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第5話 ワルス領。

「ああ、大旦那様!おはようございます!」


物凄く広い、、、これでも牧場?という野原に、羊が海の波のように流れていく。

羊だよ、、、羊の群れ、、、


私たちの馬に並んだ人は、牧場の管理人さんかな?お父様と楽しそうに話している。

この人は、、、なんと!ボーダーコリーにそっくりね!!くりくりの黒髪。


お父様の部下は、、犬っぽい人が多いのかしら、、、、うふふっ。


「今年は雪が少なかったので、牧草の育ちも早いようだな。」

「はい。羊も楽しそうです。今年は、西部の牧場に移動させます。」


そうそう、牧場をローテーションして使って、荒れないようにしているのよね。

帳簿で読んだわ。2年かかって、西部に広げたのよね、牧場。ふむふむ。


数字で見ていたとはいえ、この羊の数、、、

いやあ、、、うちの領でも羊くらいなら飼えるかな?とか思ったけど、規模が違う、規模が。

ここに、専属の獣医さん、種付け師、毛刈りのプロ、もちろん、羊を管理してくださる方と、牧場を管理してくださる方、、、、、あとは、これは商売ベースにはしていないようだが、羊のチーズも作っている。

本業が羊毛なので、ラム肉の出荷もしていない。たまに食べるのかな??



「さて、お嬢さんに、羊のチーズをご馳走しよう。」


楽しそうに師匠が、馬を牧場の管理小屋に向かわせる。


「あらあら、随分ゆっくり見てきたのね?もうお昼よ?」


驚いたことに、乗馬服を着たお母様が、小屋、と呼ぶには大きすぎる、、、管理小屋のテラスの椅子にかけてお待ちだった。乗馬服でも、エレガントですねえ、、、髪型は、今日は普通でした。


私たちが座ったらすぐに、焼いたバゲットが出てきた。沢山のスライスしたチーズと、小瓶のハチミツ。ジャム、、、


「これに、チーズと、、私ははちみつ掛けがお勧めだわ?」


こ、、これは、随分とこってりしたチーズですね?美味い!!

お母様が作って下さった、オープンサンドを食べる。ハチミツもたっぷりだ。


「屋敷で頂くより、ここで食べるほうが美味しいわ。ね?あなた?」

「ああ。」


お二人も美味しそうに食べている。


3月の暖かい日差しの中で、3人でブランチを。なんて贅沢!!




*****


ある侯爵家のパーティーに来ている。

今日は、黒の上下の制服で、お客様の間を縫って、飲み物を提供している。

料理も飲み物も豪奢だ、、、使っている食器も、銀器も、、、


「ねえ、、、」


お盆に飲み物をもって行き来していると、髪と口紅が真っ赤なご令嬢に声を掛けられる。

「はい。何をお持ちしましょうか?」

「うふふ。じゃ、赤ワインを、、、あなたが休憩室に持ってきてちょうだい。少し疲れたから、、私のこの赤いリボンが付いてる部屋ね。」

「はい。かしこまりました。」


ご令嬢や、、、ご婦人方に、、、こうして声を掛けられる。アバンチュール?使用人のほうが後腐れがないからだろう。何かあったら、襲われたんだと声を上げて、、誘われたほうが処分されて、終了、、、。ホントに、、、貴族令嬢って、、、


今回はその侯爵家のパーティーにはめずらしく、男爵家のご令嬢らしい。

赤いリボンのついた部屋に入ると、早速、しなだれかかられる。もちろん、鍵を下ろされた。


「黒い制服に、その黒髪、、、そそるわねえ、、、うふふっ、、」


ワインには初めから仕込みがしてあるので、最後までいたしたりはしない。

アルコール度数があがっているワインのおかげで、口もよく滑る。


「・・・・それでえ、、、わたし、借金の形にあんな爺さんに嫁に行けって言われてんのよねえ、、、まあ、すごいお金持ちだから贅沢は出来るとしてえ、、、息子が私より年上よ?まじ?って思うわよねえ、、、まあ、、、そっちも誘惑してね、うふふっ、、、、、」


眠りこけたご令嬢に薄い布団を掛けて、そっと休憩室を出る。

はーーーーっ、、、、ご令嬢?ご婦人?節操も慎みもない生き物だなあ、、、






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