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神々の無責任な後始末  作者: compo
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お蕎麦作り

「お蕎麦お蕎麦お蕎麦お蕎麦お蕎麦お蕎麦お蕎麦お蕎麦お蕎麦お蕎麦お蕎麦お蕎麦お蕎麦」


ミズーリうるさい。


「お豆腐お豆腐お豆腐お豆腐お豆腐お豆腐お豆腐お豆腐お豆腐お豆腐お豆腐お豆腐お豆腐」


ほら姫さんがニコニコ微笑みながら真似をする。この人、こんなに悪ふざけする人だったかなぁ。


散々騒いだ挙句、メサイヤちゃんの集団は気持ち良さそうに布団とクッションに埋もれて寝ちゃったので、母屋に帰ってお昼ごはん作りです。

最近では娘達が積極的に料理に参加して来るので、それはそれで手間暇を考えないといけないのです。


蕎麦粉から蕎麦を打つって言うのも面白いけど、多分そんな事出来るのツリーさんだけだろうから、普通に乾麺を茹でますか。

あとは、わさびを擦ったり海苔やネギを切ったり、そこら辺は任せて良いかな。

わさびはサメの肌おろしで本わさびを擦ってもらうとして、あとは具かなあ。


ミズーリ?リクエストはありますか?


「天ぷらとトロロ、あと板わさに稲荷寿司ってとこでどうかしら。」

すっかり酒呑みの献立なんですが。

「トールさんとツリーには升酒を。」

「(頂きます)」

「私とミクには黄色くて苦い炭酸水を。」

「頂きますわ。」

駄目ですよ。


姫さんが炊いたご飯を団扇で冷ましながら寿司酢をしゃもじで掻き回してます。

ち〜らし〜♪


「何ですの?その歌?」

「ちらし寿司を作る時の歌。そうだ。お稲荷さんの中身はちらし寿司にしよう。」


卵、蓮根、椎茸、人参を用意します。

蓮根は酢漬け、椎茸は醤油で煮付け。人参は出汁で炊きましょう。

どうせ万能力を使うから早い早い。


錦糸卵を作っていたら、見学していたツリーさんが立候補して私が作った卵焼きを細く細かく包丁を入れてくれました。

ツリーさん用に小さな包丁を準備したのが役に立ちましたね。


蕎麦茹では、何故かミズーリが寸胴鍋を手拭いを頭に巻いて睨んでます。

「料理は気から!」

違うと思います。まぁ、私も形から入るタチなので気持ちはわかりますが。

…なんで女神が日本手拭いを知ってるんだろう。


調理した具材を姫さんが掻き回す桶に入れます。

「ち〜らし〜♪」

早速姫さんが歌い出しますが、その先まで教えていいのかな?商品名入ってるし。

でも、一応ちらし寿司のレシピの歌でもあるんだよな、


などとどうでもいい事を考えながら、エビ・アジ・イカ・帆立貝柱・さつまいも・茄子・粒とうもろこしを万能さんから取り寄せると、水溶き小麦粉に卵を落とした簡単天ぷら粉に潜らせると油に投入。

天ぷら粉は楽だけど、作り置きしないからね。小麦粉から作った方が好きなんです。

高温油でカラッと揚がった天ぷらの完成です。


蕎麦茹でが終わったミズーリが長芋とわさびを擦り下ろして全部終了。

何故かトロロが大好きな女神様といい、自分で豆腐から作った油揚げで稲荷寿司を作る帝国皇女といい、何か色々間違えた気もしますが、ご飯が美味しければなんでもいいですね。板わさはお酒大好きツリーさんのリクエストで、サメ以外の練り物蒲鉾(小田原の市販品)を取り出しました。


昼間っから酒呑んで、いいご身分の昼食になりましたよ。

姫さんが帆立貝柱のかき揚げにどハマりしたのと、匂いと騒ぎに駆けつけたメサイヤちゃんが蒲鉾に目が無い事がわかりました。

因みに安い蒲鉾の方が好みの様で、蒲鉾1本が彼女達の主食になりましたとさ。



下(街道)では引越しと共に始まったお祭り騒ぎが続いています。

新官舎の窓を開けて、新しい部屋を楽しむ姿が見受けられる時間になりました。


足元ではチビとメサイヤちゃんが戯れ合っています。


ポメラニアンと幻の霊獣が戯れ合う不思議な姿を、帝国皇女様が床に寝っ転がって眺めてます。

スカートが捲れ上がってぱんつが剥き出しになってますが、今更我が家の家族は誰も突っ込もうとしない。

何しろ風呂上がりに全裸でバスタオルを首から掛けただけの姿で、冷蔵庫をあげる事なんか毎晩だし。

このお姫様、どうしてこうなっちゃったかなぁ。まぁ、私が厳しく指導しないのが悪いんですけど。かと言って、女神や精霊も風呂上がりに隠そうともしなくなっている訳だし。

教育が必要かなぁ。

駐屯地に住む軍人・軍属、まもなく合流する家族への教えは必要になるかもしれない。

私もミズーリもいつまでも居る訳でないし。


教育と言っても何を教えよう?

この国の常識を否定する様な真似はしたくないし、農業もこの国のやり方で失敗していない。軍という事もあって識字率も低くくはない。今日から牧畜が始まる訳ですが、既に経験者(実家が牧畜業)の兵を選抜しているし、いずれ帰隊した家族持ちに任せる計画をカピタンさんと立てている。


次はモノ作りを産業として確立させる必要があるけど、何を作ったら良いのかわからない。

金山開発計画をそろそろ始めたいけど、金・銀細工はメジャーな産業とするには力不足だ。

なんか材料が転がってないかな。

「ミズーリ。ちょっと散歩してくる。」

「いってらっしゃ〜い。」


なんとなく家族を置いて私は1人地表に立った。引越し荷物を運ぶ兵たちが盛んに近づいてきて礼を言っていく。

その中の1人、少年兵が目についた。

何をする訳でなく、ただ道端に立ち尽くしている。

「君の引越しは終わったの?」

「か、閣下!」


慌てて敬礼をしてくれる。


「いや、私は軍人じゃないから敬礼は不要だよ。」

「いえ、姫将軍様がお輿入れしたお方ですので、礼を尽くさせて頂きます。」

なんだかなぁ。

「それに私達に美味しい料理と、清潔な生活を贈って頂きました。姫将軍とは別に尊敬を欠かせないお方でありますから。」

あゝ、まぁいいや。

「で、君は何をしてたの?みんな引越しで忙しく働いているのに?」

「もう終わったであります。私は荷物が少ないので。」

「そうか、まだ若いからか。」

「いえ、家が貧乏だからであります。貧乏だから口減らしの為に兵になりました。」

「家族を呼ぼうとはしなかったの?ここに居ればご飯も食べれるのに。」

「迎えに行く金かなかったであります。」

「…周りの大人に相談は?」

「出来ないであります。」

「まさか、いじめ?」


『とんでもない』


周囲の兵達から猛烈な否定の合唱があった。

「いじめなんかバレた日にゃ姫閣下に見捨てられますよ。」

「俺達にはそれが死ぬより辛い事なんだよ、閣下。」


意外にカリスマ性を持ってた姫さんだった。


「自分はこの通り若造で無力ですが、意地だけはあるであります。自分に甲斐性がないから、家族を呼ぶお金を貯められないんであります。」


「よく言った坊主!」

「意地張ってても俺の奢りは食えるだろ?付き合え!」

「閣下様。自分達は帝国から捨てられた辺境の兵隊な事はよく理解しています。だから仲間は大切なんだ。閣下様が姫閣下をはじめ家族を大切にしている様に、です。だからいじめは無い!それだけは言える!心配しなくて良いと、姫閣下にも伝えて下さい。自分は閣下に心から忠誠を誓い、姫閣下の部下である事を誇りに思っています。」


「そっか、わかった。信じよう。信用しよう。」


一つのヒントを得て、少年兵の名前を聞き、私は帰宅した。


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