其の八,マサカツアカツカチハヤビアメノオシホミミ―正勝吾勝勝速日天之忍穂耳―
「ぼくはセレブなんだ。親はかのアマテラス大御神だし、彼女からは地上の真正なる統治者として期待をかけられている。すべてが完璧なのさ」
スサノオがアマテラスとのギャンブル(=ウケイ)の時に、まっ先に生み出した男神です。
子のニニギと違い、古事記ではあまり目立たないキャラですが、名前がちょっと特殊なので載せておきます。興味のある方は、ぜひご覧ください。
タイトルを見てご理解いただけたように、とんでもなく“勝”という漢字が強調されています。
意味としては、「正勝吾勝勝速」が“まさしくわたしがはやくかつ”。「日」はもちろん“太陽”で、「忍穂」が“豊かな稲穂”。ついでにいうと、「耳」は尊称にあたります。
息子もそうですが、大変大仰な名前ですね。
〈オシホミミ〉
アマテラスが愚弟スサノオとのギャンブルの時に、スサノオからふんだくった子。
アマテラスの七光りで豊葦原の千秋の長五百秋の水穂の国平定に降ろうと天の浮橋(天上と地上の中継地)に降り立つと、国つ神がいやに騒がしかったため、急にかったるくなってお家にためらいなく引き返しやがった。
それどころか、ママ(=アマテラス)やタカギに指図を仰ぐという、スサノオ以来の甘ったれぶりを発揮する。名前のわりにはだらしないぞ。
八百万相当の神々まで引き出して会議させておきながら、最終的には途中でこさえた子のニニギに統治権をゆずった。
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