サリーさん
「ふぅ〜。食った食った。」
「楊枝使いますか。」
「ありがとう、我が主。」
食べるだけ食べるとメサイヤは、椅子から転げ落ちてそのまま横になった。
下着無しで貫頭衣が捲れてアソコが剥き出しになっているな。
私の家の客は、下半身全裸になる呪いでもかかっているのね、まったく。
「それにしても、ここは何処だ。」
「その前に我が主って何ですの?」
あ、姫さんがまだ戦う気だ。
「儂の成長を促し、見守ってくれたから先ずは我が師匠。更に美味しいご飯をご馳走してくれたから儂は彼に従うしかあるまい。だから我が主。」
「まったく。旦那様は直ぐそうやって誰彼構わず、ご飯で簡単に手懐けるんだから。」
「それにだ、儂達メサイヤ族は雌しかおらんのよ。基本的に単性生殖で卵を産むが、強い男の精を受けて生まれた仔はグレートなメサイヤとして2代に渡り大いなる力を得る事が出来るとされるんじゃ。我が主は強き男だ。主に抱かれ主の仔を成す事は我が一族の誉れとなるだろう。だから素っ裸でびろーんと出してるんじゃ。なんでも男との交わりは気が遠くなる程甘露らしいからの。早く味わいたいのじゃ。今すぐでもこのままどうかの?」
下半身びろーんはやっぱりわざとだった。
「わ、私だって時々頑張って出してます。なのに旦那様ったらちっとも…」
「おっぱいが可愛らしいからな。」
「なななな何という、私達家族には言ってはならない事を。」
「ほら我が主。儂のおっぱいは大きくて綺麗じゃろ。先っちょもピンクだぞ。」
貫頭衣なのに器用に出しているけど、しまいなさい。
「確かに旦那様の周りにいる人は、私もミズーリ様もツリーちゃんも、貴女に比べたらささやかなおっぱいかも知れませんが、私の綺麗な真っ白いアソコを見ても、服を着なさいって怒られるんですよ。」
「(私を巻き込まないで)」
「そりゃアンタがまだまだお子様だからじゃろ。」
「えーえー、私達はあなたと違って使い込んでいない、真っ新ですから。」
「儂だって新品じゃ。まだ卵を産んどらんし人間の男は我が主が初めてじゃ。」
初めてって何?何にもしてないよ。
などと、姫さんが一方的に怒り一方的に相手にされていない状況(生命としてのクラスが全然違うからね)で揉めていると、メサイヤはツリーさんの存在を改めて気が付きました。
「おめえ、なんで皇族なんかと一緒にいるんだよ。おかしいだろう。」
でも、ツリーさんは慌てる事なく、そっと姫さんの肩に座りました。
「おめえ……。」
メサイヤさんが絶句しています。
そろそろ仲裁に入ろうかな。
霊獣ならば森の精霊と帝国皇族の因縁を知っていてもおかしくないけど、今はバラす時じゃない。
「あのね、メサイヤさん。メサイヤさん?メサイヤ族の霊獣だからメサイヤさんと呼んだけど、名前なんて言うんだ。人間に人間さんと言ってる様なもんだな。」
「メサイヤは個にして全。全にして個。儂の考えは全てのメサイヤに通じておる。
本来なら森の精霊もそうなんだが、そのちんまい子にはその子だけの自我がある様だが?。」
「彼女には名前を付けて、いつも一緒にいるからね。」
「それだ。それだよ我が主。儂にも名前をつけてくれ。そうするだけで、霊獣メサイヤは主のしもべとなろう。」
「サリー。」
「ん?」
「女の子だから、メサイヤの一部を取ってサリーというのはどうだろう。」
「誓おう。我がメサイヤ族サリーは我が主に全力を持って仕えよう。」
「分かった。」
「だから我が主は早く儂を抱いてくれ。」
「それはいつになるか分からない。」
「やーいやーい。旦那様の身持ちの固さに苦労すれば良いのですわ。本妻のミズーリ様ですら、まだ抱いて頂いてないのに。」
その本妻とやらは、腹出したまま、股ぐらをボリボリ掻いていびきかいてるいるソレの事ですか?
あ。あの野郎、変だと思ったらビール一瓶空けてやがった。
ここに空き瓶が落ちてるじゃねぇか。
「我が主。我が主は本当にあの方を妻としているんですか?」
恐る恐るサリーが話しかけてきた。
傍若無人な儂っ子キャラだったのに。
ん?あの方?
「あの方です。儂には分かります。儂はひょっとしてとんでもない人を主として仰いでいるのかな。」
彼女には女神だとわかっている様ですよ
森の精霊も一目で女神だと見抜きましたし
人間より上の存在だし、わかるのかな。
「そんな主を胎内に迎え入れて、儂大丈夫なのかな?儂のあそこ壊れないかな?」
おい、幻の霊獣様の心配事は違うみたいだぞ。
「で、ここはなんなんだ。我が主の様な男がいて、そこでぱんつ丸出しで寝てる方がいて、森の精霊と帝国皇女が暮らしてる。あり得んぞ。あり得んぞ。」
人外と皇族がダラけ暮らしてるだけですが。
「それが全部、ぜーんぶあり得んのじゃ。ここにいる4人はこの世界を乱しとる。」
いずれ、もっと派手に行く予定ですけどね。
「この上、儂が加わったりしたらどうなる?この世界を征服することすら余裕じゃ。」
いや、サリーさんが居なくても、私1人でそのくらいなら出来ますよ。
意味ないからやらないけど。
「この森は何という森じゃ?名前は?」
「そうねぇ、私はここに駐屯する帝国でもかなり大きな軍隊の指揮官だけど、特に名前はつけてないわよ。敢えて言うなら黒の森かな。」
「芸が無いのう。」
「森の軍隊で通じるからねえ。名前なんか誰も考えた事ないの。」
「それはいかん。時間に限りのある人間だからこそ考えよ。儂らにはこんな森なぞ他の森と区別をつける必要は無いがの。人間は己れの誇りの為にも、己れが愛するものには愛着を持つべきなのじゃ。」
「な、なるほど。考えてみれば私達の国は帝国とは呼ばれますが、固有の名前は失って久しいですね。キクスイの様な国名、コレットの様な街名。この森はもう私達だけの森ですし名前が有って然るべきだと思いますわ。」
「じゃ。」
なんで君達、仲良くなってるの?
「ならば儂が命名しよう。これだけの面子がひとところに居る事が奇跡じゃ。なので、奇跡の森と言うのはどうじゃ。」
ツリーさんとかサリーさんとか、似たような名前しか付けてない私が言う事じゃありませんけど、安直だなぁ。
というか、サリーさん。君もうちに来るの?
「うむ、我が主の胤を貰わんとならんからな。」
「だから、私達ですらまだなんです!」
「なぁに、いざとなれば全員でまぐわえば良い。人間にはそんな風習もあるのだろう?」
「そそそそんな事な、……。」
あ、毎晩みんなで同じ布団で寝てる事を思い出して姫さんが固まった。
というか真っ赤になってるけど、私が寝たあと変な真似してないだろうな。
「とは言っても、儂は旅の途中でな。またすぐ旅立たないかんのじゃ。その旅が終わったら集落に戻って、我が主の嫁になる事を伝えねばならんよって。今晩は一晩だけじゃ。」
え?本気なの?
「今日は儂と言う女を知ってくれれば良しじゃ。我が主という男とその妻達に儂も加わる訳じゃから、皆を知らんとな。」
「ぶぶー!」
「だから帝国の。儂がまた帰ってくるまでにきちんと我が主の胤を受けておけ。胤を受け子を宿した順番に、我が主の妻の順位が決まる!」
「なるほどなるほど。私はミズーリ様よりは身体も健やかに育って、いつでも出産の準備は出来ています。なんなら力尽くででも…ぶつぶつ。」
ベッドの鎮静効果を高めないと。私の貞操が危うい⁉︎




