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神々の無責任な後始末  作者: compo
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蓮根の甘辛焼き

いつもならば、新しい食材は私が調理するのが決まりだったんですが。


「朝ごはんは私達の出番なので、トールさんは大人しくお茶を啜ってなさい。」


と、馬くんから姫さん経由で預けられた蓮根をミズーリに奪われました。お茶請けに沢庵をくれましたけど。


「アタシはなんかしなくていいのかな。」

サリーさん、料理とか出来るんですか?

「だからメサイヤは最初から物を食べる習慣がないの。だから料理が出来るメサイヤなんかいないの!」

隣の部屋に居るメサイヤちゃん達は、おでんも作れるし、さっき朝行ったら魚の煮物作ってたよ。大鍋でぐつぐつと。

「ないから。物を食べないから料理なんかした事ないから。我が主は我らメサイヤをどう変えちゃうつもりなんだよ。」


美味しい物は、美味しく食べられると幸せだよね。

ズズズ。うん、今日も新茶が美味しいです。


ミズーリは圧力鍋で蓮根に火を通しながら、鷹の爪とニンニク、ラー油で辛い辛いのタレを作ってます。そして缶詰(いつ出したの?)のマグロ油漬(俗に言う商品名シーチキ◯)をマヨネーズで和え始めます。


「旦那様ぁ。お茶っ葉を分けて下さいまし。」

姫さんは私の茶箪笥からお茶っ葉を取り出すと急須で淹れて、出し汁と合わせてお釜に入れました。炊き込みご飯にするのかな?

「では行きますねー♪。ポチッとな。」


ご飯を炊いている間に、豆腐を手で賽の目に切ると(何か上手くなってるぞ)、大根を千六本にととととととって包丁を入れました。

いつの間に千切りが出来ている。姫、恐ろしい子。


などと白目を向いて遊んでいると、サリーさんに「何でやねん」と突っ込まれました。


ツリーさんは、自ら漬け込んだ茄子の糠漬けに包丁を入れて和芥子を添える作業をしています。包丁と身長(韻)が大差ないのですが。


豆腐と大根のお味噌汁を姫さんが作り、

手の空いたツリーさんがもう一品、皮が硬めのウインナーを、塩胡椒で炒めながら醤油で香り付けをし(菜箸の方がツリーさんの身長より長い)、

ミズーリは、鍋から上げた蓮根の穴に、マグロのマヨネーズ漬けをちゅるちゅる入れると、タレを絡めてごま油で炒めまして

蒸らしの終わった茶飯をお茶碗に盛ります。


「「「できたー」」」


〈蓮根とウインナーの炒め物・茶飯とお味噌汁・茄子の糠漬け〉

の朝ごはんの完成です。一応、私も監督しとこうかなと思っていたけど、皆んな綺麗に作ってました。

この蓮根料理は多分ミズーリのオリジナルだな。歯応があるウインナーと、大根を選抜したのはわざとでしょう。

歯応えはあるけど、サクサク食べられる少し味が濃いめな朝ごはん。

早速、いただきましょう。

「「「いただきまーす」」」


「この蓮根って初めて頂きますけど、不思議な食べ物ですね。歯応えがコリコリあって、辛い辛いな味付けがぴったりですわ。穴に甘い甘いなお魚を詰めたのはミズーリ様の工夫ですか?」

「トールさんの故郷には辛子で穴も何もかも塞いじゃう不思議な辛子蓮根って料理もあるわ。」

私は関東出身で、熊本に行った事もありませんけどね。遠いし。

「そんな辛い辛いがあるんですか?」

「マヨネーズをつけて辛味を緩和させるの。おかずにも良いし、そのままお茶請けにも良いわね。」

そうなんですか?私よく知りませんから。

「……なんでアタシは大根とか美味しく食べてんだろ。初めて聞くぞコレ。」

私んちは何でもありですからね、特に食材は私が管理して無いのに、ミズーリが勝手に万能さんから取り寄せてるし。

「椅子に腰掛けて、ナプキンを胸に掛けて、今日茶色いご飯を、初めて使う箸で器用に食べてるアタシ…。」

それはメサイヤちゃん達の経験値がフィードバックしてんですね。

「…しかも美味いし、止まんねーし。」


「アタシもなんかつくるう!行くぞお前ら!」


朝ごはんを美味しく頂いたサリーさんは、他の家族が打ち合わせなく片付けを始めるのを見て、寂しくなった様です。

「アタシにも何かさせろー!」

とは言うけどね。ミズーリも姫さんもツリーさんも家事を始めたのは最近ですよ。

それぞれの技能と特性に合わせて役割分担が自然に決まって行きましたから。

「なら、ならならならならアタシは、アタシ達はメサイヤだー!」

そう宣言すると、7人のメサイヤちゃんを引き連れて大空に飛んで行きました。

賑やかですね。


食休みにのんびりとしていると、また来客です。

「(寝坊したー!ご飯終わっちゃった?)」

おや、精霊さん身長120センチバージョンちゃんじゃないですか。寝坊したのね。

ていうか普段寝てるのね。

「(私だって夜寝てる 精霊は暗くなれば寝るよ)」

「(ツリー 旦那様マスターのご飯終わっちゃった?)」

「(朝は私達が作る奥様ご飯だよ)」

「旦那様?何か精霊さんがお話ししてて可愛いんですけど。どっちか一つお持ち帰りしても宜しいですか?」

この家に住んでいて、何処にお持ち帰りするんですか?それより朝ごはん食べたいみたいですよ。

「それは困りましたね。今お茶碗も綺麗に洗っちゃいましたし。」

「(ガッカリ)」

わかりやすく両肩下げて俯いちゃいました。

まぁ朝ごはんだし、簡単な物なら直ぐ出来ますよ。


食パンにバターを塗って、石窯で軽く炙ります。ハムとレタス、トマトを挟み辛子を軽く塗って。

ちょうどミズーリが食後のコーヒーを淹れてくれたから、ミルクと生クリームでコーヒー牛乳を作りました。

BLTサンドとコーヒー牛乳という、軽めだけど栄養のバランスが良い朝ごはんの出来上がり。


…何でミズーリ達も一緒にお皿持って並んでんですか。皆んな今食べたでしょ?


「こんな私の知らないお献立をサラッと作ってしまう旦那様の女子力はなんなんでしょう。女として妻として敗北感ですわ。」

「(マスターはマスターだし)」

「(恐るべし旦那様マスター)」

「あたし達女3人揃ってもまだトールさんに敵わないのよねぇ。」

………わかりましたよ。皆んなの分も作ればいいんでしょ。

「(あと、馬ちゃんが取ってきた蓮根料理が残ってるよ)」

馬ちゃんて…………。

「(美味しーよー 旦那様マスターのご飯 美味しーよー ツリーが離れないわけだよー)」

声に出さないけど、姦しい精霊さんだな。

「(基本皆んなこうだよ)」

ツリーさん、精霊さんの生態とか、あまり知りたくなかったです。


何でも今日から金山の採掘が始まり、昼からイリスさんの仕切りで開山式を始めるそうですよ。

「(また晩御飯食べにくるよー)」

という訳で、精霊さんは飛び出して行きました。万能さん特製のミルク入水筒を抱えて。

ガラスの材料集めは任せた!

「(任されたー)」

残土で大体賄えるから、そっちはそっちでお願いしますね。


さて、今日の予定は2つ。

うちの馬くんが家出して温泉に浸かりに行かない様に(どんな馬だ)、お風呂作りのついでに思いついた家畜用お風呂の製作と、気球をいっちょ作ってみようかと。

空軍の初めて物語の開始です。モーグたん。


旦那旦那旦那旦那旦那旦那旦那旦那だんなー!


厩舎から馬くんの悲鳴が聞こえますけど、そんなにお風呂が気に入ったの?

それから、脚をバンバン踏み鳴らさないの。


最高最高サイコーでさぁ


そうですか。

最初はアリスさんの送迎用に万能さんからこさえた馬くんも、姫さんのリクエストもあって、すっかり我が家の家族ですからね。

家族が喜ぶならひと肌脱ぎますよ。

では、馬くんの温泉作りから一日のスタートです。

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