【開催】
みんなが待ち続けた セントラル祭。 朝っぱらから集まる住民、オープニングセレモニーだ。 だがまだ中には入れない為、正門前は大混雑。
いつも5時に起きるマキは、あまりに楽しみで眠れないまま 夜を過ごした状態。
だが、どんなに夜更かしをしたって 体調が悪くなるなんてあり得ない程の元気っぷり。
誰よりも早く正門にいき、木の上で見ていた。 4時間ずっと。
住民、観光客でにぎわう正門の前にやっと 隊長、セガレが現れる。
「おおっ!!」という歓声が一瞬したが、すぐに静まった。
ニコっと笑うセガレは、すぅっと息を思い切り吸い、叫ぶ。
「皆さん!! お集まりありがとうございます!!」
今までの沈黙が一気に破れ、きゃーという声が響く。
「建設15周年記念のセントラル祭!! 開催まで5!! 4、3......」
カウントダウンをはじめるセガレに合わせ、住民達も 同じように叫ぶ。
なかには 手拍子を思い切りする奴も、隊長!! と書かれた旗を振り回す奴もいた。
「2!!1!!」
木から落ちそうになるところまで 身を乗り出すマキ。 ついに言われる言葉は
「開催で~す!!!!!!」
滝のように勢いよく流れる客。 もうすぐで初めの一人が正門を駆け抜ける。
その時だ。
駆け抜けた何人もの人間は、そのすぐあと立ち止まっていく。 なんだろう? と思う住民達。
だが 自身に溢れる表情をする奴もいた。 ......セガレとマキ......その2人だ。
立ち止まった理由......それは......
「な、なんだ コレ!! すごく気分がいい!!」
「なんか私、フワフワしてるみたーい!!」
そうそれは......
木から飛び降りたマキ。 客の目の前に立つ。 みんな マキの方に気づくと「番人様だ!!」や、「マキ様だわ!!」の声。
ニコッとするマキ。 一番前にいた男性の手を掴み、空へビュンっと伸ばす。
「ひぇっ!!?」
伸ばしていた指先がピカっと光出す。
後方で見つめる住民達は、「魔法だぁ!!」と叫ぶ奴。
「お、俺が......魔法......?」
ジロジロと自分の指を見続ける男性。
そう、魔法。
「あの正門はみんなに魔力を少しだけ 与えるんです。 ここで使える範囲の魔法がこれから1日 皆さんのものです!!」
誰かが言っていた。 ここにくる客は魔法を見る機会なんて ない。 みんなは魔法を見にくる。 それも等しいが、見ているだけじゃ 十分には満足出来ない。
マキが3日前に通ったフランクの家。 入った瞬間に回復する魔力。 マキは考えた。 いつもは体験出来ないことを やらせてあげたらどうか......と。
マキが説明が終えた瞬間......
「凄い!!!! 今日は魔法が使えるんだぁ!!!!!!」
何回も上がる 興奮の声。 それよりマキの心に響いたのは みんなの表情だった。