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神々の無責任な後始末  作者: compo
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森に小川を作ろう

「現在、東部方面軍に所属する兵及び軍属は計10892人。全員の意思確認は完了し、全員が残留を望んでおります。我が駐屯地への引越しを希望する兵及び軍属の家族は計2044人。詳しくは添付の資料をご参照下さい。」


カピタンさんを連れて姫さんが戻って来たので、外のテーブルセットでそのまま報告を受けました。

なお、私達の周りには兵隊さん達が幾重にも取り囲み、姫さんとツリーさんが仲良く語らって(?)いる姿を見つめています。

女性も何人か見えますが、みんなぽーっとしている様です。


「それから、キクスイ遠征隊の2陣が帰隊しております。いずれも私達との交流を望んでいるとの報告が上がって来ております。」


ふむ、一応順調ではあるな。他国への飛び込み営業にどれだけの効果があるのかイマイチ読めなかったが、それはそれで宜しい。

お昼に作っておいた穂先メンマパスタをお礼に持たせてあげよう。


「それから、これからの事なんですが。」

まだ食糧の在庫は有りますよね。

「これからどうしましょう。」

カピタンさん、人に頼り過ぎです。


「まず第一は言うまでもなく糧食の確保。駐屯地内に経済、計算の得意な兵を中心に、キクスイとの買出しの責任本部を作成し、命令系統を一元化してもらいます。」

つまりは卸売部門を作りなさいと言う事です。

「第二に、それぞれ経験者で農業班・鉱業班を作って専門班を作りなさい。」

森の中の開墾を兵(住人)自身で進めてもらいます。

「第三は、呼び寄せる家族の入森時期の統一です。森から出て行く日、帰ってくる日を設定して必要な日、必要な時間と合わせて頂きます。」

基本的に森は土塁で隔離されていますけど、余所者の侵入を極力抑えたいですからね。

土塁を開く時間を決めないと。


「とりあえずはそんなとこかな。それから、駐屯地からの要望を求めます。外から見てるだけの私達には分からない事もあるでしょうし。目安箱でも作って出来るだけ吸い上げて下さい。我儘を聞く気はさらさら有りませんが、必要と判断したものは幾らでも作成しますよ。キクスイ遠征隊の方には引き続き取引をお願いします。いざとなったらキクスイ内の土地を適正価格にて借り、なんだったらキクスイ内の農業従事者を雇って田畑を開墾しても構いません。その件については、王都行き班に書状を持たせてあります。」

「分かりました。」


それと。


「引越しの準備を全員にさせて下さい。もうちょっとね、マシな家を用意しますよ。」

「何と。閣下はその様な事も出来るのでありますか?」


今更でしょう。あっそうそう。家畜の確保がありましたね。

牛、馬、豚、鷄の有無を確認して連れてきてもらいましょ。

主要開発地を転記した地図と、キクスイ遠征隊第二陣に渡すお弁当をカピタンさんに渡して、今日の打ち合わせは完了。


野次馬達に見せつける為、わざと姫さんの肩にツリーさんを座らせて家に入ります。

で、家を消して上空に待機。野次馬さん達のどよめきだけが聞こえてきます。


晩御飯までまだ時間ありますね。

何をしようかな。

娘達はチビとツリーさんの取り合わせが大好きで、何かするたびに歓声を上げてます。

ちっちゃい事も正義だよね。

そう言えば開墾班は帰って来たのかな。


まだ夢中で耕してますね

陽が落ちれば帰ってくるでしょう


ありがとう万能さん。

鍬にしても万能さん特製ステンレスに森の精霊が祝福をかけて、しかも耕す地面も祝福済ときたら、ストレスとか感じないだろうし。

プリンをスプーンですくっているみたいなものだから、それは楽しいでしょう。


あ、そうだ。意思確認を取ったから森林馬車鉄道を全線開通させとこう。

さすがにまだ明るい内にやっちゃうと、無駄に皆んなを驚かすから深夜に出現するよう万能さんタイマーをセット。馬鹿馬鹿しい限りだ。

明日は残りの開墾予定地を回ろう。


しかし、土塁の内側はすっかり私の、いや力の源泉を考えたら神の箱庭だ。

土地神たる精霊達の協力も、大いに仰いでいるしね。

んじゃ、自然保護の観点から土地をいじってみようかな。

今は土塁の内堀及び数本の農業用水、駐屯地への元用水路だけの水路を、小川として森を縦断させてみよう。


山からの湧水として設定して、明日完工予定(白々しい)の貯水池に流すというのはどうだろう。

途中には小さな滝を作り、岩を配置して小さな渓谷を作るのも良い。


キクスイとの農地契約が済んだならば、水道を国境の山に掘っても良いな。


「また旦那様が何か始めましたよ。」

「ツリーが賛成してるから、心配は無いみたいよ。トールはツリーが反対する事は絶対にしないから。」

「旦那様とツリーちゃんは、お互いに分かりあっているんですね。羨ましいなぁ。」

「この森を丸ごと無かった事にする力を持つトールだもん。この森をどうにでも出来るって事なの。だったら、森の環境を司るツリーと足並み揃えて行くのが正解でしょ。トールは別に破壊魔や悪魔じゃないもん。」

破壊なんかしたら、小心者の私は後悔で死んじゃいますよ。ツリーさんも姫さんも笑っていられる場所を作るって何回も誓ってます。


頭の中でシミュレートした光景を地図に載せます。チビから飛び降りたツリーさんが確認。

動物へ影響は無いと決裁を貰って、こちらも今夜一緒に工事開始(完了)させちゃいます。


ガパオライス。


今晩の献立はこれです。理由は特に有りません。昼のパスタで挽肉を使ったから思い付いただけです。ハンバーグにすればロコモコになりますが、思いついたのはガパオライスよりも後なので、またいずれ。


玉葱、パプリカと挽肉を豆板醤とオイスターソースで炒めだけ。辛いもの大好きな娘達ですから鷹の爪も少々。

ご飯に炒めた挽肉一式と目玉焼きを乗せて完成。タイ料理ですからスープはトムヤムクン、サラダはパクチーのグリーンサラダ。

あ、姫さんリクエストの穂先メンマも小皿で出しておきましょう。


「おかわり」

「辛い挽肉うまうまですわ。」

「(辛いスープも美味しい)」

うちの娘達は本当に何でも食べますね。

(柚子と紫蘇以外は)

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