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第17話 あと1年。

いろいろありましたが、王太子殿下とイルデ様の結婚式も華やかに行われました。


お祝いに欲しいとリクエストを頂いたベットカバーも、持てる力を総動員して完成させました。

おやゆび姫と王子様、、、イルデ様は余計なことをおっしゃる人ではございませんが、ここまで、カエルやモグラの妨害があったのでしょう。あの女の子の戯言も、さらりとかわしていらしたし、、、それはお相手に対する信頼、なのでしょうか?


お互いの信頼、、、少し羨ましくもありますね。


姫と王子様と、チューリップとツバメ、、、、可愛らしい刺繍が入りました。気に入って頂けたようです。良かったです。


夏休みはお母様と領地で過ごしました。

穏やかな日々でした。お父様は毛糸用の染料を探しに旅に出ていらしたので。


レース編みを教わったり、馬に乗って領地を回ったり、何時ものように教会の奉仕作業に出掛けたり、、、

帰りには縫製工場で出た生地の端切れを頂いてきました。何かに使えそうでワクワクします。


私たちは郊外の一軒家を借りて、一角を小さなお店にしました。

従業員の皆様は相変わらず、ご自分の都合のつく時間に来てくださいます。



旦那様は、、、時々、屋敷内で見かけるようになりました。


お仕事がひと段落したようで、、、、、何よりです。

なんだか少し、お痩せになったような気がしますが、、、お疲れでしたのね?

ムチムチの手袋も取っていらして、お腹もへこんでしまったようです。

前髪は相変わらずですが。


もう、、子豚ちゃんではなさそうですわねえ、、、

少し、、、残念、、、


旦那様はもう一つ伯爵領を頂けるという打診が入っているようで、、、、凄いですわね?ベルノさんが教えてくださいました。



さて、あと1年です。




*****


お隣のクリスが引っ越しの挨拶に来た。

作業所が手狭になってきたので、郊外に一軒家を借りたらしい。


後ろに控えた従姉妹のルルが、睨むように俺を見ていたが、、、


「いろいろお世話になりました。ありがとうございました。ウィリーさんもお体にお気をつけて、お元気で。また、どこかでお会いしましょうね。」


そう言って笑って、カエルの王子様の刺繍の入った枕カバーを置いていった。


カエルの王子様ね、、、、魔法は女の子のキスで解ける、、、


あの子はカエルでもいいと、本当に思ったんだろうなあ、、、



俺はしばらくは貴族関係のパーティーには呼ばれないだろうから、着飾ったクリスを見ることもなくなるんだなあ、、、まあ、会おうと思ったら、クリスが今度の作業所に作るという店に行けばいいんだろうけど。


俺も、、、、そろそろここを引き払うか、、、いろいろと潮時かもな。


狭いベットに寝転がって、シミのついている天井を眺める。



不覚にも、、、かわいいと思ってしまった。

ぼろ長屋でみるクリスも、舞踏会で見かけるクリスティーナも。


素直で、真っすぐで、一生懸命で、、、、


初めのころはガリガリの子供だったが、年相応にふっくらしてきた。


「愛、はなかったとしても、感謝と尊敬は持っておりますわ。」


参ったなあ、、、、



*****


「あら、まあ!王城から貴女にお誕生日プレゼントが届いていますよ!」


今日は離れの皆さんと本宅の皆さんが揃って、私のお誕生会を開いてくださいました。大きなケーキに、盛りだくさんのお料理、デザート!いつもありがとうございます。


お母様に手渡された綺麗にラッピングされた小箱をそっと開けると、、、

「・・・・・」

物凄く豪奢なネックレス、、、、センターの石はサファイヤ?

「まあ!」

王太子殿下とイルデ様の連名でした。

箱を覗き込んだお母様が、驚きの声を上げます。それぐらい、、、凄いモノなんですね?いや、、、でも、、、似合いますかね?私、貧相ですし、、、


「あら、まあまあ、、、では12月の舞踏会のドレスはこのネックレスに合わせて作りましょうね。」


12月の?それは無理では?

何度も言いますが、、、国王陛下にご挨拶がございますので、ご夫婦そろってじゃないと、、、


「領地のみんなからも届いていますよ?」

「これは、私たちからです。」

・・・・・


なんか、、、本当に皆様に大事にして頂いて、、、逆に心苦しいです。

あと1年でお暇致しますのに、、、、


「あ、、、、こちらは、ウィルマー様からです。ご本人は今日は王城に詰められておりまして、、、、お預かりしてまいりました。」


ベルノさんの一声で、、、、会場が不思議な静寂に包まれてしまいました。

旦那様から?

私に?


静寂の中、、、手渡された小箱をそっと開ける。


オレンジと黄色のお花モチーフのネックレス。

この花は、、、、ガーベラ?、、、あ、キンセンカでしょうか?かわいい、、、、

お母様が箱を覗き込んでいます。


「・・・・・」


「12月のドレスは、若が手配するそうです。え、、、、僕は、、、言付かってきただけですから、、、、」


ヒルデさんからけりを入れられたベルノさんは、困り顔でそう言った。


12月の?舞踏会に?え?私一人で?


旦那様は、お忙しいのに、私にまで気を使って下さって、、、、


「そういえばベルノさん?ちらりと見たんですが、旦那様、急に痩せられましたよね?どこか具合が悪いのでしょうか?」

「え?いや、、、、大丈夫だと思いますよ?」


「そうですか、、、せっかく、ぷっくりされておりましたのにねえ、、、」
















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