表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ラジオからの……

作者: 神名代洸

深夜のラジオはバラード系が流れることが多く眠りに誘われるということで車の運転時には向かない。

たまに……ごくたまにノリのいい曲が流れると思わずリズムをとる。1人の運転。長距離ドライバーなのでそういう時にはありがたい。

12時を過ぎると徐々にラジオ番組が終了となる為、流れる番組がないか探すと一つだけあった……。

だからその時にはいつも決まってその番組をかける。

まぁ、それもなくなると持っているCDを引っ張り出して演歌をかけるのだが、今日はそんな気分ではなかったのでJ-POPを流してみた。

最近の若者のはノリが良すぎて頭が痛くなるが、運転には集中出来る為多少は我慢していた。

順番にかけていくと何も書かれていないCDを見つけた。

こんなの持ってたか?と首を傾げたが、聞く曲がなかったのであえて流してみることにした。

もしかしたら知ってる曲が入っているか、持ち主がわかるかもと思ったから。

セットして待ってみたが音が流れてこない。

音楽……入ってないのか?

そんなのあるのか?

仕方が無いのでまたラジオに変えてみた。

ザーーーーーッ。

砂嵐のような音が入り込んでいた。

仕方が無いのでチャンネルをいじるがどれも同じだった。

ちょうどサービスエリアにはいるところだったので、そこで気分を変えようと車から降りた。

う〜ん、伸びをした。

肩が凝ってたのか気持ちが良かった。

用を足し、ちょっとした食べ物も買って車に乗り込んだ私はエンジンをかけラジオを探した。

するとなんか変な声?音?が聞こえた気がした。

まさか、こんな時間に変な番組がやるわけないよな。

そう、私は怖い話が苦手なのだ。

だから車もカラフルにして目立つようにしてる。


「あ……そ、ぼ?」

聞き間違いかと思った。

ラジオからそんな声が聞こえるわけが無い。

何度チャンネルを回しても何も聞こえては来ず、砂嵐だけだった。

「なんなんだ?一体。さっきのは気のせいか?」

「お兄ちゃん、あ、そ、ぼ?」

それは確かにラジオから聞こえてきた。

焦った私はエンジンを切ってしばらくじっとしていた。分からない。分からないけど怖い。

いい年した大人がお化けに驚くなんて笑いの種になる。

だが固まっていたらフロントガラスに子供のものと思える手が浮き出た。

それも一つじゃない。当たり一体に手だらけだ。

「わわっ!?」

叫びながら車から飛び降りたが、気がつくと車の周りに止まっていたはずのたくさんの車が消えていた。

汗が頬を伝い落ちるとともに、恐怖が始まった。

周りに停まっていた車はどこへ行った?少なくとも十台以上は止まっていたぞ?それなのに…なんでない?エンジン音に気づかなかったか?まさか!ありえるのか?


怖くなったので急いで建物に避難しようとしたのだが、その建物もなかった。

一体何がどうなってる?

分からない。

その時腰あたりをトントンと叩かれた。

【お兄ちゃん、あ、そ、ぼ?】

それは車の中で聞いた声と同じ声だった。

見るとボサボサ頭の男の子が1人たっていた。

「うわわっ!」叫ぶと同時に車のドアを開け中に滑り込んだ。車を動かそうとエンジンをかけたがかからない。何故?


【ねぇねぇ、せっかくラジオから出てこれたんだ。遊ぼうよ?】

「ひぇ〜。マジ勘弁!」

恐怖で固まっていた私は思いっきり喚いた。

「わぁ〜わぁ〜わぁ〜!」

するとさっきまでいたはずの男の子の姿が消えた。

建物もある。

車もあった。

ただフロントガラスに赤い手がくっきりと残されていた。



こんな事誰に言ったらいいのか…と思い、思い切ってラジオに手紙を書いて出してみたのだ。

ちょうど夏ということもあり、オカルト特集が組まれていたから。

けど私はそれを聞くことはなかった。

また怖い体験に繋がったらやだから。


あの体験はなんだったのか。

今でもラジオをかけるとふと思い出す。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 簡潔に物語がまとめられていて、面白かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ