次は何処行きゃ良いんだろう?
「改めまして、私の名はミズーリ。死と転生を司る女神ミズーリです。奪衣婆ではないのよ。」
心の声が丸聞こえだったらしい。
「こっちの性格の方が地よ。こんなフランクな女神、誰も信用してくれないでしょ。いつもは神様っぽく気取ってるの。」
この人も、身も蓋もないなぁ。
神様には3人会いましたけど全員頭おかしそうでしたが。
「この子供の様な姿は天界からのペナルティ。神様の能力に制限は加えられないから肉体に制限を加えたって事みたい。」
ポンコツ女神3さん、目薬さんを夜伽に呼んでも構わないとか言ってませんでしたかね。この幼女を。
「性的要求はいつでも構わないけど、この身体だから受け止めきれるかはわからない。でも頑張る。」
また心の声を読まれた。
いや、そんな未就学児みたいな身体でじゃ、頑張るのは多分私だし。
「つるぺたはお嫌?」
対象外です。
「それで、村人はどこ行ったのだろう?」
「話を逸らすな。」
「そんなに私としたいのか?」
「貴方を引き留める為なら何でもする所存の表明です。今はお口が恋人のミズーリちゃん。」
「そんなガム会社を敵に回す様な事言ってないで、少しは真面目なお話しできませんかねえ?」
「善処します。」
デカいモンスターの死骸を前に、ドが付く下ネタトークを始めたポンコツにもほどがある女神様。
「村人達は森の向こうの川に避難してるわ。生体反応を数えたけど犠牲者無し。」
「ふむ。で、君はこれからどうしたい?」
「元の女神姿で避難を神託させたから、村人さん達帰ってきたら説明が面倒よねえ。」
面倒なんだ。
「この鬼はどうする?」
「肉は食用にならないけど、ツノとか骨関係は高級素材に転用できるらしいわよ。」
「つまり放置と。」
「自分達の村なんだから、自分達で何とかして貰いましょう。」
まあ、正論かな?
「それよりここを離れましょう。貴方とお話ししたい事が沢山あるの。貴方の名前も知らないの。」
「知らないで人を殺したのか。」
「ミユキちゃん?」
「それは多分、私が身代わりにされたお隣の赤ちゃんじゃないかな。女の子と聞いてたし。」
「正解。」
ハイハイ。
面倒くさいのは私も同じだ。元来た道を引き返す事にしよう。
「あと目薬さんと呼ぶのは勘弁して下さい。」
また土下座して来た。
下ネタより何より一番最後がそれですか?
「そう言えば、最初に火の刃みたいなモノで殺されたんだけど、アレ何?」
「多分アレ」
ミズーリが指差す先にイタチにそっくりな獣が木の枝先でこちらを睨んでいる。
「肉食獣で狩をする時に火を放つの。通常は加護のある服やアクセサリーが獣避けになるから人間は襲わないんだけど。」
「何やら光を全無視して勝手に出歩いたから襲われた訳か。」
「実際は獣が嫌がる匂いがするものを身につけているだけで精霊様のご加護と言ってる。」
「免罪符か幸福のペンダントか。人間はどこも世知辛ねぇ。」
全く。
「そう言えば、この世界の人種構成はどうなっているんだ?」
「人間だけよ。姿形は貴方や私と同じ。何?エルフとか獣人とか期待してた?」
「いや、姿形がかなり違ってたら今後また色々面倒になるだろう。言語は?」
「今喋っているわよ。方言はあるにしろ全世界ほぼ統一言語。この世界に来た段階で貴方の知識の一部を入れ替えてるの。」
ふむふむ。
「ところで最初に戻るけど。」
「ん?」
「貴方の名前を教えて下さい。できれば貴方の前世も。」
「名前はともかく前世の記憶など聞いてどうする?」
「私は、私のミスでこの世界に貴方を引き込みました。貴方が大切にしたものを全部なかったものにしてしまいました。なのに私は貴方に全面的に頼らなければなりません。一緒にいる以上、貴方と価値観を出来るだけ共有しておきたいの。貴方を怒らせたり呆れられたりしないようにしたいの。」
女神様が知り合って初めてまともな事言ってくれました。
これ以降、ヒロインの女神様がどんどん情緒不安定になります。