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至高の天にワンワンと  作者: 埴輪庭


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7/9

第二王女⑥

 ◆


 日本艦隊、神殿型戦艦「八百万」。


 かつて技術大国として名を馳せた日本は今や霊術大国として知られている。


 その転換点がいつだったのか、歴史家の間でも意見が分かれる。ある者は第三次世界大戦後の「霊的覚醒」がきっかけだと言い、またある者は古来より受け継がれてきた神道の教えが近代科学と融合した結果だと主張する。


 いずれにせよ、一つだけ確かなことがある。


 日本の軍事技術は「命」というかけがえのないリソースを消費することを前提に設計されている。


 それが国民性なのか、それとも歴史的な経験がそうさせるのか。特攻という概念を生み出した国だけのことはある、と皮肉を言う者もいる。だが日本人自身はこれを「献身」と呼ぶ。命を捧げることで、より大きな命を守る。その思想が、軍事技術の根幹に組み込まれているのだ。


 加具土命(カグツチ)──


 それは日本が開発した対惑星級PSI能力兵器である。


 PSI──Psychic Sublimation Interface。精神昇華接続装置。人間の精神エネルギーを物理的な力に変換する技術だ。通常のPSI兵器は訓練された術者の精神力を増幅して攻撃に転用する。だが加具土命はその原理を極限まで推し進めた。


 一人の精神力では足りない。


 十人でも、百人でも足りない。


 一万人。


 一万人の禰宜──神道の聖職者が、同時に命を捧げることで初めて発動する究極のPSI能力。


 その名は日本神話における火の神から取られている。伊邪那美命を焼き殺し、伊邪那岐命の怒りを買って斬り殺された神。創造と破壊の象徴。生と死の境界に立つ存在。


 発動の原理は科学というより神秘に近い。


 一万人の禰宜が、特殊な祭壇を囲んで祝詞を唱える。その声は物理的な音波であると同時に、精神世界における「呼びかけ」でもある。呼びかけの対象は宇宙の根源に眠る「火の記憶」──ビッグバンの残滓とも、神々の力の欠片とも言われるエネルギー場だ。


 祝詞が最高潮に達したとき、一万人の命が同時に燃え尽きる。


 その精神エネルギーが「火の記憶」と共鳴し、純白の炎となって顕現する。


 出力換算で六百兆メガワット。


 数字だけ見れば、光子波動砲の八百三十兆メガワットに劣る。だが加具土命の真価はその攻撃範囲にある。光子波動砲が点を穿つ槍だとすれば、加具土命は面を焼く炎だ。その白い火は目標を中心とした半径数十万キロメートルを等しく焼き尽くす。


 仮に地球に使用すれば、地球は焼き尽くされる!!! 


 神殿型戦艦「八百万」の内部。


 一万人の禰宜たちが、巨大な祭壇を囲んで正座していた。全員が白装束を纏い、目を閉じている。その顔には恐怖はなく、むしろ穏やかな覚悟が浮かんでいた。


「皆の者」


 最年長の禰宜、齢九十を超える老翁が静かに口を開いた。


「我らはこれより、加具土命を発動する。これは我が国が二千年かけて練り上げた対惑星級PSI能力。発動には一万の魂を要する。すなわち、我らはここで死ぬ」


 誰も動揺しなかった。全員が、この日のために訓練を積んできたのだ。


「だが、恐れることはない。我らの死は百億の命を救う。これ以上の誉れがあろうか」


 老翁は目を閉じ、最初の祝詞を唱え始めた。


「掛けまくも畏き、伊邪那岐大神の……」


 一万の声が、一つに重なる。


 低く、荘厳な詠唱が艦内に響き渡った。


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一月中に書いた作品のリンク色々

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よくある聖女召喚の連載版
西暦六九一〇年、宇宙歴四六四九年。かつて人類が「地球」と呼んだ惑星はいまや銀河系有数の文明圏の中枢として、その青い輝きを宇宙に放っていた。
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過保護な母に命を奪われた絵里が転生したのは、乙女ゲームのような異世界。
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【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
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時は大霊能時代!
悪霊、死霊が跋扈するようになり、治安は悪化し、世界中、不穏な事ばかりのサイテーな時代である。
霊務省は昨今悪化しつつある住宅事情、および国民感情を改善すべく、酷く悪趣味な戦略を考案した。
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【ジャンル】ホラー〔文芸〕
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ドラゴン相手に示談交渉、悪党には損害賠償。
法の力で世界を論破する、リーガル・バトルファンタジー。
【ジャンル】ハイファンタジー〔ファンタジー〕
「悪徳弁護士、異世界へ行く」

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弁護士の真司は漁師の啓二、バーテンダーの了と共に、愛する妻・莉子と暮らしている。
かつては嫉妬に狂い、互いに殺意すら抱いた男たち。
しかし奔放な妻に振り回され、同じ苦しみを共有するうちに、敵同士だったはずの三人の間には奇妙な連帯感が芽生え始める。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「オープンマリッジ」

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ジャズの良さがさっぱりわからん
【ジャンル】エッセイ〔その他〕
「ジャズとかよくわからん」

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時は大霊能時代!
悪霊、死霊が跋扈するようになり、治安は悪化し、世界中、不穏な事ばかりのサイテーな時代である。
日本でも霊務省が死刑囚を呪いの物件に送り込み、悪霊に始末させることでコストを削減するという悪趣味な制度が採用されている。
そんな中、ベテラン執行官・大佐貫はいつものように凶悪犯の処理に向かうのだが──
【ジャンル】ホラー〔文芸〕
「ポイズン・エクソシズム」

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ちょっとトッぱずれた世界観の短編を集めました。
目次──各話の簡単な概要は第一話の前書きに。
【ジャンル】コメディー〔文芸〕
「トンチキな作品を集めた短編集」

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夕暮れの駅のホーム、今にも線路へ吸い込まれそうな女性に男は全力で体当たりを食らわせた。
男の名前は藤巻俊一。
いわゆる、「ぶつかりおじさん」である。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「感電」

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夜ごとに星が降る美しい国で、欲しいものは何でも手に入るワガママ王子。
ある日、メイドの大切な形見を無慈悲に捨てた彼は王の怒りに触れ、身一つで城を追い出されてしまいます。
孤独な旅の果てに王子が見つけたものとは
【ジャンル】童話〔その他〕
「星のきらきら」

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電柱が自らの意思で根を張り、街を闊歩するようになった日本。
かつての大反乱を経て、人類は彼らとの奇妙な共存関係を築いていた。
人間とコンクリートの間に立ち、摩擦を仲裁するのが「電柱保安調整官」である佐山の仕事だ。
【ジャンル】コメディー〔文芸〕
「電柱街」

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不同意性交は死刑!!
そんな社会で男と女が恋をする。
【ジャンル】現実世界〔恋愛〕
「君と僕の同意性交」

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冒険者パーティ『碧空の翼』の荷物持ちバジルは醜く無能な中年男だ。
そんなある日、彼は仲間に囮として森に捨てられた。
絶望の淵で彼が手にしたのは、若き美女へと変貌する奇跡の力であった。
復讐を誓ったバジルは美貌の魔術師「ジル」となり、かつて自分を見下した男たちの前に現れる。
何も知らない男たちは、かつて蔑んだ男とも知らず、彼女の愛を求めて争い、堕ちていく。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「無能な中年男、男をたぶらかす魔女となり、自分を捨てたパーティメンバーに地獄を見せる」

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鬼塚剛志は現場監督として赴任した京都で、正体不明の敵に精神を削られていた。
それは「京都弁」という名の、本音と建前が入り混じる魔宮であった。
職人の笑顔の裏にある真意が読めず、挨拶すらも攻撃に聞こえる日々。
蓄積されたストレスと疑心暗鬼が限界を超えた時、男の拳が禁断の解決策を選び取る。
【ジャンル】コメディー〔文芸〕
「京都殺拳地獄(きょうとごろしこぶしのじごく)」

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産後豹変した妻・絵里奈の苛烈な叱責に追い詰められる夫、洋平。
家庭に居場所を失った彼は怒りを糧に「完璧な仕事と育児」をこなして自らを死へ追いやるという狂気的な復讐にも似た自滅の道を歩み始める。
【ジャンル】ヒューマンドラマ〔文芸〕
「夢の轍」

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太平洋戦争架空戦記。
【ジャンル】歴史〔文芸〕
「白い悪魔」

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甘い嘘よりも、冷徹な罵倒を。
裏切りの果てに少女が抱いた歪で抗いがたい執着の物語。
【ジャンル】異世界〔恋愛〕
「花弁」
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