精霊たちの願い
帰宅してみたら、別の森の精錬が正座して迎えてくれました。
「(お帰りなさいませ旦那様)」
君は一体全体何処から我が家に侵入した
「クー」
のかと聞こうとしたけど、そもそもメサイヤちゃんの部屋に猫の入り口的な自在ドアをつけてました。帰ってそうそう、クッションで遊んでる声がします。
後、君まで旦那様呼ばわりですか?
「(ツリーのマスターは 私達全員のマスターだから ツリーの本音はマスターをお姫様と同じく旦那様と呼びたがってる)」
「(でもそれじゃミク姫と被る)」
「(でも、ツリーとは意識共有している別個体の精霊ならキャラクターが被らない)」
君達は何を気にしているんですか?
大体、見た目普通の少女・中身は一国の姫君な人と、見た目妖精・中身は精霊の何処が被っているんですか?
我が家の家族達は全員個性が立ち過ぎてます。
そのお姫様はチビを抱えてメサイヤルームに帰宅早々突撃して行きましたけど。
「トールさんに森の精霊が訪ねて来るとか、本来なら目をひん剥く話だけど、トールさんちだからねー。どっちかって言うと、人外の面倒くさい話から逃げ出したんだと思う。」
人外の女神様の推測は多分当たっているんだろうなぁ。
「(鉱山を開いたと)」
ツリーさんの監修の元、私の万能の力でお膳立てを整えて居ますから、鉱山廃水による自然破壊は殆ど無いと思いますよ。
「(でも掘るのはマスターじゃない ただの人間 何を起こすかわからない)」
「うちのトールさんも、何を起こすかわからないけどね。」
うるさいミズーリ。
これ、すっかり口癖になってるな。
「(そこで提案がある 私達が監督する)」
は?
「たしかに、あの鉱山は道具も施設もなにかと滅茶苦茶だから、力有る者が監督すべきよね。ミクが面白半分にそこら辺掘り起こしてたでしょ。」
「(アレは私が全部元に戻した)」
ツリーさん、お手数おかけしました。
「(あと1メートル掘ったら水脈にぶつかってた)」
すいません、うちの姫さんが本当にすいません。
しかし、精霊の監督となると、鉱夫達の精神状況は大丈夫なのかな?
キクスイからの雇人だったりすると、ミズーリが居ないと簡単にショック死するよ。
「(そこは女神様のご協力を仰ごうと 私達精霊に力を与えて下されば)」
…ミズーリさんにそんな事出来るの?
「あのねぇトールさん。あたしこれでも女神なの。おっぱいが小ちゃくて陰毛も生え揃ってないお子様な身体でも女神は女神なの!」
肉体的解説はいいから、わかりました。
大体、君の裸なんか見飽きたし。
「ぶー」
そういえば確か女神としての力は制限されてなかったんでしたっけ。
「死を司る神だからねー。迂闊に力を使う訳にいかないじゃん。ミクに炊事洗濯を教えている小ちゃなおっぱいの女の子なだけじゃないのよ。」
おっぱい押すなあ。後、今更気がついたけど、ミズーリさんってしにが
「みじゃないわよ。死神は死者を送り出す神。私は死者を受け入れる神。」
私は死者が受け入れる神に死者にされましたが。
「だから謝ってんじゃん。あたしがこんなちんまいおっぱいにされたじゃん。」
ミズーリさん。話がちっとも前に進まないからおっぱい禁止令を発動します。
「ちぇ!」
「(精神強化魔法を私達が使える様にして欲しい)」
たしかに。精霊さん自身の能力はツリーさんであらかた測ってはいますが、精神強化は別に物騒な攻撃魔法では無いからね。森の精霊として身につけておいても損はない能力だ。
しかし、鉱山監督ってどうなんだろう。
「(旦那様マスターがお考えの事は 私達精霊の望みです 旦那様マスターの力になるのなら協力すべき そう判断しました)」
「(私達は辺にメサイヤほど幻の存在ではないし)」
ツリーさん、そうは言っても、精霊さんの「安全」を私は心配してんですよ。
あと旦那様マスターってなんですか?
「(旦那様でマスターだから)」
知らんがな。
「(大丈夫 その為にメサイヤが力を貸してくれる)」
あの子達ですか。
「(それはそれで 考えてる)」
ふむ。ならばお願いしてもいいかな。
「(それともう一つ 私達なら二つ必要な事ができる 廃水の浄化と掘り出した土砂の始末)」
「(廃水は浄化装置を森の力で作れる 土砂の始末は土塁の外にもう一つ土塁を作ることて解決できる)」
「(森の保全の為なら 私達は力が使える)」
分かった分かった。2人して力説するほどの事なんですね。
「(あと一つお願いが)」
なんですか?
「(家族の一員としてご飯食べたい)」
はい?
「(ツリーは毎日美味しいご飯を食べてる 私達は基本的に精を吸収するだけで良いのだけど 美味しいご飯はやっぱり食べたい)」
まぁ、軍と違って私達の食糧は私が万能さんから無限に出せますし、最近ではミズーリも勝手に出してるし。
「あら?家族なんだからお財布は一緒でしょ。旦那様が稼いでくれたお給料を奥様が銀行から引き落とす事と同じよ。」
単語と認識が、ことごとく間違ってます。
森の精霊は、こないだの人達くらいですか?
「(必要ならばいくらでも増えますが?)」
「(夜の伽に特殊なプレイも可能です?)」
そう言うのはいいから。まさか男性が襲われないように万能の力を行使するとか、何かと物騒な男女関係なんですから。
アレだけ沢山来ちゃうと、ご飯の準備をしとかなきゃいけないでしょ。
「(それなら大丈夫、毎日1人ずつ)」
「(基本的に意識感覚は全て共有してるんだけどね 実体験をしてるかしてないかの差は大きいの)」
まさかひょっとして、森の精霊が変質している訳じゃないよね。
「犯人はトールさんだけどね」
「(良質な進化は歓迎)」
ところで、森の精霊達が本格的にお手伝いしてくれるならば名前か必要ですね。
個体ので区別を付けないとね。
「(要らない 名前持ちはツリーだけでいい ツリーは旦那様マスターに選ばれた存在
)」
そんなもんなの?
「人外故に、ネームドは特別になるって事かしらね。」
「(大体あってる)」
ふーん。
「それで閣下の家が精霊と霊獣のサロンと化していると。」
相変わらずな我が家に、カピタンさんが相変わらずの反応をしてます。
森の精霊を受け入れると決まったら、うじゃうじゃと集まって来たので部屋をもう一つ増築しようとしたら、
「プキー」
いりません 私達は仲間だから
だそうです
だ、そうなので人外部屋を広げる事で妥協しました。
森の精霊達はまた鶏やうらら(鶉)を森中から集めて牧場に放牧してたそうで、私達と話がまとまったら、そのまま私が家に集結しました。
その最中にカピタンさんが来たので、てんやわんやをまた見られてしまったパターンです。
「で、うちの姫閣下の声が聞こえませんか?」
「ミクなら、メサイヤ部屋で昼寝してるわよ。」
「…聞きたくありませんが、理由は?」
「可愛いものに目がないから。」
「アレは自分が姫で軍の大将という自覚があるのでしょうか。ぶつぶつ。」
「一番最初は威張りまくってだけど、一晩経ったらアレになってたわよ。そもそもうちのトールさんがミクをちっとも姫扱いしないし、本人も姫という身分がちっとも役に立たないって嘆いてたけど、もう慣れたみたい。姫よりご飯って言ってるし。もう、あたし達の妹ね。」
「くれぐれもアレをお願いしますね。」
「あら、カピタン将軍?あんな素直で優しくて前向きな美少女。トールさんが手を付けるかどうかは別としてもあたしとツリーが離さないわ。それに今、学問を始めてる。今後トールさんが始める学校の教員にしても良いわね。ミク先生なら少年兵にも人気になるでしょ。」
「なるほど、アレはアレで閣下達から良い影響を受けている様ですね。」
なんかミズーリとカピタンさんが話しているというのも珍しい。
姫さんと一番距離が近いからね。
どうでもいいけど、カピタンさん姫さんをアレ呼ばわりですね。




