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神々の無責任な後始末  作者: compo
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ご飯(脱線)

「皆の者、面を上げい!」

「はー↑はー↓。」 

さすがは一番付き合いの長いミズーリさん。

ノリも一番良い。欲しかった反応を的確に返してくれた。


あれ?我が家のライブラリーに時代劇ってあったっけ?


「お侍さんが刀を振り回している回で読んだの。」

んん?まあまあ、トキワ荘時代の子供向け漫画にはありそうなパターンだけど。

「お殿様とかご隠居とかお奉行様とかが、絡んでいるのよね。出来れば元ネタを知りたいんだけど。検索しようにも、ズダダダァァっていっぱい出てくるから諦めたの。」

ふむふむ。ならば暴れちゃうサンバの人とか、縮緬問屋の人とか、桜吹雪の人とか選抜してあげよう。ソフト出てるかなぁ。


「旦那様ズルいズルい。ミズーリ様だけでなく私達にも教えて下さいよお。」

「教えても良いけど、聞いたらトールさんが何故お姫様や王子様を尊ぼうとしないのか、余計分からなくなるわよ。」

「望むところです。私は帝国皇女ではなく、1人の女として旦那様にお仕えしているんです!」


おおっ。


「……えーとあの、さすがに全部否定されると泣きそうになっちゃうから、心の準備をさせて下さい。」

「あのねえ、実は

「ワーワー!何も聞こえませんわ!」


「あの?うちの姫閣下って普段こうなんですか?イリス将軍なんか土下座したまま呆然としてますけど。」

軍勤務時代の姫さんは知らないけど、いつも大体こうだよ。カピタンさん。

つうか、10代の女の子なんか皆んな大して変わらないでしょ。


という訳で改めて紹介されました。

帝国軍からはカピタン、イリスの武官文官の両トップ。

キクスイ王国からは王太子ミカエルと騎士ミライズ・アリス。

我が家からは、帝国第四皇女ミク・フォーリナー、家主の私、女神のミズーリ、精霊ツリー、メサイヤちゃん7人。ポメラニアン1匹。

幻の人外がうじゃうじゃ居る事に、キクスイ側の2人が目を剥いて失神しそうになったので、ミズーリがさりげなく心身強化の魔法をかけてくれました。ナイスです。


そうか、アリスさんは草原でカレーうどんをご馳走した人か。

「その節はお世話になりました。」

あの時の馬くんなら、隣の厩舎に居ますよ。


お呼びですかいご主人


後でね。


「あ、あの頭の良い駿馬ですか!懐かしいです!…私、あれから皆様を探したんですよ。まさか帝国でこんな風に暮らしているとは。」

全部成り行き任せ風任せですけどね。

「あの時、あの家の場所に残されていた木に誓いました。ミライズ・アリスは永遠の忠誠を誓います、と。

まさか、帝国の皇女様を側室にされているとは思いませんでした。」


人聞きの悪い。


「なんなら、アリスさんも私達の家族になりますか?旦那様がちっとも手を付けてくれないから最近思うところがありまして。いっそ全員で襲い掛かろうかと考えておりましたの。人手が多いと助かりますわ。」

年端も行かない王子様がいるのに何言ってるんですか!

「私なら大丈夫だ。ある程度の事はお付きの女官から教わって居る。」

大丈夫かキクスイ王国。王位継承者とはいえ、彼はまだ精通前だろう。

「王都から別の護衛を呼んでもらうから、アリス騎士はここに住むといい。」

「で、殿下⁈。」

「やっぱりこうなったか。」

納得顔で頷いてないで助けてくださいミズーリさん。


「ここにくると、どんな心配事も馬鹿馬鹿しくなりますね。」

「私は久しぶりに閣下達と再会したわけですが、姫閣下は随分と砕けましたね。」

「イーリースーさーん?」

「いや、あの姫閣下。その桶は何ですか。何故青筋立てて笑いながら近づいてくるんですか?」


アリスさんが王子に揶揄われて顔を真っ赤にして暴れ出し、姫さんがイリスさんの頭に桶を被せ、手持ち無沙汰になったミズーリがメサイヤを1人捕まえて耳の裏を掻き始める。

気持ち良さそうな姿を見た他のメサイヤちゃんが突撃してミズーリを埋め尽くしてしまう。


「(コレ、一応首脳会談よね)」

いつもの事ですよ。


私が行き当たりばったりな対応してるから我が家で首脳会談してる羽目になるとか、訳の分からない有り様になっているのは反省してます。はい。


「頂きますよ。」

「いただきます!」

馬鹿騒ぎが落ち着いた頃を見計らって全員を着席させました。

我が家総出で作ったトースト、サラダ、ポタージュなんですが。

すっかり忘れてました。 

王子、アリスさん、イリスさんが泣き出しました。


「このパンこのパン。美味しい美味しい。」

「久しぶりの筈なのに。初めての筈なのに。何と懐かしい味でしょうか。」

「なんと、このスープは姫閣下がお作りなられたと!いつの間に花嫁修行をされていたのか。このイリス、涙が止まりませぬぞ。」

家族や駐屯地関係者にだけは慣れてる味だって事忘れてた。

「なるほど。コレならば姫さまを閣下に嫁がせた意味があったというものです。」

カピタンさん何言ってるの?

「私の無骨なキクスイ料理では通用しないのかな?」

「大丈夫よアリスちゃん。」

「あ、アリスちゃん?(一応歳上なんだけどなぁ)」

「私も炊事を始めて大した日は経ってないけど、この家には沢山レシピがあって旦那様が手取り足取り教えてくれるから直ぐ覚えるのです。」

「…姫さま。私の閨房入りはもう決定なのですか?」

「決定に決まってるじゃない。旦那様にご飯をご馳走になった女性はもれなく旦那様に可愛がって貰える権利が発生するのよ。」

「うむ。アリス騎士もそろそろ年頃だろう。王子自ら許可を出そう。」

「帝国皇女も許可を出しますわ。」

「あの、閣下?どうしてこうなるの?」

「あら、アリスちゃんはトールさんが嫌いなの?」

「そんな訳ありません。私は皆様に忠誠を誓った騎士です!」

「だったら、トールさんの胤を貰える権利があるわ。」

「あの、閣下。助けて。」 


うちの女性陣は私の言う事なんか聞いてくれないんだよ。


「そんなあ。」

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