【肌寒い】
少し挟まれた休憩時間。 みんな綺麗な礼服を着ているにもかかわらず石段に座り込む。
間食としてカンナがフライドポテトを持って来た。 ......こんな時間にまで油っこい物を食べるんだねぇ、アンタ。
「10分後にまた組みましょ? それまでは休んでて下さい」
精一杯休んでいる貴方をみていると 皮肉を言いたくなる。
マキ以外......の紗奈達は、パッとそのフライドポテトをたいらげてしまった。
なぁんだ、なくなっちゃったぁ......とあっさり口にするカンナは、
「ちょっと間食して来ますね。 紗奈ちゃん行きます?」
どうやら仲間を見つけたカンナは紗奈を誘い、店舗の方に走っていった。
しかも面白そうだと あとを追いかけた大河。 なにやっているんだ、残ったメンツ確かめろよ!!
言葉の通り残ったのは 犬井、棗にマキ。 ボケのいないこのメンツは大変危険というコトで......
しばらく続く沈黙。
後方では、雰囲気のある声が多数。 マキ達にとってはとても苦痛な時間だった。
近くにいる棗は、無口 一匹狼のくせして、沈黙の時間は嫌いと ひねくれてる性格なため扱いにくい。 初対面の人、誰でも分かるためかなり濃いのだろう。
あとから、もう我慢が出来なくなったらしい棗。 「ちょっと出てくる」と棗にしては丁寧に報告してからどこかへいってしまった
今 石段に残るのはマキ、そして犬井拓海のみ。
普段からは、とても気軽に居れるものの こうとなるととても気まずい......。
経験のある方は 分かるのではないか?
後夜祭もまだ第2部が始まったばかり。 部屋に帰るも帰れない。
そろそろ 肌寒い季節がやってくる。 こんな時間になれば 少し震えるくらいおかしくない。
つい先ほどのパレード、そしてダンスで何処かへやってしまったマキのジャケット。
肌寒いため 大きく震えていた。
「......あんた どんだけ震えてんだよっ......」
ボソッと呟く犬井。 とても聞こえずらい声だったが よく聞こえたマキは、正確な返事をする。
「さっきジャケット 無くしたんだ。 仕方ないよ」
無理に我慢したように言おうとしたマキだったが、明らかに周りからは
「さっき無くしたから寒いんだよね......。 あー......寒い」
と、無駄にオネダリしているようにも聞こえたと言う。
返事を聞いて クスッと笑った犬井は 腰掛けた石段から立ち上がった。
視界に入らなかったマキは、一向に震えるばかり。 そこに肩に何かが羽織られた。
それは。
「寒いんなら着なよ。 番人が風邪引いちゃ 俺ら困るだろ?」
そう言って、自分のジャケットを羽織らせた。
十分冷え込む状態だったが、少しも表情を変えなかった犬井。 「もっと寒くなるよ? 悪いからいいよ」と断ったマキだが、大丈夫だって!! と断った犬井。 ありがたくそこはもらっておいた。




