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神々の無責任な後始末  作者: compo
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宣言

「辛ーい!痛ーい!美味しーい!」

ラー油どころか、先日ピザを焼いた時に使ったタバスコまで引っ張り出して来て、真っ赤っ赤なラーメンどんぶりを前におかしな事になっている、黙って「さえ」いれば絶世の残念美少女はほっといて。


遊びに来ていた森の精霊達に、飯食ってくかー?と声を掛けたら

「((((食ってくー))))」

との返事だったので、辛さ控え目坦々麺をご馳走する事になりました。


ので、万能さんに頼んで部屋を拡張します。

最初は私とミズーリのベッドが二つ並んでるだけの小さなコテージだった筈ですが、何かベッドは3畳位に広がってるし(最初は枕元で寝てたツリーさんも、最近では普通に添い寝してるから4人で寝てるんです)、部屋はこれもう何畳あるんだか。

AV付きソファセットコーナー、台所、居間、書棚、更に森の精霊さん寛ぎスペースまで追加ですよ。


森の精霊さんは基本的に妖精サイズから今のミズーリサイズなのと、絨毯がやたらフカフカしている(姫さんが年がら年中寝っ転がるから、何か万能さんが勝手にバージョンアップしてたらしい)ので、床に直座りの低長机に正座してます。ちっこい精霊にだけ座布団敷いてます。足崩してもいいんですよ。


「(別に痺れたりしないから平気)」


坦々麺をフーフー吹きながら食べてるツリーさんが言うならいいか。

滅多に姿を現さない筈の精霊達が小ちゃいのから中くらいのまで、並んで坦々麺を食べてる光景と言うのも出鱈目な我が家っぽいな。

子供会みたいだけど。


あと、何故かメサイヤちゃん達もこっちで食べてる。

彼女(雌しかいない幻の筈の霊獣)は、幼体時代は鳥の姿してる筈ですが。

蒲鉾ついでに練り物大集合、いわゆるおでんを差し出してみたら、みんな器用に箸です食べ始めました。

くーくー楽しそうに、くーくー美味しそうに。

一応、この姿の時は羽根の筈ですけど。

どうやって箸持ってんだろう。


ミズーリに垂れた鼻水をティッシュでチーンされてる姫さんを眺めながら(最近、ミズーリの妹ではなく娘に見えてくる)、カピタンさんが持って来た情報を考える。


私達がこの世界に文字通り飛ばされて旅して来たのは、ほんの二か国。

すなわちキクスイと帝国だ。

帝国に特に目的があった訳でなく、そもそもミズーリを天界に戻せればそれで良いので、何か手掛かりが有れば今すぐに次の国に向かうつもりだった。

今でも、基本的にその考えは変わっていない。極論から言えば、姫さんも精霊もメサイヤも、万能さんの力で全部なかった事に出来るからね。

とはいえ、この森には縁を作り過ぎた。

タオルでミズーリに汗を拭ってもらいながら

「お化粧が取れちゃいますわ。でも美味しいの。」と賑やかな姫さんを今更放置するのは、私の良心の何処かが許さない。


なので、毎日の様に新たに紡ぎ続けるえにしは大切にしよう。

多分、女神ミズーリは私の気持ちをわかっているだろうけれど、やはりきちんと話さないといけないね。

となると、私達が知らない他国との縁も大切にすべきだろう。

この森が独立するかは私の知った事じゃないけれど、私が決めた事、最低限この森と帝国の関係が破綻しても、私の家族や仲間達が不幸にならない様に万能の力を振るう。

やり過ぎても構わないな。

どうせ天界の最高神たる創造神にも黙認は貰っているんだ。

そう決めた。今決めた。


ふと気がつくと、チビが私の足元で私のくるぶしを爪をたてず肉球だけでポリポリ掻いていた。

よいっと持ち上げると


わかってる


と私の唇をペロンと舐めた。


その姿を見ていた姫さんが、箸を置いて私の唇を舐めに来たので、性感帯である脇腹を撫でて悶えさせた。

足元に転がってえひゃえひゃ奇声を上げてるお姫様の髪を撫でながらミズーリが、

「何かわからないけど、決めたのね。」

…この女神、多分何も分かっていないらしい。ちゃんと時間を取って話さないと駄目かぁ。


ミズーリ様は 他人を鈍感扱いしますが

自分の能力を認識し切ってないのです

他人の信頼に気がつかない鈍感女神です


万能さん解説ありがとう。

暴走する万能力と鈍感女神に残念姫を率いている私は大丈夫なんだろうか。

「まぁ、決めた。後で詳しい話はする。なので姫さんはちゃんと席に戻ってご飯を済ませなさい。」

「私の“女の部分“に火を点けておいて、それはあんまりですわ。」

唇が腫れる程、香辛料塗れの女の子に舐められても嬉しくありません。

「しまったあああああ。もっと柑橘系の味と香りをつけて旦那様に迫るべきだったかぁ。」

「男性は冷め易くもあるから、ミクはもっと繊細な迫り方を考えた方が良いわね。今晩作戦を練りましょう。」

「お願いします。サリーさんやアリスさんが大奥に合流する前に、なんとか旦那様には私を味わってもらわないと。」

…今さっき決意表明しますよって言ったばかりなんですが。

「あと、トールさんには幾つかの弱点がある事をこの旅でわかったから、後で伝授するわ。」

「お願い致します。師匠!」

お子様女神はともかく、姫さんに和装で「瑞樹くん」とか言われたらどうしよう。


バリボリバリボリ。

「胡麻の香りが香ばしいですわぁ。」

ゴリゴリゴリゴリ。

「焼き立てのお煎餅とは違うのよね。」

パクパク。

「(緑茶にお煎餅美味しい)」

ミズーリだけ咀嚼音がおかしい気もしますが、みんな入浴が終わってパジャマになってます。


何で寝がけにお煎餅食べ出すかなぁ。太っても知りませんよ。あと、歯を磨きなさいよ。


「大丈夫。旦那様と夜の運動をすれば

ハイ。下ネタアウト。

「ちょっと厳しくは有りませんか?」

いや、姫さんは自分のセリフで勝手に盛り上がっちゃう思い込みタイプでしょ。

これからちょっとだけ真面目な話したいので、戯れあいは別日でね。

「戯れあいは、この後直ぐ?」

ミズーリさん?君ですか?

「テレビのバラエティ番組見出したのはミクだよ。あたし別にオススメしてないもん。」

「大丈夫。後日に戯れあいが出来るって訳だもん。」

だもんって。前向きな姿勢は良いですね。

「(良いんだ)」

ん?何か間違えたかな。


お煎餅は食べてて良いけど、本題に入りますよ。 


夕方、カピタンさんが興味深い話を持って来ました。今後、人員の選別が終了次第始める少年兵向けの学校ですが、キクスイの王子だけでなく他国の王族も留学を希望しているそうです。

具体的には、西のラニーニャ国と北のベンガラ国。姫さん、両国の解説をお願いします。


「そうですね。まずキクスイ王国ですが、東西と北を山脈で囲まれて、南は湿地帯になっている一種の盆地です。国土は草原になっている事が多く、幾つかある鉱山から産出される貴金属の加工が主な産業になっています。

南の湿地帯から先は鬼の棲家とされて、基本的に人は立ち入りません。

「西のラニーニャは、王族の力が強い立憲君主国です。水に恵まれた農業国です。自給率が2倍という、食べるには困らない国ですが、同時に治水が難しく国としての発展が阻害されている面があります。私の様な辺境に飛ばされた皇女には王族交流がないので、どの様な方が来るか分かりません。

「北のベンガラは面積と言う面でだけ言うなら大国です。しかし、帝国・キクスイ・ラニーニャの横並び三国は温暖な気候なのに北と言う事もあってか寒いです。農業が限られているので食糧自給率が低く、ラニーニャとの交易でなんとか維持出来ている国です。産業もこれといって有りませんが、国土が広いので“海"に面しており、その海産物くらいですね。ラニーニャとは川を通じて素早い運搬が出来るので、海のお魚が流通しているのですが、山向こうのでキクスイや帝国には腐っちゃうから回って来ません。

「だから旦那様が海のお魚をご馳走してくださった時はすごおく感激したんですよ。

勿論、王族とか知りません。」


ご飯の事しか解説してない気もしましたが、大体分かりました。

鉱山のキクスイ、水のラニーニャ、海のベンガラですか。


「何考えてんの?」


ん〜。帝国(森)を含めた四か国の国力はそんなに高くはない。

だが、キクスイとベンガラには広大な未開発地があり、ラニーニャには豊富な農資源がある。

これを上手く組み合わせて、更にトンネルや運河の掘削で交通環境を整えれば、それはそれで面白い未来予想図が描ける。 


「(森の精霊としては あまり自然を壊して欲しくないなぁ)」

その為に、私はこの森の保護に力を入れながら開発しているんですよ。

それに、運河一本隧道一本掘ったくらいじゃ、この世界の自然はびくともしませんよ。

って万能さんが言ってます。


「(なら良い でも精霊とメサイヤはいつも見てる)」

そう、その為に君たちは何もしなくていいけど、時々姿を現して欲しいと思ってる。

(神という概念が無い世界の日が一番畏れるのは人間よりも上位の存在の監視だから)

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