いきなりラスボスかよ
また土下座した神様が増えても鬱陶しいので目の前にある光に触れてあげた。
光はそのまま私の身体に吸い込まれて行った。
ふーむ。とりあえず肉体的な変化は感じないな。
よくあるパターンだと、「か、身体が熱い!俺の身体に何が起こっているんだぁ!」とか一騒ぎしてもいいのに。
明らかに平熱たし。
精神状態もクリア。
大して鍛えてもいない、中肉中背の身体もおんなじ。
身長も視線の高さが変わらないし。
何がどう変わったのだろうか。
前回は光を背にして歩き出した死んだんだっけ。ならば光の先に行ってみようかな
下草が薄く、キノコの存在が確認出来るな。
たまご茸にそっくりだ
自然というよりも栽培されているんだろう。
ところどころに、藁草が敷かれている。
しばらく歩くと道に出た。
道幅およそ4メートル。舗装はされていないがよく踏み固められている。
轍らしきものもある。自動車の通行は道幅からして可能だろうとは思うが、轍の幅が狭すぎる。
馬車や荷車などはあるのだろう。
だが、人の姿は見えない。
もの静かな森の道を歩く事数分。
前方の空に煙が登り始め、獣の鳴き声がらしきものが聞こえ出した。
面倒くさいなぁ。直感的に思う。
だって、獣は獣でも、怪獣的な鳴き声だったから。
ガオーではなくアンギャーな、昔テレビで散々見たアレみたいな。
回れ右してもよかったのだが、万能の力とやらをポンコツな神様達が言っていたなと思い出したから試してみる事にした。
万能なんだから、怪獣の一匹くらい倒せるだろう。
とりあえず、私のストレス解消の道具になりなさい。
やがて木々は途切れ空間が広がった。
そこにあったのは紅く燃える村と全長6メートルくらいの一つ目鬼、その鬼の前に立ちはだかるちびっ子だった。
なんかカッコいいぞちびっ子。
さて、まずはあのちびっ子を手伝うんだろうけど。
いきなりボスキャラって出鱈目だろ。
普通さぁ、スライム的な最弱敵に苦戦したりしなかったりが定石じゃないのぉ?神様よぉ。
あ、武器貰ってないや。
棍棒とか、檜の杖とか。
さて、どうしますかねえ。コレ。
半ば呆れて目元をコリコリかいていると、ちびっ子がこっちに走って来た。なんかどこかで見た事ある子だなぁと見ていると、目の前でいきなり土下座を始めちゃった。
ああ、さては神様のどれかか。下界に落ちた人が居たね目薬だっけ?
「ミズーリよ!」
心の声にツッコミ入れられた。
「お願い。あの化け物倒して!」
「君、女神様じゃないの?」
「女神の力は制限されてないけど、私には戦う力なんか最初から大して無いの。それは別部署の仕事。ワルキューレ的な。」
縦割り行政でもあるのか。天界。
それに出した例えがワルキューレって。
「創造神様から聞いてるよ。貴方は万能なんでしょ。」
「とは言われてもなぁ。私は普通の文系だったし。」
「ぶんけでもほんけでもいいから。念じれば叶うの!」
「ハイハイ」
どうしましょうかね。何かこうかっこよくスマートに。まずは足払いとかで転ばして見ましょうか。
何となく右手で逆水平チョップを空中にかましてみた。なんでやねん。と
すると、アレだ昔の特撮映画にあったサイクロプスみたいな鬼の左足首が足から丸々斬れた。
「あれ?」
そのまま鬼は絶叫しバランスを崩して倒れた。大量の血が地面を染める。
「あれれ?」
「こら、モンスターの血は毒を含む事があるのにどうすんのよ。」
そういえば、ここ村じゃん。
「それなら早く言え。ポンコツ女神。」
「誰がポンコツよ!」
「君。」
「ああもう。ああもう。ポンコツで良いから何とかならないの?」
「女神だったら清浄の魔法とかありそうですが?」
「あ、そうか。」
神様のポンコツ振りを再確認させられました。
倒れた鬼の頸動脈を空中チョップで斬ると息絶えたので目薬に清浄の魔法をかけさせた。
ついでに雨乞いの魔法で雨を降らさせたので火事も鎮火した。
一応それなりに能力は高い女神らしい。
「で、これからどうすりゃ良いんだ?」
「どうしましょうか。貴方私と一緒に来てくれるのよね。」
神様ってのはこう押しが強くて図々しい奴しか居ないのか?さっきと随分と性格が違うようですが。
「何で私が君と同行しないといけないの?」
「!」
だから直ぐそうやって土下座しない。
「お願いします。助けて下さい。」
泣き出しちゃった。中身が女神とはいえ、泣きじゃくる幼女が土下座している姿はさすがに絵面が宜しくない。
わかったから一緒に行きますよ。
この話で完全に初期設定は崩壊して
残念な人達が暴走した挙句、主人公が無理矢理収拾をつける馬鹿話に堕ちました
でも、これだけ出鱈目になると書いていて楽しいので
このまま勢いだけで完結させる事になります