

人がこなかったかのように 沈黙だけを残して......。




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