畜産
家をいつもの場所に戻して晩御飯の準備を始めましょうかね。
そろそろ陽も傾いて来たし、やっぱり戦争を始めると疲れるので。
今日はニンニクスタミナ料理でも作って、お風呂にゆっくりと浸かり、久しぶりに晩酌をしようかな。
昼間、松茸で少し飲んだけど。
さすがに真昼間から泥酔する訳にもいかず、口を湿らす程度だったから却って火がついちゃった。
お風呂も少し弄ろうかな。いつもは入浴剤に温泉の素を使っているけど、いっそ本物の硫黄泉も引いちゃおう。
そうと決まれば早速風呂場へ向かいます。
現在は、なんだかんだで三姉妹とチビが一緒に入浴する事が多いので、いつの間にか我が家は湯船も洗い場も3畳の大浴場に広がっています。家庭用の浴室が6畳。普通2畳(一坪)だよなぁ。
チビ用のタライも常備しているし、脱衣所にはドライヤーと籐椅子が3台ずつ大鏡の前に並んでいます。
最近では3人とも大人しく、且つ賑やかに入っているので、以前の様ないかがわしい事はしてない様です。多分。
コメントしないよ
足元に纏わりついているチビが怖い事を言ってますけど、聞こえませんから。
シャワーは大が2本、ツリーさん用に小が1本。人間の家で人間と一緒に入浴する森の精霊というのも相当シュールだけど、一緒に入浴してるの女神とお姫様だし。
何処までも非常識な我が家ですね。
今、湯船に付いている蛇口は2つ。言うまでもなく熱湯と冷水で、それぞれ赤青で区別させますが、ここに一つ、白の蛇口を足します。
源泉は元関東の人間には馴染みのある硫黄泉で草津をチョイス。
箱根は火山のくせして、前世の思い出を辿ると、アルカリ泉やナトリウム泉ばかりだったんだよな。万能さんを通じて当地の湯畑からこちらにも伸ばすイメージで固めました。
蛇口を捻ると白いお湯が、そうそうこの臭い。懐かしいなぁ。
…後で姫さんには温泉の説明をきちんとしておこう。
「臭いですわ旦那様。」
とか普通に言いそうだし。
…因みに、その後案の定「臭いですわ」攻撃がありましたが、効能を並べるとその場でいち早く全裸になり、湯船に飛び込みました。
冷え性が悩みだったそうです。
後、私が居るんですが、誘っているんだか男として見られてないんだか。
「私達だって脱いであげるから、しばらく見物なさい。」
だから何でようやく下の毛が生えてきたお子様や、身長30センチくらいのお人形さんのストリップを見ないといけないんですか?
その騒ぎは夜の闇が森を浸した後の話。
今日はこれから幾つかの重要な伝達事項がありますから、と整理しているといつもの通りカピタンさんが我が家を訪れました。
「こんばんは。本日のミーティングにお伺いしました。…姫閣下は今日はまともそうですね。」
今は何も飲食してませんからね。
「早速ですが、これを。」
私が渡した物は門の鍵(しんがり棒はかましてありますけど)と、謎電話機です。
電気電波を使う事が出来ない世界での遠距離通信に万能さんと2人?で考えたのが、
糸電話で謎パワー。一応「音」が伝われば良いのですから、少しでも音波が通じる様に万能さんの力で伝導率を増幅すれば良い。伝導体は私がそこら中に引いた水路と空気。
つまり糸無し糸電話です。
紐なしバンジー並みに不自然だけど。
兵の家族を迎えるだけ保てば良いから、インフラとしての恒久性はいらないし。
手元の地図を広げて今朝造った門を差し示します。マーカーで線路も書き加えて。
「2台あります。1台を司令部に、もう1台を門の内側にある控室に置いて下さい。極力開門の時間を少なくするように。」
「畏まりました。」
「日時の調整と伝達は確実にして下さいね。」
「は。」
「イリスから連絡が伝令が参りまして、キクスイにて雄牛5頭雌牛10頭子牛2頭を確保したと。」
「!!」
奥にいた姫さんがいち早く反応してるし。
「無理な買い付けはしてないでしょうね。」
「それはもう、王家御用達の商人から、王家の牧場から買い付けたと言う事です。在野の農家からではありません。歩いて来ると言うから、1週間から10日ほどかかるでしょう。」
「そこは此方も何か良い手筈を検討しておきます。牧場と牧草地も用意しておきましょう。」
場所は土塁の内側の開けた部分で決定してるし、牛舎も折を見て建てておきましょう。
てん菜畑予定地の向かいあたりで。
「そうそう、てん菜畑の開墾は今朝から始まったんですが途中でミク閣下の紋章が空から降ってきたと作業兵から連絡があったんですが?何かしましたか?何もしませんよね!」
あゝ、コレットの街から攻めて来たので撃退しただけですよ。多分しばらくは大人しいでしょう。(兵隊が残っているのか怪しいし)
「…閣下のやる事に驚きはしませんけど、軍事関係は教えて下さると助かるんですが。」
騒ぎになる前に瞬殺しちゃったから。
「まったくぶつぶつぶつぶつ。」
ぶつぶつ言いながらカピタンさんは情報交換を終えると帰って行きました。
「いよいよ牛が来るのですね。」
先ずは乳牛ですよ。増やして肉牛にもしますから、牛肉はまだまだ先の話です。
「でも、てん菜糖と牛乳。クリームが作れるわ。デザートが作れる!」
「(甘いホットミルクも良いなぁ)」
うちの娘達は気が早いなあ。
分かりましたよ。これから晩御飯ですけど、ケーキでも作ってみますか。
「旦那様ああああ。」
ハイハイ。姫さんに押し倒されながら、ニンニク炒飯を諦めました。
ケーキをデザートにした時のメインって何が良いだろう。




