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神々の無責任な後始末  作者: compo
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ある日の私達(いつもの私達)

うちの家族達は悪ふざけも過ぎたら、割と皆んな直ぐリセットしてくれるもので、カピタンさんが帰る頃には、ノコノコ起き出しました。ノコノコノコノコ。


「あー気絶した気絶した。もう夕方かぁ。」

「そう言えば、お昼ごはんを食べ損ねちゃいましたわね。」

「(私は何故巻き込まれたのだろう)」

「タラコ、美味そうだったのにな。」

「この家に居ると、全裸で居る事に疑問を覚えなくなりそうで怖いの。」

ぐちぐち言いながら、全員で仲良くお風呂場に消えていきましたよ。ところで、何でお風呂なの?

「「「せっかく脱いだから」」」

そうですか。


「そうそう、私達の下の毛が落ちているかも知れませんから、後でコロコロをかけときますね。なんなら、私達がお風呂に入っている間にはむはむするなり、お好きにどうぞ。」

うるさい確信犯ども。早く風呂入れ。

「トールさん。確信犯は誤用で、故意犯が正しいと思います。」

言葉の意味合いなんか時代と共に変わるのに、ここ、日本ではない別世界別次元の何処かで、日本語の誤用を説かれても、私はどうしたらいいのでしょう。

……。とりあえず、パスタを茹でときますか。昼抜きだから、皆んな多少多くは食べるでしょうから。


で、と。…私は昼と同じ献立というのもなんですから、何か冷蔵庫に入ってないかな。

あれ?この山菜はなんですかね。

「(私達が集めてきたタラの芽です)」

なんか森の精霊(大)さんは、ツリーさんが居なくなると、すかさず私の元に来ますね。

「(天ぷらにどうでしょう)」

つまり鱈に合わせたタラ駄洒落ですね。

「(はい)」

森の精霊さんに駄洒落を言われ出しちゃいましたか。でも、タラの芽だけだと寂しいな。

どれどれ野菜室には何があるかな、と。

茄子、獅子唐、アク抜きした筍、椎茸、かぼちゃですか。

うん。これは全部素揚げにして、出汁の素を溶かした醤油で天汁にしたり、焼き味噌を塗ったりして、酒のアテにしましょう。

炭水化物はいいや。油物だしね。

「(レシピを教えてください)」

「く」

精霊さん(大)とメサイヤリーダーが纏わりついて来ましたので、試食共々教えますけど、衣も付けずに、単に揚げるだけだから、栄養のバランスを考えた食べ合わせにしなさいよ。

「(元々 私達は 何かを食べるという必要も習慣もなかったのですが)」

「く」

太りますよ?

「(何ですと!)」

精霊さん(大)とメサイヤリーダーは、私の本棚からレシピ本と栄養学の本を持って、メサイヤ部屋に帰っていきました。

誰だ、あんな専門書まで出した奴は。

というか、精霊やメサイヤって太れるんだ。


「うまうま、からから。うま辛ですわぁ。大葉なんて、そこらに生えてますけど、こんな風に化けるのですわねえ。」

かなり癖のある葉野菜ですけど、皆んなにはすんなりと受け入れられました。

ところで、箸とフォークを一度に咥えて、タラスパとおにぎりを一度に食べてる姫さんの不作法ぶりは矯正すべきかどうか、第25回(ほぼ毎日)脳内会議を開いて居るとアリスさんに話しかけられました。

「トール様は、この森で様々な事業を起こして来たと、王太子や帝国将校にお聞きしています。あら、このトマト美味しい。青臭さがないのね。具体的には何がどうなっているのでしょうか。」

ん?トマトの事?事業の事?どっち?

「それにミズーリ様は、何故お食事を摂らないで、トール様にお酌していらっしゃるのでしょうか。」

「トールさんにハリセンとはいえ、ぶたれたのは初めてなので、ご機嫌を伺っているところです。あと、夫へのお酌は正妻権限なの。」

「ツリーちゃんへのお酌は、帝国皇女権限ですわ。」

「(さっきの今だから お酒飲んでないけどね)」

叱られて凹むとか、落ち込むとかは無いんですかね。君達は。


で、私の事業ですが。順調過ぎるというか、私から見てもおかしな事になってますよ。

確か最初は、馬車鉄道を敷いて用水路を敷いて、帝国が入植に失敗した場所を、田畑に作り変えるところでしたね。なんかもう、収穫に入ったそうです。カピタンさんが言うには。

「「なんで?」」

「まだひと月くらいしか、経ってませんわよねえ。」

「(私達は特に何もしてませんよ)」

「アタシらもだ。大体、精霊もメサイヤも育てるより、採集に力を入れている段階だぞ。」


あー。多分ね。森の意志だよ。

その様な物があるのかどうかわからないけど、精霊やメサイヤよりも上位の存在のね。

(キクスイの湖でも、得体の知れない存在に会ったし)

そう考えると、余計な推測をしないで済むから、楽だなぁ。いそうだし頼んじゃおうか。

裏で栽培してる椎茸とか、食べても食べてもなくならないから、売りに出そうかしらって、マリンさんも言ってたし。


「なんですか。その森の意志って。」

キクスイの騎士様には、森との繋がりも薄いですしね。説明が難しいかなぁ。

「森の意志。それはツリーちゃんやサリーさんよりも強いのでしょうか?」

姫さんには、なんとは無しな想像がついている様ですね。

「神様」って言う概念が有れば、この世界の人にも説明が楽なんでしょうけど。


もっとも…その本物の神様は私の酌をやめて、

「明太子スパとどのくらい味が違うのかしらん。」

と、少し生食にしたタラコスパのタラコと、まだ浸かり途中の明太子を食べ比べてますけど。この人が女神だとか言われても、誰も信じないだろうな。


それから、昨日食べたカレーの肉。あれは昨日生まれた猪豚の仔ですが、牧場の整備を(勝手に)している森の精霊さん達曰く

「(猪豚女王をメサイヤが沢山連れて来たのはいいけど ぽこぽこ仔を産むから 早く食べないと猪豚の食糧が勿体ない)」そうですし(種付け用の雄とか妊娠期間とかの常識がどっか行っちゃった)、金山の監督に行っている精霊さんは

「(少し落とさないと掘れ過ぎ 価値が落ちちゃうから 生産調整してる)」

だそうです。2~3日前に開山したばかりの様な気もしますけど。


「こちらではまだ金が取れるのですか。我がキクスイでは金鉱が涸れてしまって、鬼に怯えながら、南で銅を掘っているのですが。」

掘り方や、精製の仕方に問題があるだけなので、キクスイでもまだ金は取れますよ。

その学習を、学校で教える予定もありますし。

「金がまだ掘れますか。ならばキクスイの未来に希望が持てますね。…鬼が来なければの話ですが。」


あと、ここまで来るのに見かけていると思いますが、商店街の形成が早いですね。

勿論、キクスイ他の商人の熱心さが一番の原因でしょうけど。

カピタンさん曰く、森とキクスイを繋ぐ隧道のキクスイ側には、新たな倉庫街が建ち始め、問屋街が出来て来ているそうですね。

「確かに、私達が森に再訪する為隧道を潜った時には、テントが建ち並んでおりました。」


これで学校を開校する準備は、私の手を離れましたし、あと森でする事と言ったら、ガラス工場と、山の方でほったらかしになっている果樹園の整備ですかねえ。

「ん?果物か。だったら、アタシらが見繕って探してくるけど?」

そっちは、森の精霊さん達が毎日森を走り回っていますから。

「んん。でも、森でやる事がなくなったら、旦那様は森を出て行くのでしょうか?」

まぁ、いつまでも森に居る必要もありませんしねえ。

「はるばるキクスイから妾入りしたのに、直ぐクビでしょうか?」

なんで、そうなるの?(コント55号風に)


今はともかく、それなりに縁が出来た皆さんですから、将来的にポイ捨てする気はありませんけどね。

「「「今はともかく?」」」

突っ込むとこ、そこ?


簡単に言えば、帝国と全面戦争に入るまでは森から出ませんよ。

具体的には、皇族と貴族を潰しちゃうまでは。

「帝国は旦那様に何かしましたか?あれ?した覚えが沢山ありました。どうしましょう。しかも私もミランカも皇族でした。えーと。私達潰されちゃいます?」

姫さんは私の家族じゃないの?

「なんならミランカもこの家に呼びますか?なんか旦那様に未練タラタラでしたし。いっそ姉妹丸ごとハウマッチ、美味しく頂いて構いませんわ。むしろさっさと頂け!」

また、おかしな方向に話が逸れ始めたので回避!しゅた!


より正確に言うと、ツリーさんやサリーさん向けの用事が済まない限りは、ここに居ますよ。それがツリーさんの望みだから。

「それ、前も言ってたけど、意味わかんない。」

ミズーリさん。それがわかった時は、私達が森から離れる時ですよ。

これ以上言うとメタになっちゃうから言わないけど。


「つまり、ワタシ達はこの生活をまだ楽しめると!」

「もっともっと私達で楽しんで貰いたいものですわ。」

「(私達で?)」

「応さ!望むところよ。」

「多分、私の居場所って、もうキクスイに残っていない気もしますし。トール様、今後とも末永く可愛がって下さい。」

「あ、こら。アリス勝手にトールさんを口説くな!」

「ご挨拶ですよミズーリ様、ご挨拶。」

「ここはやはりミランカとの姉妹女体コンビネーションをですわね。」


……。まあ、嘘は言って無いし。

色々、加速が付き出した事だけ、皆んな知ってて貰えれば、今はいいや。

森◯蔵を冷やで頂きながら、いつも同じ私達らしい夜はふけていくのです。

素揚げの野菜って美味しいなぁ。

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