【鐘】
祭りが開催されて11時間が経った。 まだ夏季が少々残る9月下旬。 昼とは異なり、ひやっとした肌寒い風がマキの体を通り抜ける。
「もう20時だ......。 紗奈達 遅いなぁ......」
独り言で言ったつもりが、すぐに返事が帰ってくる。
「ここにくるわけねぇだろ。 勝手に来たんだから」
グサッと勢いよくマキの心底に突き刺さる。 ......分かってはいるけど ショックは大きい。 どうも全く 焦った感情を見せない棗の心はどうなっているのかを探って見たい。
隣で スヤスヤと気持ち良さそうに睡眠に入っているウパー。 流石にずっとここにいるんだ、暇だし、寒いし、疲れたし。 寝たいよね。 だから 棗の心を探りたいんだよ!!
何を考えているんだ!! 5時間だぞ、5時間!! よくもずっと文句なしに 座っていられるよな!! 見てて イライラする!!!!
ムッカーと 思い切りアピールするマキの表情。 すぐに気付いた棗だが、気持ち悪い程 リアクションが薄い。 ごちゃごちゃ言ってるこっちがバカみたいだ。
「さっきから なにやってんの」
突っ込まれるこっちだって悲しいんだよ...... 哀れなんだよ......
「......気にしないで......」
もう 何も言えないマキ。 「ふーん」と言う声も、後方でする祭りで騒ぐ観光客の声ですらも......悲しくてしょうがない......。
ゴーン ゴーン......
毎日 決まった時刻に鳴る 向かいの教会の鐘。
もう夕方かぁ......と、無意識に呟くのも 無理はない
隣には スヤスヤと眠るウパーに、無言のなつめ
今思えば ため息が多くなった気もするが、少しもこの状況を改善しそうな態度は 現さない
もう何時間経ったのだろう?
この台詞を何回 繰り返したのだろう?
さすがに疲れきったマキ
ダンッと勢い良く石段から立ち上がる。
「おぁぅっ!?」と 懐かしく感じたなつめの 声。
それすらも 吹き飛ばし叫んだ。
「紗奈達を 探しにいこう!!」




