其の十一,ヤエコトシロヌシ―八重事代主―とタケミナカタ―建御名方―
「大神の仰せのままに、我が国をお譲りいたしましょう」
「やい、俺の国にきて何をひそひそ話していやがる」
二人とも、オオクニヌシの息子です。この二人の神は、それぞれに祭祀と軍事の象徴となっています。
前回のタケミカヅチの頁でも名前が出てきましたが、この二人は地上譲渡を承諾するかいなかの権利をオオクニヌシから託されています。オオクニヌシは、タケミカヅチたちとの談判を始めた時に、自分の代わりに息子のコトシロヌシに答えさせようとしています。つまり、彼はすでに地上の支配権を、息子に譲って隠居していたということになります。
兄のコトシロヌシは、異見することなく大人しく承諾しますが、弟のタケミナカタは強気で、なかなか従いません。
〈コトシロヌシ〉
大人しくいさぎよい性格。
美保の岬で白鳥で遊んだり魚を取ったりしていた。
タケミカヅチやスペースシャトルに国譲りを迫られたため、「ニニギさまに奉るよ……」と従順に承諾する。ただ、このセリフはタケミカヅチにではなく、パパ(=オオクニヌシ)に向かって言ったので、タケミカヅチが納得のいくはずがない。
コトシロヌシはその後、自分の乗ってきた船を踏み付けてくつがえし、その船の中に隠れてしまった。
〈タケミナカタ〉
コトシロヌシの弟。負けん気が強い。
談判の中、千引きの大岩(千人がかりでやっと動かせるような、とんでもなく大きな岩)を掌に乗せてやってきて力を誇示するなど、古事記では馬鹿っぽい登場の仕方をする。
タケミカヅチに喧嘩を売って力比べを強制するが、なぜか「俺がまずてめぇの手を握るぞ」と握手しはじめる。すると、タケミカヅチが自分の手をいきなりツララに変えたり剣の刃に変えたりと、めっちゃ強いことが判明した。
びびるタケミナカタの手を、今度は「さあ、俺の番だ」とタケミカヅチが握り返すと、まるでもえ出たばかりの葦の赤ちゃんをつかむがごとく握りつぶしてしまった。しかもホラーなことに、その手がちぎれ取れてしまった。しかも、タケミカヅチがその手をその辺にほうり投げやがった。
びびりの頂点に達したタケミナカタは逃走をはかるも、タケミカヅチはどこまでも執拗に追ってくる。出雲(島根県)から信濃までの長い追いかけっこの末、諏訪の地で追い詰められてマジで殺されかける。
そこで無様なさまで命乞いし、地上譲渡の承諾、またこの地から離れないことを固く約束する。
以後タケミナカタは、諏訪大社に奉られ、全国から神さまのいなくなる神無月の時も、約束通りに諏訪にとどまっているのだ。
ここ最近、キャラ紹介が暴走気味だったため、何とかたかぶる己を自制した結果、今回は無事に初期の落ち着きを取り戻すことができたように思います。
*最近はリアルの方が忙しくて、更新が間遠になっています。大変申し訳ございません。お気に入り登録して下さった方へ、ありがとうございます。
1221