其の四,タケハヤスサノオ―建速須佐之男―
暴れん坊から、英雄へ。
とうとう現れました。タケハヤの名が表す通りの荒ぶる神スサノオです。
三貴子の末子である彼は、イザナキが御鼻を洗った時に誕生した神で、父から海原を治めるようにいわれます。姉のアマテラスとはしばしば対立する存在です。
皆さんもご存じでしょうが、スサノオのヤマタノオロチ退治の話は有名ですね。高天原から追い出されたスサノオが、老夫婦とその娘を毎年のように苦しめる大蛇を見事退治し、結果勝利を得て姉と和解する贖罪型英雄物語です。
このスサノオは追放される前、高天原で神とは思えぬ大変な狼藉を働いていました。
〈スサノオ〉
泣いたり暴れたり殺したり急にまじめになったりで大忙しの多重人格者。マザコンで父イザナキを怒り狂わせるほどの甘ったれぶりを発揮する。姉アマテラスとのギャンブル(=ウケイ)に勝ったのでいい気になり、高天原中を殺人レベルで荒らし回る。実際に人身事故を起こしてしまったので、高天原を追放されてしまう。
[●スサノオの罪状●]
一,アマテラスの田の畔を壊した。あと溝も埋めた。
二,御殿に糞をまきちらした。
三,機織り小屋の屋根を壊して穴をあけやがった。
四,馬を逆はぎにはいだ。
五,しかもそれを穴に投げ込みやがった。
六,それを頭からかぶった天の機織り女さんが驚き桃の木山椒の木で秘密の花園を怪我して死亡。
スサノオは地上に天降る途中で、穀物の神オオゲツヒメのお宅にお邪魔して食物を所望。しかしオオゲツヒメが尻や口や鼻から食物を出しているショッキングな光景を立ち見して二度目の殺人を犯す。
出雲(島根県)の肥の川(斐伊川)に降り立ったスサノオは娘を間に泣き悲しむ老夫婦を発見。話を聞けば娘クシナダヒメがヤマタノオロチという怪物のいけにえになることを悲しんでいた。スサノオはクシナダヒメがめっちゃタイプだったのでオロチ退治の見返りにヒメを否応なしに所望。半ば脅しである。
そしてオロチ退治を終えたスサノオは三種の神器の一つ草薙の剣をアマテラスに献上して須賀(島根県雲南市)にて晴れて祝言を上げる。
その後彼は愛しのママ(=イザナミ)に会いに根の堅洲国(=地底の国)へ行ったはずだが、のちに語られる物語で、何の説明もなしにいきなり地底の国の大王になって登場しやがった。
玄孫の孫の色男オオナムチに、まな娘をかっさらわれる。
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