番外編 お父様とお母様の場合。
クリスティーの部屋に入り、付いてきたヒルデを追い出して、後ろ手に鍵をかける。
「クリスティーナ、、、、」
何度もキスをする、、、3年分のキスを贈りたい。
頑なだった、、、向き合おうとすらしなかった、、、両親にも、君にも、、
教えてくれたのは君だ。
「カエルの王子様は、女の子のキスで、王子に戻るんだよね?」
「はい、、、、」
僕の腕の中で、呆けたような真っ赤な顔のクリスティーが愛おしい。
「僕がカエルでも、王子でも、、、、子豚ちゃんでも、、、君は僕に付いてきてくれるんだよね?いや、、、、一緒にいてくれるんだよね。」
「え?ウィリーさん??」
「ウィル、って呼んで、ね?」
何度も何度も、、、僕の名前を呼んで
「ウィル?」
とんだ遠回りをしてしまった。でも、、、遠回りしなかったら見れなかった景色かもしれない、、、、
僕の名を呼ぶクリスティーを抱きしめる、、、
*****
「で?クリスティーはどうした?着替えに時間が掛かっているのか?」
「・・・・・いえ、、、、」
「え?まさか、逃げられたのか?」
「・・・・・いえ、、、」
本宅のメインダイニングには4人分の夕食の用意が出来ている。アヒムが嬉しそうだ。
父も母も、席について二人が来るのを待っていてくれたらしい。
「若奥様は、お部屋で気絶されておりまして、、、そのまま眠ってしまったかと。」
「は?」
ヒルデ、、、、もっと、優しく言って、、、、
両親に、そんな、、、
「・・・・・」
「・・・・・」
「馬鹿か?お前は、、、」
「うふふっ、、嬉しかったのよね?相手にされていなかった分。」
「・・・・・」
母上、、、、慰めてますか?それ?
「あなたのお父様はねえ、、、私の社交界デビューの時に、いきなり、3年待っていてくれって。うふふっ、、びっくりしたわ。初対面なのによ?でも、ウィルよりかっこよかったわよ?背が高くて、整っていて、モテモテで、、、ね?あなた。」
「・・・・・」
「待っていろと言われたから、待ってたわよ。親にぶーぶー言われながらも。そしたらこの人、それから社交にも出てこないし、いい噂聞かないし、、、、借金だらけらしいぞ、ってね?手紙は来ないし、連絡は付かないし、、、そんなんで3年たっちゃってね、、、私も19歳でしょう?もう、売れ残りよね。お高く留まって、えり好みしてんだろうとか陰口叩かれるし。まったく。」
「・・・・・すまん、、、」
「実は秘密裏に、親が縁談を進めててね、、、3年たつし、しょうがないかなあって思い始めた春の舞踏会でね、、、、、この人やっと来てくれて、、、、もうねえ、、、ガリガリに痩せて、髪なんかぱさぱさでぼさぼさで、、、、、でもね、痩せて大きく見える目だけは、相変わらず真っすぐで綺麗だったのよ。うふふっ、、」
「おま、、、、息子に何言ってんだ、、、」
「あら、いいじゃない?
それでね、この人ったら、結婚式が終わって、さあ初夜だって時に、、、疲れが出て一週間も寝込んだのよ???どう思う?」
「ば、、、」
父上、、、顔が真っ赤です。
「それからこの人を一生懸命太らせて、現在に至るのよ。うふふっ、、」
はいはい、、、御馳走さまです。
「父上は、、、、なぜ母上だったんですか?」
「なっ、、、、ひ、、、、一目ぼれだ!!!!」