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神々の無責任な後始末  作者: compo
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へなへな


5人目。

それはツリーさんでした。


他にいないもんね。一応家族会議の体裁を取っていたから、隣室の精霊やメサイヤはこっち来ないし。

化けたツリーさんの身長は170センチくらい。

茶色の髪は腰まで伸びて、いつもの黒っぽい上下の服装で、姿形はインチキなメー◯ルみたいですが。お綺麗はお綺麗な、見た目年齢20代中盤の正統派美人です。

昔、ツリーさんが言ってた奥の手ってこれですか。


「ななななななななななななななな!なんとなんとなんですと!」

なんで一番姫さんが興奮してんの?


「当然です!可愛い女性は全部私と旦那様のご飯です。共有物です。」

ちょっと。この子突然何言い出してんの?

「何故!何故私がアリスをスカウトしたかと思われましたか?旦那様にご縁がある女性で、かつ美しいからです。いずれ2人で可愛がりましょう。美味しく頂きましょう。」

「あの、私一応男性だけが良いです。閣下だけが良いです。」

「えぇ!」

がーん。

ピアノの音がどこからかしました。

「そんなぁ。一緒に楽しみましょうよぉ。」

「私はまだ経験もありませんし、閣下に全てを捧げて、余ったら考えます。」

余ったらって。しかも完全拒否しないんだ。


あゝそうか。この世界は宗教がないから、同性愛を含めた性的なタブーがないのか。


「だから、小さな身体のままの私を可愛いがってもお巡りさんに捕まりませんよ。」

誰が私を捕まえられると言うんですか。

「………。」

あれ?レズビアンのお誘いをしていた、どっかの馬鹿姫が静かに

「きゃー!!!!」

なってなかった。


「ツリーちゃんの声、初めて聞いたの。そ〜んな可愛い声なら早く聞かせてくれても良かったのにいい!」

君ら、結構前からお話ししてたよね。

「あ、そういえばそうでしたわね。」

「ご飯を作る時とかにね。」

「ミク姫様は、精霊とお話し出来ていたんですか?」

「「そういえば」」

「相変わらず出鱈目な一家だな。」

「サリー様。あなたもその一員です。」


「つまり、旦那様と子作りする為におっきくなったと。」

「私は最初、マスターとの連絡係として私からみんなに近づいた。森の精霊の一欠片だった。でも、マスターは私に名前を付けてくれて、毎日美味しいご飯を作ってくれた。いつしか私は精霊の一欠片ではなく、精霊の代表としてマスターの寵愛を受ける存在になっていた。」


「アタシは主にナンパされた。」

なんですか、人聞きの悪い。

「アタシを大人にしてくれて、アタシに飯を沢山食わせてくれた。」

ここだけ聞いたら、ただの犯罪者です。

「だからアタシは主に惚れた。主に全てを委ねたくなった。主の願いは全て叶えたくなった。だからアタシはここにいる。」


「要は、私の閣下は女性であれば、人間じゃなくても良いと。」

アリスさんまで何言い出してんのよ?

「ならば、他国の武骨な女の子騎士の1人くらい、幸せにしてくれますよね。」

は?なんでそうなるの?



翌朝。

女性陣は全員肌艶がテカテカ艶々です。

…別に何もしてませんよ。

迂闊に子作りにOKを出したら夕べ大騒ぎになったので、ちょっと細工をしました。

全員に淫夢を見せたのです。

姫さんとツリーさんはニコニコ。

アリスさんと(意外にも)サリーさんが顔を真っ赤にして俯いて。

ミズーリは平常通りです。

神に淫夢を見せるとか、夢魔もいいところです。って言うか、サキュバスだったか、インキュバスだったか。

とにかく、姫さんが気合の入った朝ごはんを作ってくれましたよ。

さてと、今日は何をしないかな?


「ダラダラしようとされているところ申し訳ありませんが閣下。お願いがございます。」

なんですかアリスさん。

「閣下は以前、キクスイでもまだ金が取れると仰いました。」

ありましたね。そんな事。

「なので、その眠っている鉱山を教えて頂きたいのです。」

それは構いませんが。

「私はあの日キクスイのに一本の木に閣下への変わらぬ忠誠を誓った騎士であり、閣下の可愛い可愛い妾でありますが、キクスイ王家の騎士でもあります。私がこの家で正式に閨房に入った以上…」

なんですか、その既成事実は作り終わりました的な発言は。私は淫夢を見せただけですけど。

「女をあんな気持ちにさせといて、今更ナシは不承諾です!私はここに居て閣下に仕える事に決めたのです!なので、キクスイへの礼として金鉱脈の存在を伝えたいのです。」

それは構いませんが(リピート)、口頭で伝えて済む事じゃないんですよね。

正確な地図でも無いと。

「地図?」

「地図ってなんですか?」

「?」

えっ?地図ってこの世界にないの?


そういえば識字率が極端に低い世界でしたね。そりゃ精確な地図なんか作っても読めないか。

待てよ。ならば場所を案内する時どうするんですか?


「こう。」

「或いはこう。」


姫さんとアリスさんか即興で書いてくれた地図は線と丸だけ。

たまに地名が適当に記してある、縮尺も何もかも滅茶苦茶なお子様の落書きです。

そっか。地図っていうのは、土地を空から見た図、なんですけどね。

仕方ない。飛行船で調査に行きますかね。

「待った待った。アタシらが行くよ。メサイヤ達を四方八方に散らせば楽だろう?」

サリーさんが立候補してくれました。

サリーさんの背後にはメサイヤ隊がお茶碗を持って立ってます。君らね。なんなん。


「待ってください。だったら私からもお願いがございます。」

まだなんかあるんですか?アリスさん。

「王太子からの願いです。騎馬訓練を行いたいのですが。」


軍内部の事には口を挟む気はありませんよ。


「いえ、森内部で騎馬訓練出来る場所はないので、キクスイ側で行いたいのです。」

はい?

「ラニーニャ、帝国、ベンガラ各国の王族と一緒に。いずれ、キクスイ・帝国の騎馬部隊で模擬戦を行うところまで行ければ。と」

なるほど。他国の王族・軍人・軍隊がキクスイ領内で軍事訓練を行うと。

それは、いくら王子の要望とはいえ、勝手にやっていい事じゃないね。

「はい、王太子より要望親書を提出してもらう予定ですが、あらかじめカピタン様を通じてキクスイに話を通して頂いて貰いたいのです。」

それは必要な事ですね。

わかりました。今日にも通しておきます。


「私もある。」

今度はツリーさんか。

「金山の排土処理が稼働出来てない。その仕組みと施設の設計図が必要。アリスに新しい鉱山を教えるなら一緒に教えるべき。鉱害を防ぐ意味でも建築には力を貸す。」

そういえばあの施設、万能さんにほん投げて有耶無耶にしてた様な。


「まだある。」

まだあんの?

「帝国中の家畜が集まって来てる件。」

あれも私になんとかしろと?

「いずれは。その前にどうにかしないと。」


…牧場を拡大するしか有りませんね。

幸い、土塁沿いの土地はまだまだ余裕があります。細長いけど。

こんなんなるなら、もっと外側に土塁を作るべきだったな。


「拡げると今度は別の問題が発生する。」

牧場を管理・世話する兵隊さんの足ですね。

それは馬車鉄道の延伸で対応するにして、何匹来るか、それが問題ですね。


「アタシとツリーでそこは随時報告する。けど、拡げ過ぎるとここの兵隊だけじゃ手が回らなくなるぞ。」

…キクスイに頼むしかないか。

人里離れた鄙地に隧道作っといて助かった。


「あのぅ閣下?隧道のキクスイ側出口では商人達が作った中継拠点が毎日のように発展してまして。その商人相手の商売する人も、日に日に集まってます。」


娼婦とかね。そうでなければ商人はやっていけないか。

わかった。総括的判断は後回しにするにして、とりあえずとりあえずで対処する事にします。


「あのぅ旦那様?私も一つ。ミランカからお願いを抱えておりまして。」

ハイハイ、次はなんですか?

「各王室・皇室に一機ずつ、気球が欲しいそうです。」

「なぁにぃ!あのガキ共にはまだ早い!」

おお。珍しくサリーさんが本気だ。

「飛べない奴が空を舐め腐ると死ぬぞ。」


サリーさん言い方。


「本人達もそれは理解しているようです。ただ、時が来て自分達の腕前が適切に上達出来ていたら編隊飛行を考えたいと。例えば四方から4機の気球が囲んで矢を射れば。鬼などへの対処方法になるのではないか。と考えているようです。」


それを聞いてサリーさんが考え込みました。

厳しい事言っているとはいえ、彼ら彼女らはサリーさんの弟子でもありますからね。


「わかった。その時はアリスに試験をさせる。全員が合格したら、アタシらメサイヤで面倒見てやる。そんなもんでいいか?我が主。」

つまり、それまでにあと4機、気球を作れと。

人使いの荒い霊獣様です事。

そして、あのけたたましい妹ちゃんがモノを考えられている事。

戦略・戦術の漫画講義が少しは役に立っているっぽい。


「あの、ワタシ。気がついたらやる事ないの。」

どうしましたか。役立たずな人。

「役立たず言うな!割と本当だから凹むぞ。」

そういえばこの女神様。神様の分際で精神力は思春期レベルの耐性しかありませんでした。

あれ?大体、ミズーリの特技って何?

「えーと。お洗濯と小麦粉料理?」

どこの世界に家事が特技の神様がいるんだろう。

「んん〜と言いますか、旦那様の面倒を見て下さるのは、ミズーリ様以外にあり得ないのではないでしょうか。」

なんか姫さんが始めるぞお!


「ご存じですか?旦那様が乱雑な口きいて、テキトーな扱いするのってミズーリ様に対してだけですよ。私がどんなに大暴れしても、旦那様は基本的に苦笑いされるだけ。だからたまに草薙のハリセンで叩かれると嬉しいんです。」

ほうほう。

「ミズーリ様が暴走した時によく言われる“うるさいミズーリ“あれ、羨ましいなぁ。ミズーリ様が本妻だからこそ出る軽口ですわ。」


「そっか。ワタシが一番上手くトールさんを操れるのね。」

人を連邦の白いモビル◯ーツみたいに。

何百年と生きている女神様が10代の少女に言い包められているのも、どうなんだろう。


というか、私全然ダラダラ出来ないんだけど。


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