拙僧の恋愛物語でございます
曹洞宗派の僧侶は夏の修行がいたって楽しみになっていく。
「拙僧またまた夏休みでございます。夏は蝉がやかましゅうございますね。ミーンミーン、ガシャガシャ、ツクツクホーシ。この喧騒さが九品院で厳しき座禅を修行いたしますと修業僧侶は心が道元禅師さまになりましてピタッと止まるでございます。精神統一は何もかもをシャットアウトしてしまうでございます」
曹洞宗の僧侶は今年も夏の岡崎に修業にいく。
長い坂をフウフウ言いながらお袈裟姿で現れた。
中学僧侶時代のあのういうしいかわいさが薄れ長い歳月が流れた。
いよいよ僧侶修業も最終年度となる。
若い僧侶は夏の思い出を最後の修業の夏の思い出を是非作っておきたいと心底願う。だから苦難な九品院への坂を文句たれながらあがる。
九品院の僧侶修業の一貫に大樹寺保育園での研修が課せられていた。
若き僧侶は修業の中でこれだけが狙いになってしまった。
「オゴッ!なんたることをおっしゃいますか。拙僧がそんな、そんな」
僧侶は強く否定をした。口だけでなく手を振り首をブルブルと。
「そんな仏門と関係ない保育園なんて。拙僧は関係ないもん」
妙にそらぞらしい。
だったら、やたら、にそにそしなければよかったのに。紛らわしい。
すると僧侶さらにダラリとふぬけ顔となる。
「ハイハイ、エッヘへ。拙僧は大変楽しみでございます。認めちゃう、認めますでございます。幼稚園の若い保育の先生がめっちゃ大好きですございます。拙僧は保育園研修がなければ、誰が九品院まで修行に行くか。途中でやめて帰ってしまうぞ、でございます。はあ。暑い中を拙僧行きたくないもん。ま、軽い冗談であります」
大樹寺保育園には夏の間に研修セミナーがあり、幼児教育専攻の保育学生が山のようにやってきた。
※施設は保育園だが、幼稚園教諭免許の教育実習を寺は受け入れていた。
岡崎周辺の保育短大生が華を咲かせるように大樹寺に終結をする。
朝晩は20歳前のお嬢さんばかりでそれはそれは華やかでお色気たっぷりだった。
修業の僧侶はお寺としての保育園研修を受ける。
保短研修は九品院の座禅修行をそれぞれ異業界として受けるシステムになっていた。
「この僧侶と保育園短大の出会いの場はエッヘへ。恋の花咲くことがあると噂されております。結婚したカップルが毎年かなりいらっしゃいますで、ございま〜す」
若き僧侶は満面ニコニコ。鼻の下は伸び伸びであった。今なんか頭を金属バッドで数回ブン殴っても大丈夫。たぶん、にこにこして平気さんでいるくらいだ。
「あっ、なにか言われたか。拙僧ちょっと聞き取れなかったアッハハ」
修業僧侶達にとっては将来のお寺&幼稚園保育園経営がかかっている恋愛の場であった。
保育園経営をすれば願ったり叶ったりの組み合わせであった。それが保育先生を狙う僧の理由だった。
「ハイ、拙僧も頑張ります。あれだけ、わんさかかわいいセクシーな保育実習生がいたら間違いなくひとりやふたりは(カワイコちゃんで巨乳希望)。拙僧は頑張っていくもんねぇ。井上和香いないかなあ、イッヒヒ」
曹洞宗見習い僧侶の頭がピンクにピコンと変わった瞬間だった。ウルトラマンのカラータイマーが青から赤点滅みたいな感じ。危ないぞ。
「うん。なんでございますか」
幸せな僧である。
その夏。保育短生の実習生は運がよく美人ばかりが揃った。
「うひゃうひゃでございます。どこを見てもカワイイ、カワイイやんかあ」
僧侶かなりピンクが進む。
拙僧が仲良くなったメル友の彼女も美人だったがそれ以上にいや、比べられないぐらいにテンコモリだった。
「拙僧は、頭が頭が混乱しますなあ。どれにしようかな。お釈迦様の言うとおりにと、ピタッ。まるでモーニング娘の品定めみたい、なんてね」
僧侶のピンクの頭には教育実習生が全員"裸で巨乳"にしか写らなかった。
「かようでございましたなアッハハ。あら恥ずかしい。なんでばれたんかいな。しっかり黙ってましたのに」
僧侶、目が座っていく。数人に候補は絞られていく過程だった。
保育短大の保育実習は園児相手。だから普段着のラフなジャージにTシャツ姿が大半。それにエプロン前掛けをつけて汚れ対策する程度。
20歳の娘としてはセクシーは欠片すら見えない。
単にガキと遊ぶイモネーチャンにしか見えない。
しかし実習生彼女達の私服は違った。僧侶たちはそれを見逃しはしなかった。
「アッハハハハ。拙僧は拙僧はたまらんでございます。夏の暑さも手伝いましょう。彼女達はかなりの露出でございます。お陰さまで拙僧は座禅修行に身が入らぬ、まったく入りません。目がウルウルしたり妄想が頭を駆け巡りとありまして。とんだ邪念を生むでございますな。いかんいかん拙僧は修業が足らん。座禅中は妄想をおねーちゃんのスカートに持って行ってはいかーん。おっぱいにしないと」
※教育実習生は朝と夕に全員座禅を組む。私服の方はスカート姿ゆえに、
「レディのたしなみでハンカチを前掛けのように致します。いたすでございます。ちぃあれ邪魔やなあ」
パンチラ防止策がハンカチ前掛けだった。僧侶たちがジッといやらしく覗くから厳重に置かれた。
「ミニの方は少ないでございます。ああいかん!いかんがあ。拙僧は妄想状態に入ります。いくらかあのハンカチ取りたいなあ邪魔だバシッ。いや拙僧ハンカチになりたいなあ」
若き僧侶たち。頭をピンクにして朝の座禅が済むと夏の九品院の広い庭先を掃除致します。
朝のハンカチ前掛けがなにかと恥ずかしく眩しいと余韻にひたりながらでございます。僧侶たちの中には照れ隠しに慌てて掃除に入るようでございます。
気のせいかね僧侶の庭掃除は、やたら保育実習のおねーちゃんの並んで集まる方ばかり掃いて清めていく感じ。まるで吸い寄せられたように片寄る。
「あらそうでしたか。拙僧ちゃんとお庭を均等に掃きましたでございます。あらあら、嫌ですねムラがありますなあ。もう一度やり直しですな」
一ヶ所だけ綺麗になってしまった。おねーちゃんたちが庭をぐるりと巡回されたらさぞ綺麗なお庭さんであろう。
1日が終わり教育実習生の短大生たちの帰る時間がきた。
「今日も、ご苦労さまでした。また明日会いましょう」
保育実習を終え、保短学生がぞろぞろとお寺さんから帰っていく。
実習生は夏休みゆえに私服姿は涼しげな服装である。セクシーな姿もあったかなりあった。そのまま夜の商売一直線の悩ましい方もいらっしゃった。
「なんじゃあこりゃ」
逆にダサイ姿は100%もあるようだった。
「全員美人さんだと思っていたら驚きでございましたな。ああ悪いもんみたなあ。夕飯まずくなりそうだ」
夏の夜の夢を見る僧侶にはシャキッと心を入れ替え、
「保育短大実習生はええなあっ。可愛らしくていいなあっ。
長い髪のピンクミニスカートが良いなあ。たまんないやあ。まだ、瞼に残りますなあ。ああ、短大学生皆さん、帰ってしまったなあ。みんなにさよなら言えてよかった。しかし淋しいなあ。早く明日にならないかなあ。井上和香がまだ発見されていないなあ。お経あげてお釈迦さまに頼んでしまうぞ、イヒヒ」
僧侶は寺の境内を文句タラタラ、独り言をブツブツ言いながら巡回。若き僧侶はあれこれ歩く。いやボヤク。にこにこしているから作戦練りかな。
「イヒヒ、なんでもよいでございますよ」
僧侶はニッタァ。あらっだらしないなあ涎が。汚いなあ。
「ああっ、よかったなあピンクのミニスカートのあの方。キュートなイメージの彼女だもん。拙僧の好みだなあ。モーニング娘に入ると一番可愛らしく見えるなあ。いやーあ夢に出て来そうだあ。えっとえっと彼女の名前を名簿で確認しなくちゃ。将来ね拙僧の伴侶になるかもしれない。拙僧の苗字にマッチしますかな、アヒャアヒャ」
ルンルン気分だけの若き僧侶だった。
「駆け足いくぞ」
僧侶お庭を一巡しニタニタしていたら後ろから声をかけられた。
その庭には帰ったはずの実習生が引き返してきたのだ。
「あのうっ、すいません」
僧侶に女の子が声をかけた。僧侶一瞬にして、
「女の子だぁ」
ニヤリとし頭の中はサッとピンクのカーテンにする。
「うん誰かな。忘れものしたかな。それとも、拙僧にわざわざ会いにきたかなヒャヒャ」
僧侶くるりともったいぶって後ろを振り向いた。
アッ!
ものすごくカワイイ〜
「大変申し訳ありませんおしょう様。忘れものをしてしまいました」
実習短大学生はかわいらしい仕草でペコリッ。
「あらまっ。ピンクのミニスカートだあ。ロングヘアのあのキュートな彼女だあ。そこには拙僧が夢の中で見たその娘がいた」
僧侶は頭に血がのぼりまくる。そのうちドバァと噴火しそうである。
「我が拙僧の天使ちゃんだあ。愛くるしい瞳はセクシーを越えて菩薩さまだ。ああ幸せだあ」
僧侶は嬉しさから心臓がパクパクしていた。いやいやドッキンドッキンである。
「うーん頭から爆発したぁ。木魚の乱れ打ちが頭に浮かぶでございます。拙僧は飛び上がらんばかりに大喜びです。知らないうちにロケットになって空にドーンだなあ」
ミニのキュートな彼女はなにか忘れたといいます。
「忘れ物でございますか」
拙僧は心の動悸をよっこらしょと抑えて再び本堂を開けました。忘れものをふたりで探してみることに致しました。
「うん?ふたりだけ。本堂で?ふたりだけ。お釈迦さまの前にふたりだけ。わあっ、たまんないぜ」
拙僧と拙僧の好きなロングヘアのミニスカートキュートな彼女とおふたりさんだけでございます。
「あらまっ本堂のお釈迦さまが邪魔だあ。座布団かぶしてやりたい。えいかぶしちゃえ」
拙僧は彼女を女として意識して参りました。本堂に連れ込んでしまえば、簡単に密室になれます。
「本堂は鍵もかかる。悲鳴なんか聞こえやしない。いや口を塞げば悲鳴されてもいいや。あの白いブラウスは一枚だけだ。脱がしたらすぐに」
拙僧の妄想は過激になりいよいよ実践あるのみでございます。
「まず深呼吸したろ」
ミニの彼女は申し訳ないように、
「忘れ物はパンフレットなんですの。おかしいですね本堂のこのあたりに置いて法話をお聞きしたのですが。残念ですわ。見当たらないですわね」
探しものは説話のパンフレットであった。彼女は可愛らしいルーフレットに挟んで持ち歩いていたが帰り道でふと気がついたらなかったと言う。
「見当たらない。いえいえ、拙僧にはくっきりとお尻のライン見当たりますでございます。悩ましいなあ、ワクワク」
このキュートな保育実習生はちょっとベソかいてしまう。どうしたらいいのと、あれこれ探して回る。様々に棚を探してみたり、下駄箱を覗いたりした。
「探しても探しても見つからない。困りましたね」
拙僧も一緒になって探してみます。棚を上から覗いて、ジロリッ。
「アッヒャア、白いブラウスからもうちょいで見えてしまいそうでございます。パイパイちゃん。見当たらないなあ」
彼女の横になりました。拙僧は軽くしゃがんでみたりしたでございます。
「アガァ」
しゃがんだらピンクのミニスカがなまめかしく拙僧の瞼に映ってしまった。見事にそこにはミニスカートがあった。拙僧のまなこにイヤァとばかりに飛込んで来た。
「あんイヤーン。見たらいかんよ、見たら。見るなあ。メッ!こういうもんは大人になってから見るもんだがやあ。子供には目の毒だけでございます。見ない、み・な・い」
キュートな彼女。しゃがみこんだ姿はもういけない。
拙僧はピンクミニにそっと手を出す。
「アッ、手を出すと痴漢やんかあ」
僧侶はミニを隠すつもりでハンカチを広げた。
「いえいえ、拙僧、変なもの見ていたんではありませんよゴホンゴホン」
ハンカチをヒラヒラさせたから、ミニの彼女は、
「どうかしましたか?」
と聞いた。拙僧はハンカチをヒラヒラさせて、
「マジックやろうかなあと」
娘さん。拙僧を不真面目な態度と誤解された。
少しムッ。
「いえいえ。ちゃんと探しているんでありますよ。見つからないなあ。誰かが気が付いて持って行ってしまったかな」
ミニスカートからチラリと薄いブルーが見えてしまった。セクシーなブルーは僧侶の思考を完全に狂わせた。
「あっ、こらっ。見たらいかん。拙僧のモノなんだから。勝手に人のモノを覗いてはいけない。ってパンティー覗くは拙僧でございますな」
僧侶ちょっと自分に怒る。
メッ!
小一時間もふたりで本堂から保育園と置き忘れたらしい場所を探してみた。
「わかりませんね。明日、園長先生に頼んで、再びパンフレット貰います」
最後にブルーの彼女は泣き顔になる。
「うわぁー、かわいい、かわいい。今まで見た保育短大教育実習生38名の中で一番かわいい。もう拙僧は夢中でございます」
拙僧は彼女の前にいて心臓がドキドキしっぱなし。呼吸も一気に荒々しくなりましたでございます。
「頭から血がロケット噴射しますなあ」
ドッカーン!
火星までいくぞ。
「和尚さま。すいませんでした。お手数かけました。私諦めます。帰ります」
ペコリと可愛らしいお辞儀をされた。いやはや、拙僧、天に登りかけました。清楚な白いブラウス、まぶしいかなピンクのミニスカートそしてロングヘア。瞼にはセクシーなブルー。
「さようでございますか。見つからないのは残念でございました」
あっいかんいかん。なにを拙僧は寝言を言うのかでございます。
「ここで簡単にさよならなんかしてはいかん。彼女を追い返してはいけない。ナンパしないといけない。いやいや、強くこの拙僧の男らしさを印象づけてあげないといけない」
帰りますとミニの彼女はスタスタと本堂の玄関に向かう。
「う〜ん、止めたい。いやだ帰ったら。どうやろうかなあ」
拙僧はとにかく頑張って彼女を引き留めでございます。
「えーい何でもいいや。帰したくない。学生さん。お寺の説法はいががでしたか?少し難しいかと思いますが」
あらあら、拙僧くだらぬ話題を振ってしまいました。
よりによって仏なんぞを言ってしまって。
「後悔したなあ。こんな可愛らしいお嬢さんが間違っても仏教に興味なんかあるもんか。SMAPにしておけば良かった。ヨンさまかな。K-1にしておけばよかった」
するとミニの彼女はにっこり笑い、
「はいお説法は大変役に立ちます。そのぉ、私は実家がお寺です。キャーア恥ずかしい」
夏の若き僧侶は目が点になる。視線が宙に舞ったまま火星に飛んでしまう。金星と水星は喧嘩しだしました。
まったくわけのわからぬくらいの規模で驚いた。
「お、お寺さんの娘さんで」
拙僧全く頭が働かない。
「さようでございますか」
僧侶は思考がピタッと止まる。
僧侶の嫁には僧侶の家の娘さん。
拙僧の嫁にミニスカートのロングヘアの彼女がふさわしい。
ブルーのチラッは近い将来の予知でございます。
「いやあもう最高だあ。日本1だあ」
でコツンと拙僧は頭を叩いて再度動きだす。
「拙僧は嬉しいでございます。ミニのそれを見て興奮致しました。ち、違う」
もう一度頭をコツン。
「拙僧はたぶん、お寺の娘さんではないかと思いましたアハハ」
なにを言っていたかわからない僧侶だった。シドロモドロとなる。ただし顔はクシャクシャだった。
2〜3発ブン殴ってもつねっても笑い顔は止まらないくらいの。
僧侶に褒めを言われお寺の娘さんは口に手をあてクスクスと笑う。この姿がまた一段と可愛らしく愛嬌をかもしだしていく。
「カワイイ〜カワイイ〜。ドッカーン」
もはや僧は恋する僧侶に成り変わり、心の中を強烈なモリでガツッン、ガツッンと搗かれまくってしまった。モリじゃないなあ、大砲だなあズドーンと一発撃ち抜かれたあ。
「恋のキューピッド。ガンガン恋の矢を。イヤァだあ。恥ずかしい」
僧侶はいい歳して照れ照れ。
「幸せが訪れたとはかようなことでありましょう。彼女は別嬪さんでございます。拙僧正直に申し上げます。ブルーはセクシーだ。いやいや、ヒトメ惚れしてしまいました。あいやあいや。つい頭の中を出すなあ」
頭からピンクな部分を排除したしだいでございます。
「だって拙僧は好きになってしまったんだもん」
改めて彼女のミニスカートを眺める。
「セクシーに見えてしかたがございません」
さらにロングヘアーをごっくりと眺める。
「ええ娘さんだなあ。たまらんわあ。誰にも渡したくない、独占したいなあ」
拙僧のいつわざる気持ちでございます。
「ブルーは最高やん」
ハッ、コメントなしにしましょアッハハ。
拙僧はその場で告白してしまいました。
「拙僧は、拙っ、僧は。あなっ、あなた様に恋をしてしまいました」
言われたミニの彼女はキョトンとしております。いきなり告白されて理解できない状態でございます。
積極的な恋は若い娘の恋心を射ぬくかどうか。
「拙僧はなんどでも告白致します。好きでございます。たまらないくらい好きでございます」
彼女は黙ってじっとしたまま動かないのでした。
拙僧は彼女の前に歩み寄る。
「好きでございます」
彼女の手を取ります。やわらかなすべすべとした可愛い手。拙僧は握る。彼女はちょっと嫌がりましたがすぐに素直になりました。
拙僧は彼女を抱き寄せ肩を抱きしめる。彼女の自慢のロングヘアーが目の前に。
「綺麗なヘアーだね」
拙僧はやさしく手で鋤いて見せる。彼女はじっとしたま動かないでございます。
正面を向き瞳を閉じた彼女の口唇を奪いました。
彼女とはそのまま抱き合って動かない。
「拙僧は好きでございます」
うるんだ瞳の彼女はこっくりと小さく頷いてくれました。
拙僧は、拙僧は。
「やったあ。拙僧さ、水星・金星・(地球)・火星と行った後、太陽系飛び出して銀河系に移動しますなあ」
この日を境にいたしまして拙僧は改めて僧侶修行に身が入るようになりました。
なんせ楽しみが増えたわけでございますから。
「へへ毎日彼女とはラブラブ。保育実習を終えて彼女は自由の身。拙僧と拙僧とアッハハ。いやでございますなあ、言いたくないもん。黙ってましょ。誰が口が裂けてもデートでございますなんて言わないぜ。おい邪魔すんなよ。邪魔したらただじゃあおかんぞー」
愉しい愉しい。さらに愉しい時を二人で持っていますでございます。
「和尚さま。私のような女でもよろしいのでしょうか」
ミニスカートのよく似合う彼女はいつも謙虚でございます。
ミニスカートの彼女とはデートでお食事でございます。
拙僧は岡崎の街は詳しいことございませんから彼女にあっちこっちと連れて行ってもらいます。
「和尚さま。岡崎城を眺めるレストランに参りましょうか。私の同級生がコックをしております」
屋上のラウンジは眺めもよくお城が綺麗に見えております。
お城が綺麗なら彼女はまた一段と美しく見えております。
美味しい食事は彼女の同級生が手を加えたものらしく、
「一般のお客さまと味も量も違っています。私は彼氏ができたらぜひにこのラウンジに来てフランス料理をいただきたいと夢見ておりました」
美味しい仔牛のソテーとコンソメのスープ。拙僧はフランス料理など趣味でもなかったのでございますが、こうして大好きな彼女といると違います。
「拙僧も夢見ております。アッハハ幸せでございます」
拙僧は全ての皿を平らげてナプキンで軽く口を拭きました。
改めて、素敵なお城の夜景を眺める。拙僧は満足でございます。
「素敵な夜景に、料理。そして大好きな彼女でございます。幸せ以外なにもありません」
ふたりでアフターのアイスクリームを食べたら彼女から、
「和尚さま。この上には展望台がございます。喫茶店になっていまして寛げますわ」
彼女は岡崎タウン情報雑誌を読み知識を得ていたようでございます。
「では展望台に参りましょうか」
彼女の手を取りあがって参ります。
展望台でまず驚いたのはペアばかりであったこと。喫茶席はほとんど満員でございますね。席に案内をされましたら彼女は拙僧にしなだれかかりました。全くもって最高のムードでございます。幸せな夜でございます。
「和尚さま。幸せですわ」
彼女は拙僧の胸にいだかるながら甘い囁きでございます。
甘い恋人たちとはかようなことを言うのでございましょう。
拙僧の夏の研修のおしまいは迎え盆のちょっと前でございます。
僧侶は盆は稼ぎ時であってゆっくり研修なぞしていられません。我が寺も稼ぎまくるでございます。副住職(父)・住職(祖父)と拙僧(孫)の三人で手分けして壇家を走り回るところでございます。
「ああ忙しい」
その迎え盆の前に拙僧は一大決心を致します。
「彼女にプロポーズしたい」
少しプライベートな話で恐縮です。父は23歳、祖父は21歳で身を固めております。拙僧今19歳。将来を決めてしまってもよかろうにと考えております。
「拙僧には好きなオナゴおるけんね」
いつものように拙僧は別嬪の彼女とデートでございます。デートは嬉しいことに彼女が説法の話を熱心に聞いて頂ける。僧としましては大変嬉しい限りでございます。タレントの話より得意であります。
そして拙僧は勇気を振り絞り彼女に話を切り出してみました。拙僧はいかに今は真剣な気持ちであるか、仏門にある拙僧の身分をちゃんと理解していただきたい。
さらには伴侶としてついてきてくれないかとでございます。拙僧は来年得度致します。僧としては若いけれど一人前となる証拠でございます。
素敵な伴侶も是非に欲しいと願い、拙僧の思う切ない気持ちをサラケ彼女にプロポーズいたします。
「拙僧と結婚してもらえませんか」
一気に言い出して拙僧はホッとしております。
「えっ和尚さま。そんなことをいきなり言われても私は困ってしまいます。突然過ぎでございます」
顔を真っ赤にした拙僧とさらに赤い顔で下を向くミニの彼女でございました。
彼女からの答えはいかなものだったのか。