隣の擬装者(コスプレーヤー)
まだぼくがお客だった頃のスタッフさんは、趣味ではあるが、イベントでパフォーマンスをするほどの才能があった。
ライブパフォーマンスで絵を描いたりしていた。
医者の出す薬は麻薬と同じと、良識と良心のある医療関係者は語っているそうだけど、たしかにそうだとぼくも思う。
きっと家での様子はもっとだらしないのか、あるいはむしろ逆なのかわからない。
性格に裏と表があるというより、才能で姿を変えられる人なのだろうかとも考える。
人は化粧で変わる。
女性は表でそれができるから、羨ましいと思う。
男も化粧をする時代になったと言えば、またそれも違う。
戦国の時代から、オトコも化粧はしていたみたいだし。
雑談だけど、「衆道」やプラトニックな男色もあったそうだし、いまだって、純愛のBL作品はたくさんある。
仕事を辞めて、繁華街にあるコスプレをして接客してくれるお店に行った彼女は、わりと評判が良いらしい。
化粧には流行りやパターンがあるけれど、どこから見ても隙のない、依然可愛らしいマジシャンの「プリンセス」のお化粧を見ると、彼女の面影(記憶の中の映像)がそれに重なる。
見たものが、好きなカテゴリーに加えられるというぼくの特性、生まれたての雛鳥が最初に見たものを「親」と思うような性質に似たぼくの感覚は、それもひとつの美と捉えてしまうので、コスプレで盛り上がれるというその人の働くお店には行けない。
模倣の美も善。
模倣の義は習い。
模倣の真は継承。
天界の天使はオリジナルな天主の創造。
人界の創世は完璧な複製に込められた神そのものの魂。