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第14話 あと1年半。

絹糸の流通は落ち着いたようだ。

しばらくは品不足が続いたが、、、

ちょうど春の舞踏会用のドレス製作の繁忙期も重なり、かなり顰蹙を買ってはいた。


当のクリスティーナは、絹糸も木綿糸も高いなら、と、父の領地の毛糸を買い込んで、ふんわりした刺繍をして、これまたヒットしたらしい、と、ヒルデに聞いた。


ゲルマー商会には国税から追徴課税の命令が入ったようだ。逆に、、、それくらいで済んでよかったと言うべきだろう。


父親の後妻に熱を上げた跡取り息子は、廃嫡となり家を出された。赤の大好きなあのご令嬢は離縁されて、、、実家に戻ろうにもデル男爵家は国から立ち入り調査が入り、隣国への不法輸出や輸入、挙句に、、、、領民まで隣国に売り飛ばしていたことがわかり、、、、と、言うか、水面下で調査が入っていたのだが、証拠がつかめずにいたんだが、、、今回何もかも明らかになった。デル男爵家は領地も爵位も無くした。裁判はこれから。


若い二人は手を取り合って、隣国にでも行ったんだろうか?


社交界はしばらくはこのスキャンダルで退屈しないだろう。



・・・・・帳簿に書いてあるのかあ、、、、



改めて自分の帳簿を眺める。


月々、まとまった金額をクリスティーナに渡しているが、ツケで買い物をした形跡もなければ、もちろん、、、、僕から彼女に贈り物をした記載もない。

なんとも、、、、味気ない、、、まあ、、、僕自身が望んだことではあるんだが、、、



「なあ、ベルノ、、、これからでも、春の舞踏会用にドレスの注文は間に合うか?」

「はい?」


書類を片づけていたベルノが、いぶかしげな顔を向ける。


「ど、、、、、どなたに贈られるので?」


「え?」


「え?」




*****


ゲルト候にヒントをもらった、おとぎ話シリーズ、が春から売り出される。

おやゆび姫、カエルの王子様、赤ずきんちゃん、シンデレラ、、、、従業員の皆様もノリノリです。刺繍糸も流通しだしました。良かったです。


冬場に売り出した、お父様の所の毛糸で編んだマフラーにフェルトのお人形で止めるタイプのものは、思っていたより好評でした。


刺繍糸が不足していた時に、細めの毛糸でした刺繍も、こんもりとしてかわいく仕上がり、中々でした。これは冬用の定番にしたいですね。


ついでに、毛糸自体も売り出しました。一般家庭で使い勝手が良いように、毛糸球を片手に乗るぐらいの大きさで統一しました。染色にもう一工夫欲しいですね。子供用のかわいい色味とかね、、、これは、お父様にお伝えしました。お母様と早速、盛り上がっておいででした。



今は、地方の町からも注文が入るようになったので、ヒルデさんと相談して、もう少し大きな家を借りようかと話しています。工房、、、良いですねえ。


一軒家を借りて、あと少ししたら、、、あの家を出て暮らそうかと。



実家のほうは、キンセンカの改良種を次々に出しているようです。

冬の間、下町の家の出窓を飾っていました。


余裕のある方たちは、思い思いのリボンや、装飾を植木鉢に施して、、、プレゼントにも使ってもらえているみたいです。


花言葉は、、、変わらぬ愛、静かな思い、、、と、ヒルデさんに教えてもらいました。



オレンジに黄色、、、元気の出る色です。私も負けられませんね。


軌道に乗ったら、少しづつ、援助頂いたお金を返していきたいと、弟の手紙に書かれていました。しっかりしてきましたね。まだまだ小さな子供かと思っておりましたが、、、、

もちろん、他の品種の栽培も試みているようです。


少しづつ、、、、いろいろ変わっていくんですねえ、、、




*****


12月の大舞踏会は原則、夫婦同伴ですので、、、、なにせ、国王陛下へのご挨拶がございますので、、、出たことがございませんが、春の舞踏会は、こちらに来てから2回目になります。


この6月には、いよいよ王太子殿下とイルデ様の挙式も控えておりますので、社交界はなおのこと賑やかだそうです。お母様が嬉しそうに教えてくださいました。


今日は、、衣装合わせをするために離れに来ております。と、、、いうか、、

屋敷にいる時間の、寝る時間以外はほとんど離れにいると言ってもいいくらいですね。お父様の事務仕事を事務官さんたちと行い、夕食をお母様と食べ、お茶を頂き、、、、、あら?旦那様とお会いしたのは何時でしたでしょうか???


「あの子がねえ、、くすっ、、、ドレスを作ろうとしていたらしいわよ?」


お母様からの、あの子、は、ウィルマー様ですかね?ドレス?


「え?まあ、、、もうそんなお付き合いの方がいらっしゃるなら、私、お暇したほうが、、、、」


「え?・・・・ま、、いいわ。どちらにしろ、今の今ですぐ作れっこないことも知らなかったようだし、、、、絹製品の不足もあったしね?」


「ええ、、、なんとか回るようになってきたみたいですね。良かったです。」


今回、お母様が作って下さったドレスは、淡いブルーに白いレース重ね。レースがふんだん過ぎて、立ち眩みがしそうです、、、、


「以前から思ってはいたのですが、、、やはり、ウィルマー様の瞳の色は、ブルーなんですね?」


「え????」


「え????」


「チェッ」


これは、、、、、失言だったかしら?


お母様も、ヒルデさんも、お母様の侍女の皆さんも、、、、お針子さんまで、、、注目を集めてしまいました、、、、、すみません、、、お母様の色と、お父様の色を考えれば、当然でしたね!!


ヒルデさん、お母様の前で、舌打ちはいけませんねえ、、、

爪を噛むのもおやめなさいね、、、


「あの、、、すみませんでした。考えればわかることでしたね?」


「・・・・・」


「・・・・・」








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