チップ (変夢奇譚 ~くだらない夢のよせ集め~ 第18夜より)
変な夢を見た。
男が、目の前に立っている。
体にプロテクターのような物を着け、背中に銃を引っかけている。
がっしりした体格、精悍な顔つき。内から発する殺意・・・。
だが、私は、臆することなく、男の所作を眺める。
男が・・・口を開く。
・・・・
悪かったな・・・。
あんたを調べた結果、グリーンであることを確認した。
つまり、人間であることを確認した。
最近、やつら、人間に化けてるようだが、なんとか見分けはつく。
えーと・・・。
あんたは、入隊希望だったな。
人間であれば、大歓迎だ。能力のあるなしにかかわらずね・・・。
私達レジスタンスは、いつでも、人手不足でね。
動けさえすれば・・・それだけでも歓迎だ。
みっちり、訓練して、鍛えあげるからな・・・。
しかしまあ、私たちは、最近、劣勢だ。
この間も、別の組織の隠れ家が、まるごと爆破されちまった。
どうやって、爆破されたか、まったくわからん。
あんた、何か、聞いたことあるかい?
・・・・
私は、男にむかって、ニッと笑い、頭を横に振る・・・。
「そうかい。そうだろうな。」
男は、変な顔をしながら言う。笑ったのが不快だったのだろう。
男は、続ける。
「隠れ家を案内しよう。ついて来な。」
私は、男の後ろにつき、隠れ家を案内してもらう。
その途中、一人の男とすれ違った。
その男は、血相を変えて、私の肩をひっつかむ。
私の顔をじろじろと見るなり、背中に引っかけていた銃を構え、私に向け
る。そして、大声で叫んだ。
「こいつッ! 前の戦闘で、さらわれた奴だ! 間違いない・・・。
俺の目の前で連れていかれたんだ。
俺のダチだったんだ・・・。
クソッ! ヤバいぜ・・・絶対に・・・こいつはヤバい・・・。」
私は笑った。大声で笑った。
「ニンゲンども・・・。
ワレラは、常に学習する。お前たちの上をいく。
私は、こいつの脳に埋め込められたチップ・・・。
貴様らの技術で、私を見つけることなど、到底不可能だったのだ。
さて、早速、でかいやつを一発、打ち上げよう・・・。」
寄生した体に埋め込まれたマイクロ爆弾が、今・・・炸裂する・・・。
そこで目が覚めた。