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第8話 あと3年。

うっかり、、、ドアを閉めたかけたところで立ち聞きしてしまった。

・・・・白い結婚、、、、、って、、何??


久し振りにお会いしたウィルマー様は相変わらず可愛らしい子豚ちゃんだった。


自室に帰ると、ヒルデさんが真っ白い花を沢山飾ってくれていた。


「おめでとうございます。これは、使用人一同から、お誕生日とご結婚のお祝いです。」

「まあ!!!素敵!ありがとうございます。」

「・・・・奥様、、、、まったく、、、若は、、、式も挙げないなんて、、、」

「やだわ、呼び方は、今まで通りが良いんだけど?ダメかしら?」


流石に、、、いきなり奥様呼びはハードルが高すぎる。


「では、、クリスティーナ様、、、おめでとうございます。」

「ありがとうございます。、、、これからもよろしくお願いしますね?それでね、、ヒルデさん、、、」

「はい。」

「白い結婚、って、何かしら?ごめんなさいね、勉強不足で。高位貴族の皆様はご存じのことなのかしら?」

「・・・・・」

「ヒルデ、、さん?」


「・・・・若旦那様が、、奥様に、、、そう言ったのですか?」


「いえ、ドアを閉める時に、ベルノさんとお話していたのが聞こえてしまったの。ね、なに?教えて?」

「・・・・・あの男,、、、、チェッ」

「?????」



「・・・・白い結婚、というのは、、、、3年間、奥様に手を出さず、、、純潔な娘のまま、、、3年後に離婚する、という、、、貴族の離婚の常套手段です。その、、、どちらにしろ、嫁いで3年たって子に恵まれないと離縁していいという暗黙の了解も、、、、まあ、、、貴族社会の男尊女卑?ですねえ、、、男のほうに問題があることだってあるのに、、、、」


ヒルデさんが爪を噛みながら、、、険しいお顔、、、、


つまり、、、、


「つまり、、、、私には、あと3年しかないんですね?と、いうか、3年はお邪魔していていいんですね?経費、ウィルマー様持ちで??」


「・・・・ええ、、、、」


「3年かあ、、、じゃ、急いでアカデミアに行かなくちゃですね!!!あと、、離縁されてからの身の振り方も考えて、、、あら、、、意外と忙しくなりそうですね?ウィルマー様が望まれた結婚ではございませんので、致し方ございませんね。ふむふむ。」


「・・・・・」



そうかあ、、、3年か、、、

3年あったら、羊の毛刈りは見に行けるかしら?




あら、、、でも、、、お母様のドレスを着る機会はないようですわねえ、、、、少し、残念です。




*****


「お隣に越してまいりました。クリス、と申します。こちらは従姉妹のルルです。よろしくお願いいたします。」


朝早くから、、、と言っても、もう昼前か、、、ドアをやたらノックされるから出て見ると、ありきたりの格好で、女が立っていた。金髪三つ編み。


「作業所として使いますので、他人の出入りがあってうるさくするかもしれませんが、今後ともよろしくお願いいたします。これ、さっき焼いたんです。」


そう言って、綺麗にラッピングされたクッキーを貰った。

深々と頭を下げるその女の後ろで、、、従姉妹と呼ばれた黒髪の女は、にこりともせずに頭を下げる。なんなん??


「あと、これ良かったらお使いください。うちのブランド商品なんです。子豚ちゃんシリーズのハンカチです。」


差し出された木綿のハンカチには、かわいい子豚が、少しくすんだ赤のリボンをしている。

ブランド?シリーズ??なんのこと?


「殿方には可愛すぎましたか?このほかに、うさちゃんシリーズとか、にゃんこシリーズとかもございますが、、、、私、子豚ちゃんが好きなんですの。うふふっ。」


って、、、、言葉遣いが、すでに庶民じゃないんだけど?なんなん?


まあ、とりあえずありがたく頂戴して、朝食代わりにクッキーを食べる。

「あ、、、、意外と美味い、、、、」


建付けの悪い窓を久しぶりに開けると、風が入ってきた。

こんな下町のぼろ借家に入るなんて、、、、


なんか、懐かしい味がする。母が焼いてくれていたクッキー、、、ま、、、、いいか、、、


今日の仕事を確認する。

王城のパーティー。給仕係。

今日は王太子の婚約者のお披露目がある。お相手は、、、予定通り、公爵家の令嬢、、、、これで公爵家の勢力も取り込める。世の中は政略で出来てんなあ、、、



*****


ヒルデさんと刺繍用の糸を見に、いつもは屋敷まで来てくださる王都の下町にある小間物屋さんに行ってみたら、作った作品を売っているコーナーがありました。このお店の材料を使えば、誰でも出品できるそうです。


良いんじゃないでしょうか??


早速、旦那様のために作りだめしていた子豚ちゃんシリーズを、、、、渡す機会もなく貯まっておりましたので、、、クリスの名で出品してみました。そうしたら!お店から逆に注文を頂けました。あら、、、


動物を可愛らしくアレンジしての刺繍はかなりレアだったらしく、、、、まあ確かに、、普通はお花とかですわね、、、おかげさまで評判になったようです。


立て続けに、うさちゃんシリーズと、にゃんこシリーズを販売しました。


注文が捌ききれなくなってきたので、、、学業も、家業もございますので、、、ヒルデさんと相談して、作業所を開設して、人を雇うことにいたしました。

試算いたしましたところ、安い借家なら予算内で借りれそうでしたので。もちろん、嫁ぎ先の家のお金は使っておりません。

ヒルデさんが心当たりをあたって下さいました。下町ですが治安が良い、古いけど日当たりの良さそうな長屋の一室です。


ゆくゆくは、、、ここに住んでもいいかなあ、、、と、思っています。


お隣の方は、ぶっきらぼうですが、、、旦那様と同じくらいのお年でしょうか。

ウィリーさん。給仕のお仕事をなさっているようです。ヒルデさんが聞いてきました。

髪色が、、、初めにご挨拶した日は金髪でしたが、今日は茶色になっておりました。


三毛猫??うん、、、いい線ですね、、、


明日は何色でしょう。













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